「改ざん」とは「都合のいいように書き直すこと」という意味です。漢字は「改竄」と書きますが、「竄」とはどのような意味なのでしょうか。
この記事では「改ざん」や「竄」の意味のほかに、「改ざん」の使い方や類語、改ざん事例と改ざん検知についても解説します。
「改ざん」の意味とは

「改ざん」とは「都合よく文字を書き直すこと」
「改ざん(かいざん)」とは「文書の言葉や文字、語句を書き直すこと」という意味で、特に「自分にとって都合のいいように書き直すこと」という意味で使われることが多い言葉です。
またIT分野では、「改ざん」は「権限のない第三者がデータを勝手に書き換えること」という意味で使われています。
「改ざん」は漢字で「改竄」
「改ざん」は漢字で「改竄」と書きます。「竄」という漢字は常用漢字ではないので、「改ざん」と表記されることが多いです。
「竄」は「かくれる」または「のがれる」という訓読みがあり、その意味は「逃げて隠れる」や「追放する」です。しかし訓読みからの意味とは関係なく、「竄」という漢字には「文字を書き換える」という意味もあります。
一方、「改」という字は「あらためる」や「新しくなる」という意味なので、漢字の成り立ちからすると「改竄」とは「あらためて文章を書き換える」という意味になります。
「改ざん」は英語で「interpolation」や「falsification」
「改ざん」の英語表現は、改ざんされる対象によって使われる単語が違います。対象ごとの英語表現は、次の通りです。
- interpolation:言葉を付け加えるなどして原文の書き直し
- falsification:データや書類上の署名の改ざん
- defacing:ウェブサイトの改ざん
- manipulation:帳簿などの数字の改ざん
「改ざん」を英語に直すときには、何を改ざんしたのかを確認してから英単語に置き換えましょう。
「改ざん」の事例と対策

改ざん事例の多い「Webサイト改ざん」
「改ざん」の事例としてよくニュースになるのが、「Webサイト改ざん」です。「Webサイト改ざん」とは、「特定のWebサイトのデータを勝手に書き換える行為」です。企業や学校のwebサイトや官公庁のホームページなどで改ざんの被害にあった事例が報告されています。
Webサイト改ざんをする目的は、いたずら目的の他に、そのサイトの関係者への誹謗中傷、webサイト改ざんを通して得られた個人情報と引き換えに金銭要求をするなど、悪意のある事例がよく見られます。
改ざん実例は「データの消去」や「意図しない広告の表示」
具体的なWebサイト改ざん実例には、次のようなものがあります。
- データの消去
- 無意味な文字列や卑猥な映像の表示
- 意図しない広告の表示
- 無関係なサイトのリンクの埋め込み
- 自社のWebサイトからそのサイトのユーザー宛てにスパムメールを送り付ける
- Webサイトにウイルス(マルウェア)を仕込み、そのサイトを閲覧したユーザーをウイルス感染させる、など
「改ざん検知」とはwebサイト改ざんの防止システム
webサイト改ざんを防ぐ方法のひとつに「改ざん検知」があります。「改ざん検知」は、「Webサイト改ざんが疑われると登録者に伝えるセキュリティシステム」のことです。
改ざん検知の方法には、過去の事例と照らし合わせてWebサイト改ざんを見つける「ソース解析型」や、定期的にハッシュ計算をしてWebサイト改ざんを見つける「ハッシュリスト比較型」などがあります。
サイト運営者は改ざん検知を使うことで、webサイトを改ざんから守ることができるでしょう。
「改ざん」の使い方と例文

改ざんは「悪意のある書き直し」という意味で使われる
「改ざん」という言葉は、単に言葉や文章、データを書き直すという意味ではなく、悪意を持って書き直された場合によく使われます。データなどを所有者の許可なく書き直すことによって、データ所有者を苦しんだり困ったりするケースに「改ざん」が使われます。
「改ざん」を使った例文
- 改ざん目的でwebサイトをハッキングした
- 誰かがデータを改ざんしたようだ
- 不正が暴かれる前に、書類を改ざんした痕跡がある
- 上司の行った資料改ざんによって、部署全体が犯人扱いされた
「改ざん」の類語や言い換え表現

「改ざん」の類語は「偽装」
「偽装(ぎそう)」とは「ある事実を隠すために、ほかの事実や状況を装い用意すること」という意味です。偽装によって隠される事実とは、当人にとって都合の悪い事実が多いでしょう。
「改ざん」は言葉や文書などを書き換える行為という意味ですが、「偽装」はある事実を隠すための行為であれば、言葉などの書き換えだけでなく、ほかの手段が使われることもあります。
不正行為の証拠を隠すために、新しい書類を作って偽装する
「曲筆」も「改ざん」の類語
「曲筆(きょくひつ)」とは「事実を偽って別のことを書くこと」という意味で、対義語は「直筆」です。「曲」とは「曲げる」という意味で、「曲筆」では「事実を曲げる」、つまり「事実を偽る」という意味で用いられています。
彼は事実を曲筆して証言した
「改ざん」と「書き換え」の違い

改ざんと書き換えの違いは「改ざんには悪意が含まれること」
「改ざん」と「書き換え」の両方とも「書き直す」という意味ですが、「改ざん」は不正のためや自分にとって有利になるように書き直すことという意味が含まれます。
一方、「書き換え」には「改ざん」の意味にあるような悪意はなく、間違っている字や内容を書き改めることを指して使われます。
「書き換え」とは「書き改めること」
「書き換え」とは「書き改めること」という意味で、間違っている言葉を正しい言葉に書き直すことや、内容を変えて書き直すことを指します。また「書き換え」には、「書類や証書など新しく作成すること」という意味もあります。
国語の書き換え問題のやり方は、類語をうまく使うことだ
まとめ
「改ざん」とは「都合よく勝手に文字や文書などを書き直すこと」という意味です。悪意のある書き直しに使われることが多く、「偽装」や「曲筆」に置き換えられることもあります。「改ざん」と似た言葉である「書き換え」は単に「書き直す」という意味なので、悪意のある書き換えには「改ざん」を使いましょう。