「獅子身中の虫」の意味とは?類語や正しい使い方も例文で解説

日本には面白い言葉を組み合わせたことわざが多くありますが、中でも「獅子身中の虫」は、ある良好ではない性質を持った人のたとえとして使われています。

ここでは「獅子身中の虫」の意味と語源をはじめ、使い方と例文、類語と英語表現と併せて解説しながら進めていきます。使い方に注意した方がよい言葉であるため、しっかりと意味や使い方をおさえておきましょう。

「獅子身中の虫」の意味とは?

「獅子身中の虫」の意味は「内部で害をもたらす人」

「獅子身中の虫」とは「内部に身を置きながら害をもたらす人」「世話になったのに恩をあだで返す人」のことを指すことわざです。獅子はライオンを意味します。

言葉が示すように「獅子の体内に寄生した虫が、獅子を食いむしばんでいく」という状況をイメージすると、言葉の意味の理解に役立つしれません。

「獅子身中の虫」は会社の人間関係を表すことも

人はグループや組織、または何かの輪に属していますが、それらの「内部」にいる時はお互いに協力をしたり、迷惑をかけないようにするのが常でしょう。

しかし「獅子身中の虫」はそれに反し、周囲や大元に害をもたらし、故意に恩を仇で返すような人物のことを指します。

「獅子身中の虫」の使い方と例文

「獅子身中の虫」の例文

  • あれだけ面倒を見てあげてるのに口が減らない。彼はまるで獅子身中の虫のようだ。
  • 上司に言われてショックな言葉、それは「頼むから獅子身中の虫にはならないでくれ」だ。
  • 獅子身中の虫とは言うが、世話になった両親に迷惑をかけることはもってのほかである。
  • 君が無神経と言われるのは、獅子身中の虫のように、恩を仇で返したからだ。

会社にいる「獅子身中の虫」とは?

「獅子身中の虫」とは、本来、味方であるべきはずの組織や企業、グループなどの「内部」にいながら、恩をあだで返すような行為をする人のことを指しています。恩恵を受けているため顔で笑ってはいるものの、心の中では良からぬ策略や企みが潜んでいるような人、また「礼儀知らず」「恩知らず」を指す時に使われることが多い言葉です。

会社でも故意にトラブルになるような発言をしたり、本当ならば助けるべき同僚や、従うべき上司に対して、ただならぬ「害」を加える人を指すため、周囲には煙たがられる存在となるでしょう。

「獅子身中の虫」を使うときは要注意

「獅子身中の虫」は言葉から受ける影響が強いため、直接的に投げる言葉としてはやや不適切だと言えます。そうかと言って、陰でコソコソと言われるのも気分が良いものではありませんが、使うタイミングや相手には十分注意して下さい。

「獅子身中の虫」の語源とは?

語源は仏教「梵網経」

「獅子身中の虫」は仏教の「梵網経(梵網経)」の教えの一部が語源となっています。

「梵網経」には上巻・下巻の全二巻からなる仏教経典で、上巻には「盧舎那仏(るしゃなふつ)」を含む5つの心、下巻には「大乗戒(だいじょうかい)」が述べられており、この中に「獅子は体内に巣を作る害虫に食い尽くされて死ぬ。外から食われて死ぬのではない」という主旨の言葉が記されています。

これは「悪い仏教徒は仏法を自ら破壊する(内側)、決して周囲が仏法を破壊するということはない(外側)」という心に基づいた教えでもあるのです。つまり「獅子身中の虫」」は「内側に潜む悪い心や考えが、仏法への正しい姿勢を乱す」という意味であるのでしょう。

「獅子身中の虫」の類語と英語表現

「獅子身中の虫」の類語とは

「獅子身中の虫」の類語にあたることわざは「恩を仇で返す」の他に、「飼い犬に手を噛まれる」「軒を貸して母屋を取られる」「陰に居て枝を折る」「鉈(なた)を貸して山を伐られる」などがあります。

このような状況が起きると、人は「よりにもよって…」という落胆した気持ちになることでしょう。類語の場合もネガティブな表現になりますので、使うシーンや会話の相手には十分気をつけて使用しましょう。

「獅子身中の虫」は英語で「トゲ」を使う

英語で「獅子身中の虫」を表現するときは「A thorn in one’s flesh(体内にあるトゲ)」を使います。

簡単に言えば、体内に一度トゲが入るとなかなか外にでることはなく、それどころか腸などのの組織を傷つけることになる、という解釈です。外側から傷つけられるのではなく、内側のトゲ(害)によって体が破壊されてしまうという、比喩表現の一つとなります。

まとめ

「獅子身中の虫」は「内部にいるにも関わらず、害を及ぼす人」「恩を仇で返すような人」「恩恵を無視し、相手をむしばんでいく人」などの意味を持つことわざです。仏教用語の一つでもあり、語源は「梵網経」に記された文章です。

会社ではくれぐれも「獅子身中の虫」などと言われないようにしたいものです。お世話になっている上司や、いつも協力を惜しみなくしてくれる同僚などには、間違っても噛みつかないようにしないようにし、お互い感謝されるような関係でいられるように心がけましょう。