国会中継やニュースなどでよく聞く言葉に「イデオロギー」がありますが、何だか難しそうな言葉のように聞こえてきませんか?しかし、正しい意味を知ると会話における言葉の理解が深まってきます。
ここでは「イデオロギー」に着目し、意味と使い方を例文を用いて紹介しながら関連語と併せて紹介しています。ぜひ、参考にしてみて下さい。
「イデオロギー」とは?
「イデオロギー」の正しい意味と歴史について紹介します。英語表記と併せてみてみましょう。
イデオロギーの意味は、簡単に言うと「概念の形態」
「イデオロギー(ideology)」の意味は、「思想や考え、信念や理念をまとめたもの」です。つまり「概念の形態」となります。「イデオロギー」は論理的に一つにまとまった考えや思想の集まりを指し、それらの知識の集合体を意味する言葉です。
イデオロギーの語源は英語の「ideology」
「イデオロギー」とは英語の「ideology」のことです。カタカナ語では「イデオロギー」とローマ字読みをしますが、英語では「アイディオロジー」と発音します。
主に政治と宗教の分野で使われる
「イデオロギー」はおもに政治思想や社会階層、また宗教のの世界で好んで使われます。これらの使われ方を考えると、イデオロギーの幅は「世界観」「行動」「価値」「信条」などさまざまであることが理解できます。
イデオロギーはフランス革命が起源
「イデオロギー」という言葉が生まれたのは「フランス革命」の時代です。当時、哲学者のトラシーは「概念の起源を決める」ために「イデオロギー」という言葉を使い、政権を握っていたナポレオンを批判ましたが、「お前たちは空想家(ideologist)」と反撃したと言われています。
また、それ以後、社会主義を全うするマルクスは「イデオロギーは現実離れした仮想論であり、虚偽意識の高い考えである」とし、自らの「支配概念」は「イデオロギー」ではないと主張したとも言われています。
「イデオロギー」の使い方と熟語例文
続いて「イデオロギー」の使い方と熟語例文を紹介します。それぞれ意味と併せて解説していきましょう。
「イデオロギー」の使い方の注意点
「イデオロギー」は、まとまった考えや思想の体系を表現するため、個人的な発想や他人の考えを示す時に使うのは不適切だと言えます。これらの発想や概念をカタカナ語で表すなら「アイデア」「コンセプト」などが適切です。
「イデオロギー的」の使い方
ニュースや討論などで「イデオロギー的に」という表現を聞くことがありますが、意味的には「概念や信条の観点から述べると」というようなニュアンスになります。
- 我々の信条はイデオロギー的にも社会に貢献できるものである。
- イデオロギー的に語れば、政治理念を国民に納得してもらう材料は揃っている。
「イデオロギー闘争」の使い方
「イデオロギー闘争」とは二つ以上のグループや集団が、それぞれの思想や信条について主張を繰り広げ、闘争へと発展する有り様を指す言葉です。
- 政治におけるイデオロギー闘争では、どちらが正しいか答えが出ない。
- それぞれの主義や概念を主張するのは良いが、イデオロギー闘争ではお互いの批判も絶えない。
「イデオロギー対立」の使い方
「イデオロギー対立」とは二つのブロック間で政治や思想体制の違いにおける対立が起きることです。イデオロギー対決では激しい論争とぶつかり合いが生じ、ほぼ妥協が不可能な状態でそれぞれの原則や信条が争われます。そのため、通常のイデオロギー対立では正否を巡るバトルが永遠に続くかのように映るでしょう。
- 両グループのイデオロギー対立は激化する一方である。
- イデオロギー対立では、お互いの主義や思想を理解できる絶好のチャンスだ。
「イデオロギー」の類語と関連語は?
それでは「イデオロギー」の類語と関連語みてみましょう。
「イデオロギー」の類語は「概念形態」「思想体系」など
「イデオロギー」の類語は「概念形態」「思想体系」などになります。状況や文脈を見極めて、日本語で表現したほうが良い場合は適切に言い換えをしてみて下さい。
「イデオロギー」の関連語は「政治」「社会学」など
「イデオロギー」の関連語には「政治」や「社会学」、また「思想」や「学問」に関する言葉が多いのが特徴です。たとえば、政治に関してなら熟語として「政治理念」「政治思想」、社会学系なら「哲理」「問題意識」「原則」「道徳律」などが挙げられます。また、思想においては「コンセプト」「基本認識」「偏向思想」「空論」「最高理念」、学問では「美学」「哲学」などです。
ちなみに、一般的に最も知られるイデオロギーは「資本主義」や「社会主義」などを始めとする「主義」の形体でしょう。これこそ、一つのまとまった思想や考えの代表と言えます。
イデオロギーの意味が「考えや思想をまとめたもの」、「論理でまとめた知識の全て」となるため、関連語は広い意味で捉えれば数多く存在すると考えられるでしょう。
まとめ
「イデオロギー」は政治や社会階層においてよく使われる言葉で、意味は簡単に言えば「概念の形態」です。「イデオロギー」は一つの大きな思想や信条、主義や主張をまとめたものであり、時にはイデオロギー闘争やイデオロギー対立など、激しいぶつかり合いを生むこともあります。
また、「イデオロギー」という言葉を使う時は、個人の主観的な思想を表す時ではなく、国や派閥、グループや団体におけるまとまった信条や概念を表す時に用いるようにしましょう。