「かたじけない」の意味とは?語源や類語についても解説

「かたじけない」という言葉を聞いたことがある、意味もだいたいわかっている、でも使ったことは無い、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は「かたじけない」の語源や「かたじけない」が持つ様々な意味などについて解説します。「かたじけない」の類語や返事の仕方についてもについてもご紹介します。

「かたじけない」の意味と語源とは?

「かたじけない」は「お礼」の意味を持つ敬語

「かたじけない」の意味は、「お礼」です。「かたじけない」という言葉が使われる場面は、江戸時代を境に大きく減少しています。これは元々武士が「かたじけない」を使っていたお詫びや恐縮の場面に使える言葉が、時代と共に多くなったためです。そのため、現代では「かたじけない」を使う方がずいぶん限られてきています。また、現代では「かたじけないでござる」はほとんど使われていません。

現代で「かたじけない」を使う方の多くは、その言葉を「ありがとう」などの「お礼」の意味で使っていることが多いようです。これは元々の意味である「お詫び」や「恐縮」の気持ちの裏には、相手に対しての感謝の気持ちがあったと考えると合点がいきやすいのではないでしょうか。相手の言動に対して「こんなことまでしてもらって、すみません、ありがとうございます」という心情を表す場合に「かたじけない」が使われていることが多いでしょう。

「かたじけない」の語源は古語「かたじけないでござる」

「かたじけない」という言葉を、時代劇や時代小説の中で見たことがあるという方は多いでしょう。主に平安時代から江戸時代で使われていた「かたじけない」「かたじけないでござる」などは、武士が使う「お詫び」や「恐縮」の言葉として有名です。商人などよりも位の高い武士が使っていたことで、格式のある古語としても知られています。

「かたじけない」の類語と使い方

「かたじけない」には色々な意味が含まれているため、「どのような気持ちを伝えたいか」によって使用する類語が異なります。ここでは、3つの気持ちを表したい場合の類語をご紹介します。

類語①恐縮の気持ちは「恩に着ます」

「かたじけない」という言葉を、相手に対しての恐縮から使うことがあります。「そんなことをしてもらって」「そんな風に気遣ってもらって」など、身が縮むような恐れ多い気持ちです。「お気遣いいただき、かたじけない」などと使われることが多いようです。

その恐縮の気持ちを「かたじけない」以外の言葉にするのであれば「恩に着ます」などが良いでしょう。他にも「大変恐れ入ります」「恐縮でございます」なども使うことができます。さらに恐縮している状態を表したい場合は「身の縮む思いでございます」などもおすすめです。

類語②謝罪の気持ちは「申し訳ありません」

相手に対して「悪いことをした」「迷惑をかけた」など、詫びたい気持ちがある場合にも「かたじけない」は使われます。「この度はかたじけないことをしました」などとしてお詫びの気持ちを伝える方もいます。

この謝罪の気持ちを他の言葉にするのであれば「申し訳ございません」「大変失礼をいたしました」「心よりお詫び申し上げます」などでしょう。「かたじけない」を謝罪の言葉として満足に使うには、それなりの年齢や地位、経験など、その人のバックボーンとなるものがある程度必要です。そのため一般的なビジネスマンがお詫びをするときには「かたじけない」は使わない方が良いでしょう。

類語③感謝の気持ちは「ありがとう」

自分が相手からしてもらったことや、かけてもらった言葉に対してお礼を伝えるときにも「かたじけない」は使われています。主には目上の方から目下の方へ向けられることが多いでしょう。部下などへ「かたじけない、助かりました」などとしてお礼の言葉に変えている方は多いようです。

このお礼の気持ちを他の言葉に変えるのでれば「ありがとうございます」「感謝いたします」「心より御礼申し上げます」などが良いでしょう。それ以上の気持ちを伝えたい場合は「この度はご尽力いただき、誠にありがとうございました」など、何についてのお礼なのかを明確にすると「かたじけない」以上の感謝の気持ちを伝えやすくなります。

「かたじけない」に対する返事のしかた

お礼には「とんでもない」で返す

相手から「かたじけない」という言葉を向けられた場合は、相手が何について「かたじけない」と言っているのかによって返す言葉が変わります。相手がお礼の意味で「かたじけない」と言っている場合は「とんでもないことです」「とんでもないことでございます」など、やわらかい否定で返しましょう。

恐縮やお詫びには「お気になさらず」

相手がこちらに対して「申し訳ない」「恐れ多い」という気持ちで「かたじけない」という言葉を向けてくることもあります。その場合は、相手がお詫びや恐縮をしている内容にもよりますが、その多くには「お気になさらないでください」などが良いでしょう。他にも、目上の方が非常に恐縮されている場合や、立場を越えて深く謝罪されている場合には「そのようなことを仰らないでください」「もったいないお言葉です」なども適しています。

ビジネスで使える「かたじけない」の例文

  • 「お約束の時間に遅れてしまったにもかかわらず、温かく迎えていただき、誠にかたじけないことでございます」
  • 「御社にはいつもお世話になっている上に、このような物までいただきかたじけない」
  • 「いつもご無理を聞いていただいているにも関わらず、このような注文まですることになり、かたじけなく思っております」

まとめ

「かたじけない」という言葉は少し古めかしい言葉で、使うことや使われることに抵抗があるという方も多いかもしれません。しかし「かたじけない」には、感謝や恐縮、謝罪など様々な思いが入り混じっています。相手に対して深みのある立体的な思いを表せる言葉はそう多くはありません。この気持ちが「かたじけない」に合っている、と感じたときは使ってみるのも良いかもしれません。