「ミイラ取りがミイラになる」の意味と語源は?使い方と例文も

「ミイラ取りがミイラになる」ということわざがあります。聞いたことや使ったことがある人は少ないかもしれませんが、「ミイラ」という印象深い言葉が入っているのが特徴的です。

ここでは「ミイラ取りがミイラになる」の意味と語源、そして使い方を中心に、同義語、英語と中国語での表現を解説しています。例文と併せてみてみましょう。



「ミイラ取りがミイラになる」の意味と語源は?

最初に「ミイラ取りがミイラになる」の意味と語源から解説します。読み方は「みいらとりがみいらになる」です。

意味は「連れ戻せなくて留まること」

「ミイラ取りがミイラになる」とは「人を連れ戻しに行ったものの連れ戻すことができず、結局その場に留まること」または、「説得をしようとしているにも関わらず、意図とは反対に相手から説得をさせられてしまうさま」を意味しています。

状況によってこの二つの意味に分かれますが、どちらも「当初の意図とは反し、逆の結果に終わる」「上手に丸め込まれてしまり目標が果たせない」という状況を表しているのがわかるでしょう。

語源は「中世ヨーロッパで使われた薬」

「ミイラ取りがミイラになる」の語源はポルトガル語の「ミイラ」という薬に由来しています。「ミイラ」は熱帯地方に生息するカンラン科・コミフォラという低木から採取できるゴム樹脂で、痛み止めやうがい薬、そして「死体などに塗る防腐剤」として利用された「没薬(もつやく)」の事です。ちなみに、ポルトガル語の「ミイラ」は日本語で「木乃井」と表記します。

ミイラを採取する前に息絶える?

「ミイラ」は「ミルラ」とも呼ばれ、効果の高い薬の一つとして中世ヨーロッパで広く使われていました。そのような背景から、ミイラの採取で生計を立てる人が増えていきましたが、ミイラの採取には過酷な砂漠越えなどを余儀なくされることもあり、途中で倒れて息絶えることが多かったと言われています。これが「ミイラ取りがミイラになる」の語源です。

つまり「ミイラを採取に行こうとするが、砂漠で自分が倒れ、結局自分がミイラと化してしまう」という意味となります。

「ミイラ取りがミイラになる」の使い方と例文

続いて「ミイラ取りがミイラになる」の使い方と例文について解説します。

相手に説き伏せられた時に使う

ビジネスシーンでも日常生活でも「ミイラ取りがミイラになる」は「相手に説き伏せられた時」に使うのが適切です。すなわち、状況や事情があって、心に決めていたことや目標などが果たせないのではなく、不本意に口説き落とされたような状況に対して使うのがベストでしょう。

「ミイラ取りがミイラになる」の例文

「ミイラ取りがミイラになる」の例文をいくつか挙げてみます。

  • 綿密なプランを練ったのに相手に丸め込まれた。ミイラ取りがミイラになったと言われても仕方がない。
  • 相手の説得力に負けた私は、ミイラ取りがミイラになったような状況である。
  • ミイラ取りがミイラにならないように、必ず彼を連れ戻して戻ってくるからね。

「ミイラ取りがミイラになる」の同義語は?

それでは言い換えが可能な「ミイラ取りがミイラになる」の同義語を挙げてみます。

「説き伏せる」「首肯かす」

「ミイラ取りがミイラになる」で「考えや信条を仕向ける」の意義がある類語は「説き伏せる」「首肯かす(うなずかす)」「説き勧める」「説き落とす」などがあります。表現を柔らかくするなら「心を動かす」も類語の一つと言えるでしょう。

「口説き落とす」「言いくるめる」

また「ミイラ取りがミイラになる」で「相手に同意させ自覚させる」という意義のある類語には「口説き落とす」「言いくるめる」「丸め込める」などがあります。どれも状況的にはやや強引的なニュアンスのある表現です。

「ミイラ取りがミイラになる」の英語と中国語

最後に「ミイラ取りがミイラになる」の英語と中国語での表現についてみてみましょう。

英語では「羊」が登場

「ミイラ取りがミイラになる」を英語で表現するなら、定型文の「going for wool and coming home shorn(羊の毛を刈りに行ったのに、自分が毛を刈られて返ってくる」を使うのが最も適しているでしょう。「ウールを取りに出かけたのに、何とも自分がスッキリ刈られて戻ってくるとは…」というニュアンスで使われます。

中国語では「案山子」が登場

中国語で「ミイラ取りがミイラになる」と同じような意味を表す言葉で「案山子の火消し=稻草人救火(dàocǎorén jiùhuǒ)」があります。

まとめ

「ミイラ取りがミイラになる」は「人を連れ戻しに行くが、結局返ってこないこと」また「説得しようとするものの、逆に相手に説得をさせられてしまうさま」を指す言葉です。

ビジネスシーンでも勢いを持って顧客やクライアントに提案や契約の話をしに行くこともあるでしょう。しかしながら、当初の目的とは裏腹に、相手に説得させられてしまい、別の内容でゴーサインを出す結果になることもあるかもしれません。職場では「ミイラ取りがミイラになった」とからかわれることのないように、意思を強く持って行動するようにしましょう。

ABOUTこの記事をかいた人

某私立大経営学部卒、大手旅行会社、商社を経て、豪州へ移住。米国PCメーカーのカスタマー部に勤務後、カンガルーやエミューのいるNSW州の片田舎で生活を開始。田舎暮らしをきっかけにフリーランス(ライター・翻訳)に転身し現在に至る。趣味はゴルフ、料理、ローカルとのゴシップ、キャンプ。