「乾杯の挨拶」は宴会などを始めるときに行われる挨拶ですが、乾杯の挨拶を頼まれて困ってしまう人もいるのではないでしょうか。今回は、乾杯の挨拶をするべき人のほかに、乾杯の挨拶の流れと作法を解説します。また、乾杯の意味や、結婚式や飲み会、忘年会など状況別の例文も紹介します。
乾杯の挨拶は誰がする?
乾杯の挨拶は目上の人
乾杯の挨拶は結婚式や宴会、飲み会など様々な酒宴で行われますが、一般的には乾杯の挨拶は集まっている人のなかで最も目上の人が行います。目上の人に乾杯の挨拶をしてもらうことで、目上の人への敬意を表しています。
乾杯の挨拶をする人の例
- 長老などのその場で最も格の高い人
- 恩師
- 主賓に続く立場の人
- 職場の上司
- その場で最も年上の人
乾杯の挨拶の流れと作法
乾杯の挨拶で酒宴が始まる
乾杯の挨拶は、その会を始めるために行われます。挨拶をする人が面前で挨拶の言葉を話し、「乾杯」のように発声をすると出席者が応えて全員で一斉に酒を飲みます。
乾杯の挨拶の流れ
ここでは、結婚式の披露宴のような格式がある場での乾杯の基本的な流れを見ていきましょう。気心知れた人との飲み会などでは、この流れの略式になります。
- 司会者により、乾杯の挨拶をする人が紹介される。
- 紹介者はその場に立ち、一礼する。
- 壇上に行き、改めて一礼してから、簡単な自己紹介と短めのスピーチを行う。
- 「乾杯の発声をさせていただきます」「ご唱和ください」などと言い、出席者に乾杯をうながす。
- 出席者がグラスを持っていることを確認したら、グラスを目の高さまで上げて、「乾杯!」と発声して乾杯の音頭を取る。
- 酒を飲み、「ありがとうございました」と挨拶をして一礼する。
酒を飲む量はその会の主旨などにもよりますが、乾杯の挨拶をする人は酒を飲み干す必要はありません。お酒が苦手なら一口ほど口をつけるだけでも構いません。
乾杯の挨拶では主賓を傷つける内容にしないこと
乾杯の挨拶では会を始めるために行われる挨拶ですから、その場にいる人、特に主賓を傷つけるようなことを言わないことが作法です。また、乾杯の挨拶が長いと出席者を疲れさせてしまうので、挨拶の長さは2分をめどに短めにまとめましょう。
コロナでも前向きな挨拶を
コロナ禍での乾杯の挨拶だとしても、つらい内容にならないようにコロナの話題は軽く触れる程度にするか、コロナについては触れず、その会の主旨に沿った楽しい内容にしましょう。乾杯の挨拶は前向きな内容の方が、参加者にも喜ばれます。
結婚式で使える「乾杯の挨拶」と例文
友人代表のカジュアルな乾杯の挨拶
友人代表として乾杯の挨拶をするなら、新郎新婦との思い出をスピーチに盛り込めば、新郎新婦の人柄も伝えられて喜ばれるでしょう。また、ユーモアを交えた内容ならその場を和ますことができるカジュアルなスピーチになるでしょう。
○○(新郎)君、□□(新婦)さん、ご結婚おめでとうございます。ご紹介いただきました新郎の友人で△△と申します。
諸先輩方がいらっしゃるなかでご指名いただいて緊張していますが、僭越ながら乾杯の挨拶をさせていただきます。
○○君とは高校時代に苦学を共にした仲で、お互いにいろいろなことを話し時にはぶつかった時もありました。それでも○○君とは時を経て、親友としてお互いを尊敬しあう仲となりました。
その○○君がこんなに素敵な□□さんを射止められて、羨ましくもあり、また嬉しく思っています。
○○君、□□さん、いつまでもお幸せに。
それではお二人の新しい門出を祝して、乾杯したいと思います。皆さま、ご唱和ください。
乾杯!
会社の上司の挨拶例文
ここでは比較的短めでありながら、出席者に失礼にならない上司の乾杯の挨拶の例を紹介します。
ただいまご紹介にあずかりました○○(新郎)君の勤務先の△△と申します。
○○(新郎)君、□□(新婦)さん、ご結婚おめでとうございます。
○○君は入社以来、職場を明るくしてくれるムードメーカーで、何度も私たちを元気づけてくれました。そんな○○君のことですから、□□さんと明るく幸せな家庭を築かれることを信じて疑いません。どうぞお2人ともいつまでもお幸せに。これで私のお2人へのお祝いの言葉とさせていただきます。
それでは、皆さまご唱和ください。
乾杯!
ビジネスで使える「乾杯の挨拶」の例文
飲み会での乾杯の挨拶の例文
皆さん、お疲れさまでした。ご紹介いただきました○○です。今回のプロジェクトもこれで一区切りがつきました。これも皆さんが日々頑張ってくれたおかげです。今日は、日ごろ溜まっているストレスを吐き出す意味でも楽しく飲んで、日頃のストレスを発散させましょう。
それではみなさんグラスを持ってください。
乾杯!
異動する同僚の送別会での挨拶例文
紹介いただきました△△です。○○さん、ご栄転おめでとうございます。○○さんはいつも熱心で、私たちを引っ張り鼓舞してくださったことに心から感謝しています。
○○さんの門出に立ち会えて、とても嬉しく思っています。
僭越ですが、○○さんの今後のご活躍を祈って乾杯したいと思います。
皆さん、グラスをお持ちください。
乾杯!
忘年会での乾杯の挨拶
ご指名いただきました△△です。僭越ですが、乾杯の音頭を取らせていただきますので、グラスをお取りください。
今年も大変お世話になりました。来年もわが事業部がますます発展するように、そして皆さんのご健康も祈念して、乾杯!
どうもありがとうございました。
「乾杯」の意味とは?
「乾杯」とは「健康や繁栄を祝い、酒を飲み干すこと」
「乾杯」とは、健康や繁栄を祝って、酒杯を触れ合わせて鳴らした後、酒を飲み干すために行われます。古代に神に感謝して祝杯をあげた宗教的儀式が由来だと言われていて、また、列席者、場合によっては死者のためにも乾杯をしたとも伝えられています。
乾杯は「悪魔祓い」や「無毒の証明」だった
ヨーロッパ中世時代に「乾杯」は悪魔祓いの意味がありました。酒のなかに悪魔がいると信じられていて、その悪魔を追い払うために乾杯をしたのです。
また他の意味として、乾杯をして酒に毒が入っていないことを証明したとも言われています。毒入りの酒による殺害方法があったことから、乾杯して酒杯の中の酒が混じることで毒が入っていないことを証明したのです。
まとめ
乾杯の挨拶は結婚式や宴会などの会を始めるために行われる挨拶です。目上の人が行い、参加者も唱和して酒を飲みます。そして、主賓や参加者の健康や繁栄を祝います。乾杯の挨拶は長くなると参加者が疲れてしまいますので、自己紹介やスピーチは短めにまとめましょう。