「面妖」とは、不思議なことや怪しいことを意味する言葉です。やや古風な言葉なので、日常会話ではあまり使われませんが、小説の地の文やマンガのセリフに使われることがあります。
「面妖」の意味や使い方、語源・由来を例文をふまえて解説しましょう。類語や英語表現も紹介します。
「面妖」の意味とは
「面妖」とは「不思議なこと」「怪しいこと」
「面妖(めんよう)」の意味とは「不思議なこと」や「怪しいこと」です。その様子を表すこともあります。現在ではあまり一般的ではありませんが「どういうわけか」という意味で用いられることもあります。
また、こちらも一般的ではありませんが、別の読み方は「めんよ」です。「めんよ」と読んでも意味は変わりません。
「面妖」における「不思議」と「怪しい」の意味
「面妖」の意味である「不思議」「怪しい」はどちらも意味が多い言葉です。「面妖」の意味として用いられる主な意味を説明します。
「不思議」の主な意味は「説明できないこと」「普通では考えられないこと」です。非常識なことや、人智を越えた神秘的なことを表します。また、「怪しい」の意味で用いることもあります。
「怪しい(あやしい)」の重な意味は「不審で疑わしいこと」「普通ではないこと」です。信用できないことや、不気味なことも表します。「不思議で神秘的」という意味もあり、この場合は「妖しい」とも表記されます。
「面妖」の語源・由来は「名誉」
「面妖」の語源・由来は「名誉(めいよ)」だと言われています。「名誉」の音が「めいよう」→「めんよう」と変化しました。「めんよう」に当て字をしたものが「面妖」です。
「名誉」の意味は「優れた評価を得ること」「認められること」などです。現在ではあまり使わない意味に「珍しいこと、不思議」という意味もあります。
「面妖」の英語表現は「mysterious」「strange」
「面妖」の英語表現は「mysterious」と「strange」です。「mysterious」の意味は「不可解な」「神秘的な」「謎めいた」です。「strange」は主に「奇妙な」「不思議な」という意味で用いられます。どちらも、面妖の訳語に向いているでしょう。
「面妖」の使い方と例文
「面妖な人」「面妖な面持ち」のように使われる
「面妖」はよく「面妖な〇〇」の形で用いられます。「不思議な〇〇」「怪しい〇〇」という意味です。
例えば「面妖な面持ち」で顔や表情が不思議だと伝えます。不審な人を表現したい場合は「面妖な人」です。ネガティブな意味合いで使われる傾向があるため、褒め言葉としては使われません。
「面妖」は小説・アニメのセリフに用いられやすい
「面妖」は小説・アニメキャラクターのセリフに用いられることがあります。過去の時代を舞台にした作品では、一般的な語句として用いられます。
現在が舞台の作品に使われないということはありません。占い師や巫女などの神秘的な職業のキャラクターに使わせることで、職業を分かりやすくすることがあります。アイドルのような現代的な職業のキャラクターの口癖にして、ギャップを狙うこともあるようです。
「面妖しい」は「あやしい」「おかしい」と読むことも
あまり使われませんが、「面妖しい」を「あやしい」「おかしい」と読ませることもあります。小説に多いので、読書家の人は「面妖しい」に見覚えがあるかもしれません。意味は「あやしい」「おかしい」と同じです。
「面妖」と一緒に使う「はて」「さても」
「面妖」とセットで使われやすい言葉が「はて」と「さても」です。どちらも古風な言葉で、時代劇や伝統芸能でしか聞いたことがない人も多いでしょう。
「はて」は不思議なことやおかしいことに考え込んだり、戸惑ったりすることを意味します。「さても」は「なんとまあ」と感じ入ったときに発する言葉です。
「面妖」を使った例文
- そのキャラクターの魅力は、面妖な言葉遣いだ。
- 一晩で羊がすべて消え去るとは、面妖な事件だ。
- 子どもが時代劇のセリフを真似して「さても面妖な」とはしゃいでいる。
「面妖」の類語や対義語とは
「面妖」の類語は「怪奇」「異様」
「面妖」の類語は「怪奇」や「異様」です。「怪奇(かいき)」は「怪しく不思議なこと」を意味するため「面妖」の言い換えに使えます。ただし「怪奇」には「不気味、グロテスク」という意味もあるため、イメージに合わない場合は言い換えを避けましょう。
「異様(いよう)」の意味は「普段とは異なっている様子」です。「面妖」の「普通ではない」面を強調したい場合は「異様」に言い換えた方が分かりやすいかもしれません。
ポジティブに言い換える場合は「ミステリアス」
「面妖」はネガティブな意味合いの強い言葉です。不思議さや謎が魅力的だとポジティブに伝えたい場合の言い換え語に向いている言葉は「ミステリアス」です。
英語が元になったカタカナ語で「神秘的・不思議な様子」を意味します。「謎めいていて魅力がある」というニュアンスがあるため、ポジティブな印象を伝えることが可能です。
「面妖」の対義語は「明瞭」「自明」
「面妖」の対義語は「明瞭」や「自明」です。「明瞭(めいりょう)」は、はっきりして曖昧な個所がないことや、その様子を意味します。声がはっきりしている際にも使用可能です。「明了」「明亮」と表記することもあります。
「自明(じめい)」の意味は「明らかであること、わかりきっていること」です。そのような様子を表すこともあります。
まとめ
「面妖」は日常会話ではあまり用いられませんが、小説やマンガ、アニメなどで使われることがあります。意味を覚えておけば、作品をスムーズに楽しめるかもしれません。自分で使う場合、誉め言葉には向かない点を把握しておきましょう。