「勝たん」の意味とは?若者言葉「しか勝たん」の使い方や方言も

「勝たん」とは、通常は「勝たない」の意味で使う方言です。しかし、若者言葉としては「〇〇しか勝たん」の形で用いられ、ニュアンスも変わっています。「〇〇しか勝たん」とはどういう意味なのかや、元ネタはあるのかを説明しましょう。ことわざなどで見る古語としての意味も紹介します。

「勝たん」の意味とは?

「勝たん」の意味とは「勝たない」

「勝たん」の意味は「勝たない」です。関西などで使われる方言になっています。

近年では後述する若者言葉としての使用が多くなっていますが、そちらでも言葉の意味としては同じく「勝たない」です。

若者言葉「〇〇しか勝たん」は「〇〇が最高」

若者言葉「〇〇しか勝たん」は「〇〇が最高」という誉め言葉です。直接的な意味は「〇〇しか勝たない」なのですが、そこから転じて「自分にとって〇〇に勝るものはないほど、〇〇が最高に良い」と称賛しています。

「〇〇しか勝たん」はどこから始まった?

「〇〇しか勝たん」の元ネタは不明

「〇〇しか勝たん」の元ネタは明確になっていません。アイドルファンの間で使われはじめたと言われていますが、どこから引用したのかや、誰が言い出したのかは不明です。引用ではなく、ファンが作ったオリジナルの言い回しの可能性もあります。

「○○しか勝たん」はもう古い?

「○○しか勝たん」はもう古く、死語になっているのか不安な人もいるかもしれません。しかし、現在のところSNSの利用者も多く、「定番化しつつある」という意見も多いため、まだ心配する必要はないでしょう。

ただし、流行語は移り変わりが激しいものです。新しい言葉が人気になれば「〇〇しか勝たん」が一気に廃れる可能性は残ります。

「○○しか勝たん」の使い方・例文

「〇〇しか勝たん」を使う対象はなんでもよい

「〇〇しか勝たん」を使う対象は、自分が好きな人・物なら限定されません。当初はアイドルファンが、自分が応援しているアイドル(推し)を誉めるために「推ししか勝たん」と使っていましたが、次第に用途が広がりました。

「〇〇しか勝たん」の注意点

「〇〇しか勝たん」を使う際に、注意したい点があります。まず、大人の会話には不向きということを念頭に置いておきましょう。若者言葉のため、年齢が高い人が使うことに「大人げない」とネガティブに感じる人もいます。「年齢が分かりづらいSNSならいいが、口頭は嫌だ」という人もいました。

流行していることを知らない人にとって、違和感のある言葉だということも注意しましょう。「そこだけ方言を使っているようで気持ち悪い」「侍言葉みたいでおかしい」と思われる可能性があります。

「〇〇しか勝たん」の例文

  • 今日デビューした子も可愛いけど、最推し(一番応援する人)にするならAしか勝たん。
  • ゲームが得意な友人に「このキャラを使うのが必勝法だ」と教わったが、やっぱり私にとってはイケメンのBしか勝たん!
  • 風呂上がりはビールしか勝たん!

「〇〇しか勝たん」の関連語

「○○しか勝たん」のアレンジが「勝たんしか〇〇」

「○○しか勝たん」をアレンジした言葉が「勝たんしか〇〇」です。意味は変わらず「〇〇が最高」という誉め言葉です。

「〇〇しか勝たん」に飽きた人たちが、順番を変えて使い始めたと考えられています。

「○○しか勝たん」の類語は「〇〇は神」

「○○しか勝たん」の類語は「〇〇は神」です。神のように素晴らしい人・物・作品などを誉める言葉です。

俗語のため正確な文法はありませんが、「〇〇しか勝たん」と違い、好き嫌いよりも純粋に技術を誉める傾向があります。

「〇〇は正義」「てぇてぇ」も類語になる

「〇〇は正義」と「てぇてぇ」も類語として使用可能です。「〇〇は正義」は「(どんな状況でも正しいと思えるぐらい)〇〇が大好き」という意味になります。

「てぇてぇ」は「尊い」を訛ったように言う言葉です。「〇〇は勝たん」と同じく誉め言葉なのですが、崇拝するような遠い存在に使われます。また、美しい友情などの「人同士の関係性」を誉める場合にも用います。

一般的な言葉への言い換えは「〇〇に限る」

「〇〇しか勝たん」を、流行語や俗語ではなく一般的な言葉へ言い換えたい場合は「〇〇に限る」が良いでしょう。「限る」は物事の範囲を定める言葉です。「〇〇に限る」と用いる場合は「〇〇に勝るものが他にはない」という意味になります。

言い換え例
  • 今日デビューした子も可愛いけど、最推しにするならAしか勝たん。
    →今日デビューした子も可愛いが、一番に応援する相手はAに限る。
  • 風呂上がりはビールしか勝たん!
    →風呂上りはビールに限る。

その他の「勝たん」とは?

関西の方言では「勝たん」単独ではあまり使わない

「勝たん」は関西の方言で、意味は「勝たない」です。しかし「単独では使わない」という意見が多くあります。会話の中で自然に使う場合は「勝たんわ」「勝たんやん」「勝たんて」のように、語尾に別の言葉が続きます。

「何度も聞かれた時など、強く意思表示したい時には『勝たん!』と単独で使う」という人もいました。

古語「勝たん」の意味は「勝とう」

古語の「勝たん」は「勝とう」という意味です。この意味で使われることわざに「人に勝たんと欲する者は必ず先ず自ら勝つ」があります。

「他人に勝とうと思う者は、必ず先に自分に打ち勝つ」という意味です。欲望やわがままな気持ちなど、自分の弱い心に勝たなければ他人に勝てないと戒めることわざになります。

まとめ

「勝たん」は現在では「〇〇しか勝たん」という若者言葉として用いられています。「〇〇しか勝たない」が転じて「〇〇は最高」と誉める言葉になりました。ことわざなどで使う古語では「勝とう」という意味なので、意味を誤解しないよう注意しましょう。