「早い」と「速い」の違いとは?使い分け方や英語表現も紹介

パソコンで漢字変換をすると必ず出てくる「早い」と「速い」。どちらを使うべきか迷ってしまうことがありますよね。そこで「早い」と「速い」のそれぞれの意味を解説して、二つの言葉の意味の違いを説明します。またそれぞれの使い方や英語表現もご紹介します。

「早い」と「速い」の違いとは?

違いは「早い」が「時間の経過」/「速い」は「速度」

「早い」と「速い」の違いは、時間の経過についての速度か、動作・進行についての速度かどうかです。「早い」は時間の経過について言及するときに使い、「速い」は物事にかかる速度について表すときに使います。この違いをよりはっきりさせるために、「食べること」や「仕事」を例にとって意味の違いを説明します。

「食べるのが早い」と「食べるのが速い」の違い

「食べるのが早い」といえば、食事の時間帯が早いという意味です。食事の時間がいつもよりも早いときや、料理の煮込み時間が十分でないときに「まだ早いけど食べる?」など時間的に早いときに「早い」を使います。

一方「食べるのが速い」は、食べるスピードが速いという意味です。

「仕事が早い」と「仕事が速い」の違い

「早い」の「ある時間や時期より前」という意味から、「仕事が早い」は「仕事の開始した時刻が早い」と「従事していた仕事が予定した期限よりも終わるのが早い」の二つの意味が考えらます。

一方、「速い」は「物事の進行のスピード」について言及しているので、「仕事が速い」とは「仕事をするスピードが速い」という意味になります。

「仕事がはやい」と言えばその文の意味は文脈からしか判断できませんが、「早い」と「速い」を使い分ければその意味がはっきりとしてきます。

「成長がはやい」は「早い」が一般的

「成長がはやい」という場合、「成長が早い」としたほうが一般的です。なぜなら「成長する速度」は、ある一定の時間が過ぎて振り返った時に結果として、成長の速度が早いか遅いかが分かることだからです。そのため「成長」には「早い」を使います。

「早い」と「速い」のそれぞれの意味

「早い」と「速い」は同音異義語

「早い」と「速い」は両方とも「はやい」と読み、異なる漢字をあてることで意味が異なる同音異義語です。

日本語にはたくさんの同音異義語があり、同音異義語はダジャレや語呂合わせなどの言葉遊びによく使われます。

「早い」の意味は時間の経過について「はやい」

「早い」の意味は、主に3つあります。

  1. ある一定の基準からあまり時間が経っていない。
  2. ある時間や時期より前。
  3. 手っ取り早い。簡単である。

以上の意味から考えると、「早い」は時間の経過については「はやい」ときに使われているのが分かります。

「速い」の意味は動作や進行の進み具合などの速度が「はやい」

「速い」の意味は、「物事のかかる時間が少ない」「すみやかなこと」です。動作や進行の進み具合などの速度が「はやい」ときに「速い」が使われます。

「早い」と「速い」の正しい使い方と例文

「早い」の使い方と例文

「早い」は「時間の経過」に関して「はやい」というときに使う言葉です。それでは「早い」を使った例文を見ていきましょう。「早い」の三つの意味に合わせてそれぞれ例文をご紹介します。

  1. 「一定の基準からあまり時間が経っていない」の意味の例文
    ・早く寝なさい
    ・早いうちに手を打つ
    ・今年は梅雨入りが早い
  2. 「ある時間や時期の前」の意味の例文
    ・結婚には早すぎる
    ・あきらめるのが早すぎる
    ・今日の出勤時間はいつもより早い
    ・メールよりも電話のほうが早い
  3. 「手っ取り早い」の意味の例文
    ・自分でするのが早い
    ・辞書を引くよりも人に聞くほうが早い

「速い」の使い方と例文

「物事の速度」について「はやい」と書き表すときに「速い」が使われますが、その例文は次の通りです。

  • 「足が速い」
  • 「返事が速い」
  • 「川の流れが速い」
  • 「病気の治りが思ったよりも速かった」
  • 「あなたの解説が速すぎて意味がよくわかりませんでした」
  • 「この間入ってきた新人は仕事の呑み込みが速くて助かるよ」

「早い」と「速い」の反対語とは?

「遅い」は両方の語の反対語

「早い」と「速い」には違いがありますが、両方の言葉の反対語は同じ「遅い」です。

「遅い」は、時間の経過に関わることとある物事の進度の両方においてゆっくりな様子を描写するときに使えます。最初の意味の例文は、「夜遅くまで起きている」や「遅くなるから先に行って」などで、2番目の意味の例文は「時計の進みが遅い」「歩き方が遅い」などです。

「鈍い」は「速い」の反対語

また「速い」には反対語として「鈍い」もあります。「鈍い」は、「おぞい」「にぶい」「のろい」などいろんな読み方がありますが、「のろい」と読むと「進み方がゆっくりな様子」という意味があり、「速い」の反対語になります。その例文は「足が鈍い」や「車の進みが鈍い」などです。

英語でも違う!「早い」と「速い」の英語表現とは?

「早い」は英語で「early」

時間的な経過について「はやい」というときの「早い」は英語で「early」です。例文は下記のとおりです。

  • “early morning”
    「早朝」
  • “An early goal secured victory.”
    「早いうちのゴール設定で勝利を確定する」
  • “He came to the office early.”
    (earlyを副詞として)「彼はオフィスに早く来た」

「速い」は英語で「fast」

「速い」は英語では「fast」が使われます。例文は次の通りです。

  • “a fast train”
    「急行電車」
  • “The journey was fast and enjoyable.”
    「その旅行は速く楽しいものだった」
  • “He finished his task fast.”
    (fastを副詞として)「彼は仕事を早く終えた」

まとめ

「早い」が時間経過に関わるときに使うのに対して、「速い」は物事の進行のスピードについて書き表すときに使います。同音異義語のため混合しやすい「早い」と「速い」ですが、その意味は違いますのでそれぞれの意味を正しく理解して使い分けましょう。

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「難解なワードでもわかりやすく」をモットーに、常識ワードからビジネス用語、時には文化・アート系など、幅広く記事を書かせていただいています。ドイツ在住で2児の母。好きな食べ物はビターチョコレートとナッツ類。