「寒中見舞い」を喪中はがきの代わりだと思っている人もいるかもしれません。しかし、喪中はがきとは使う場面に違いがあります。喪中の「寒中見舞い」について、書き方・文例や「いつ出すのか」「時期が過ぎたらどうなるか」を説明しましょう。「喪中見舞い」などの似た挨拶状についても紹介します。
「寒中見舞い」を喪中はがきの代わりになる?
「寒中見舞い」と「喪中はがき」には違いがある
「寒中見舞い」と「喪中はがき」には本来の用途が違うため、代わりに使える場面はあまりありません。喪中はがきの代わりになるのは「喪中はがきを送らなかった相手から届いた年賀状の返事」「年末に不幸があり喪中はがきが出せなかった」の2パターンです。
「喪中はがき」は喪中の人が新年の挨拶(年賀状)を控えると伝える手紙です。(年賀状を送らないで、と相手にお願いする手紙ではありません)本来の「寒中見舞い」は季節の挨拶状のため、用途が違います。
「寒中見舞い」は喪中の方への挨拶状に使われやすい
「寒中見舞い」は喪中はがきの代わりにはあまりなりませんが、喪中に関する用途でよく使われています。喪中の方から届いた「喪中はがき」への返事に使う挨拶状としての用途です。
喪中はがきに対する返事に「寒中見舞い」を送ることが多くなっています。他にも、喪中と知らずに年賀状を出したお詫びをする際に「寒中見舞い」を出す人もいるようです。ただし、どちらも『行わないとマナー違反』というものではありません。特に、親しい友達相手なら「メールやメッセージの方が良い」と思う人も多いでしょう。
本来の「寒中見舞い」は寒い時期の季節の挨拶
本来の「寒中見舞い」とは、寒い時期の「季節の挨拶状」です。暑中見舞いと同じく、相手の体調を気づかうために出すものでした。
近年では、先述したように喪中に関するやり取りが増えています。また、年賀状を期間内に出せなかった人も利用しています。
「寒中見舞い」の出す時期
「寒中見舞い」を出すのは「松の内が明けてから立春まで」
「寒中見舞い」は「松の内が明けてから立春まで」に相手に届くように出します。「松の内」は地域差があり、「立春」はごく稀に日付が前後するので注意が必要です。
「松の内」は元旦から7日までとする地域が多いのですが、「15日まで」「3日まで」などさまざまです。送る相手の地域をよく確認しましょう。
「立春」は2月4日が一般的ですが、ごく稀に前後することがあります。ちなみに、立春の前日が「節分」です。
時期が過ぎたら「寒中見舞い」ではなくなる
立春を過ぎたら「寒中見舞い」ではなく「余寒見舞い」になります。暦の上では春になったものの、まだ寒さが残る時期に相手を気づかうために出します。
「余寒見舞い」に出す期限は定まっていません。しかし、寒さが残っている時期でないと相応しくなくなるため、なるべく早く出すのが無難です。
喪中の「寒中見舞い」の書き方
縦書きで句読点をいれない
喪中の「寒中見舞い」の書き方の基本は、喪中はがきに揃えるのが無難です。句読点を入れず、縦書きで書きましょう。行頭を一字下げる必要もありません。
また、寒中見舞いに限らず、縦書きでは数字を漢数字で書くのが一般的です。
めでたい言葉や祝い事は書かない
喪中の「寒中見舞い」では、めでたい言葉や祝い事の報告は書きません。祝い事の近況報告は、次の挨拶状の機会(暑中見舞いなど)を待つのがマナーです。
住所変更などの急ぎの場合は「本文では触れず、差出人住所に『新住所』と添える」程度なら許容されています。
弔事用はがき・通常の切手を使う
喪中の「寒中見舞い」に使うはがき・切手はやや複雑です。はがきは弔事用のものが好ましいとされますが、切手を弔事用にするのはマナーに反します。心配な場合は弔事用の官製はがきを使用しましょう。自分で切手を貼らないため、マナーを考慮する必要がありません。
自分でデザインしてプリントする場合は、写真やイラストに配慮が必要です。年賀状のような華やかなものや家族写真はマナー違反です。ただし、「喪中はがきではないので、あからさまに弔事を連想させるデザインは良くない」という意見もあります。悩む場合はインターネット上のテンプレートを使うのも良い方法です。無料・登録不要のテンプレートもありますので、検討してみてください。
喪中の「寒中見舞い」の例文
寒中お見舞い申し上げます
ご服喪中とは存じませず賀状を差し上げまして誠に申し訳ございません
謹んで哀悼の意を捧げます
近年はじまった「寒中見舞い」に似た挨拶状
「喪中見舞い」は喪中はがきの返事を年内にする際に使う
「喪中見舞い」とは、喪中はがきの返事を年内に送る場合に使う挨拶状です。寒中見舞いの時期には早すぎるため「喪中見舞い」が使われ始めました。
新しい習慣のため、知らない人やマナー違反だと感じる人もいます。あまり親しくない人や目上の人は、時期をずらして寒中見舞いを送る方が良いかもしれません。
また、定義も曖昧です。「香典やお供え物を手紙といっしょに送ることが『喪中見舞い』」と捉えている人もいます。
「年始状」はおめでたい言葉を控えた年賀状
「年始状」とは、おめでたい言葉やイラストを控えた年始の挨拶状で、役割としては年賀状と似ています。出す時期も同じです。
年始状は「喪中とは聞いていないが、おめでたい雰囲気の年賀状は相手を傷つけてしまう状況かもしれない」という配慮で活用されています。例えば2020年頃のコロナ禍では、年賀状ではなく年始状を送る人もいたようです。
ただし「年始状」はマナーと言えるほど浸透している習慣ではありません。
まとめ
「寒中見舞い」は「喪中の方への返事」によく使われています。送らないとマナー違反、というものではありませんが、丁寧な印象になるでしょう。ぜひ「寒中見舞い」を活用してみてください。