「青嵐」とは「新緑のころに吹く風」という意味で、そのさわやかな言葉のイメージから抹茶などの商品名や歌詞、文学作品名にも使われています。季語としても使われているのですが、その季節とはいつなのでしょうか。
この記事では、「青嵐」の読み方や意味のほかに、俳句における「青嵐」の使い方や類義語なども解説します。
「青嵐」の読み方と意味とは?
「青嵐」の意味は「新緑のころのやや強い風」
「青嵐」とは「新緑のころのやや強い風」という意味です。5月から7月の新緑が芽吹く頃、若々しい青葉の上を吹き渡る風を嵐にたとえて「青嵐」と名付けられました。
「嵐」と言うだけあり、その風の強さは優しい風というよりも、青葉をしっかり揺らすようなやや強めの風を指しています。海上では、帆船が青嵐を順風として利用することもあるほどの風力です。
「青嵐」は「せいらん」または「あおあらし」と読む
「青嵐」は「せいらん」と「あおあらし」という2つの読み方があります。どちらも正しい読み方で、「せいらん」は「青嵐」の音読みであり、その訓読みをした読み方が「あおあらし」になります。その使い分けにルールはありませんが、比較的「せいらん」と読むことの方が多いでしょう。
「青嵐」には「青々とした山気」という意味も
「青嵐」には「青々とした山気(さんき)」という意味もあります。若葉が茂るころの山の気配のことで、普段の冷え冷えとした山の敬拝とは違う独特な空気感を表しています。
「青々とした山気」の意味で「青嵐」が使われるときは、「あおあらし」と読むのではなく「せいらん」と読みます。
「青嵐」の使い方と例文
「青嵐」は夏の季語
「青嵐」は青々とした葉の上を吹き渡る風という意味で、季節で言えば、青葉が芽吹く初夏がイメージされることから、「青嵐」は夏の季語です。
また、季語として「青嵐」が使われるときには「あおあらし」と読まれることが多いです。なぜなら「青嵐」を「せいらん」と読むと「晴嵐」という別の季語と間違えやすいからです。「晴嵐」とは「晴れた日に吹く風」もしくは「晴れた日の山の霞(かすみ)」という意味です。
ただし俳句で「青嵐」を「せいらん」と読んでも間違いではありませんので、俳句であっても「青嵐」を「せいらん」と読まれることもあるでしょう。
「青嵐」は初夏の強い風を指して使う
「青嵐」は、初夏に吹く強い風を指して使われます。春が過ぎ、夏を迎える5月から7月頃に吹く強めの風を差して「青嵐」と呼びます。
ただし「青嵐」という言葉はあまり聞き慣れない言葉なので、「せいらん」または「あおあらし」と読み方を変えても日常会話では相手に通じないこともあるでしょう。
夏嵐が吹く季節になったね
「青嵐会」は保守系の政策集団
「青嵐会」は、1973年に自由民主党の衆参両若手議員により結成されていた保守系の政策集団です。「青嵐会」という名称は石原慎太郎議員によって命名されて、青嵐会結成時には血判状を捺したことでも知られています。
中華民国支持の立場で派閥を超えた議論が重ねられて、集会が行われていた武道館は満員になるほど人気を博していました。78年に日中平和友好条約が国会に上程されたことを機に反中共のメンバーとの対立が激しくなり、79年に青嵐会は消滅しました。
「青嵐」の類義語とは?
「夏嵐」の類語は「夏嵐」
「夏嵐(なつあらし)」とは「夏に木々を揺らすほどの強い風」という意味で、俳句などで夏の季語として使われています。「青嵐」のように新緑を意味する言葉は入っていませんが、「夏嵐」には「夏」という季節を表す言葉が使われている上に「嵐」という強い風のたとえが入っていることから、「夏嵐」は「青嵐」の類語になります。
「夏嵐 机上の白紙 飛び尽す」(正岡子規)
(現代語訳:夏嵐 机の上の白い紙を すべて吹き飛ばしてしまった)
「風青し」も「青嵐」の類語
「風青し(かぜあおし)」とは「初夏の青葉を吹いていく風」という意味です。青々とした葉の間を吹き抜けていく風が、新緑で青く染まっているように感じられることから「風青し」という表現が生まれました。「風青し」も夏の季語で、「青嵐」の類語です。
「青嵐」の英語表現
「青嵐」は英語で「wind blowing through fresh verdure」
「青嵐」を英語で表現するなら「wind blowing through fresh verdure」のようになるでしょう。「青嵐」を英単語ひとつで表現することはできないので、「青嵐」の意味を英語に訳することになります。その一例が「wind blowing through fresh verdure」です。
「verdure」と「緑の草木」を意味する英単語で、「fresh verdure」で新緑を表しています。
「青嵐」の英語例文
- “The wind blowing through fresh verdure made it feel like summer.”
「青嵐が夏を感じさせてくれた」 - “When the wind blowing through fresh verdure ceases, lush saplings spread out.”
「青嵐が止むと、苗が広がっている」
まとめ
「青嵐」とは「新緑のころのやや強い風」という意味で、夏の季語です。「せいらん」または「あおあらし」という2つの読み方があり、その使い分けにルールはありません。ただ俳句では「あおあらし」と読まれることが多いでしょう。「青嵐」の類語には、「夏嵐」や「風青し」があります。
「青嵐 定まるときや 苗の色」(服部嵐雪)
(現代語訳:青嵐が吹き止むときには、青々とした苗が広がっている)