「こんにちは」「こんにちわ」正しいのはどっち?語源から解説

「こんにちは」と「こんにちわ」、正しい挨拶は「こんにちは」です。しかし、若い人や、日本語を勉強中の海外の人に「コンニチワと読むのに、なぜ『こんにちわ』は不正解?」と聞かれて、きちんと説明できる人は少ないかもしれません。なぜ「こんにちわ」が間違いなのか、語源とあわせて紹介します。

「こんにちは」「こんにちわ」正しいのはどちら?

正しいのは「こんにちは」

「こんにちは」と「こんにちわ」、正しい挨拶は“こんにちは”です。発音は「コンニチワ」ですが、「こんにちわ」と表記してしまうと文法上は間違いとなりますので注意が必要です。

一部の若者は「こんにちわ」を使っています。「こんちわ~」「ちわ~」と派生した挨拶もあります。親しい友達同士のメールやSNSで使う分には問題ありませんが、正式な表記ではない点を留意しましょう。

「は」が正しいのは”今日は〇〇ですね”が語源のため

「こんにちは」が正しいのは、「今日(こんにち)は〇〇ですね」が語源のためです。昼の挨拶である「こんにちは」は「今日は蒸し暑いですね」「今日は良い天気ですね」などの挨拶を略して生まれました。

「今日は〇〇ですね」の略語のため、「こんにちは」が正しいとされています。

助詞の「は」は発音が「ワ」でも「は」と書く

「今日は〇〇ですね」の「今日は」も、発音は「コンニチワ」です。「今日は」と書く理由は、「現代仮名遣い」のルールを国が定めているためです。助詞の「は」は発音が「ワ」でも、表記は一部の例外の除いて「は」と書きます。

ただし、「現代仮名遣い」が定められたのは1986年になります。それ以前は「こんにちわ」でも問題なかったそうです。(こんにちわだけが正しいとする説もあります)

助詞とは、単語に付けて「言葉の関係や対象」を表すものです。「は」以外にも「て」「に」「を」などがあります。まとめて「てにをは」と呼ばれます。

「こんにちわ」はなぜ使われる?

「こんにちわ」は発音から誤解されている

誤用の「こんにちわ」が使われる理由として「発音から誤解されている」と推測できます。特に、日本語を勉強中の海外の人は、聞こえた通りに「こんにちわ」と書く人もいるようです。

かつては「こんにちわ」も間違いではなかった

かつては「こんにちわ」も間違いではなかったことも、いまだに「こんにちわ」が残る理由に関係しているかもしれません。

先述した通り、「こんにちわ」が明確に誤用だと定められたのは1986年です。それ以前の本や資料には「こんにちわ」が使われていることもあり得ます。

「こんにちは」が堅苦しいと思って広まった説もある

もうひとつ推測できるのが「『こんにちは』では堅苦しい」です。若い人たちが「こんちわ~」や「ちわっす」などの柔らかい響きの挨拶を派生させていることも、この説の信ぴょう性を高めています。

「こんにちは」「こんにちわ」の注意点とは?

ビジネスでは必ず「こんにちは」にする

「こんにちわ」は誤用のため、ビジネスシーンなど正しい日本語が必要な場面では必ず「こんにちは」と書きましょう。「こんにちわ」を使うと、社会人としての常識を疑われることも考えられます。

漢字表記「今日は」は避ける

「こんにちは」の漢字表記は「今日は」です。しかし、平仮名の「こんにちは」が一般的に使われています。

「今日」が「こんにち」より「きょう」の読み方がよく使われることが理由です。「今日は」と書くと、「挨拶ではなく『きょうは』かもしれない」と、相手を困らせてしまうかもしれません。

ちなみに、「今日和」という漢字表記は正式なものではありません。当て字になるため、かしこまった場面では避けましょう。

「こんにちわ」が間違いではない時代もくる?

現在では「こんにちわ」は正しいとはされません。しかし、将来的に再び「こんにちわ」が受け入れられる可能性もあります。時代に合わせて変化した言葉が許容され、正しい使い方になることもあるからです。

助詞「は」を使う言葉が「わ」表記に変わった前例もあります。有名なのは「今際(いまわ)」です。「今は限り」の略のため、かつての平仮名表記は「いまは」でした。しかし、現在では「いまわ」が正しい平仮名表記とされています。

他の挨拶の表記・語源とは?

夜の挨拶「こんばんは」も「こんばんわ」表記は間違い

「こんにちは」の類語に、夜の挨拶「こんばんは」があります。こちらも、現在の文法では「こんばんは」が正しく、「こんばんわ」は間違いとされています。

「こんばんは」の語源は”今晩は〇〇ですね”

「こんばんは」の語源は「今晩は〇〇ですね」です。「こんにちは」と同じく「今晩は月がきれいですね」などの表現を略した挨拶になります。

「こんばんは」の「は」も助詞のため、かつては「こんばんわ」でも問題ない時代がありました。

「おはよう」の語源は”お早いお着きでございます”

朝の挨拶「おはよう」(丁寧に伝える場合は「おはようございます」)の語源は「お早いお着きでございます」だと考えられています。元は歌舞伎で使われていました。

「お早いお着きでございます」が歌舞伎で使われていた理由は諸説あり、明確ではありません。「練習や準備のために、朝早く来る役者を労わった」「遅く来た座長に配慮した」などの説があります。

まとめ

現在の文法では「こんにちは」が正しく、「こんにちわ」は誤用とされます。「こんにちわ」は、友達とのカジュアルなメールやSNSだけで使うようにしましょう。