「自己効力感」とは?自信と自己肯定感との違いと感情を高める方法

現代社会では「成功」や「達成」の値が、個々を評価する基準となりつつありますが、「自己効力感」を高めれば、目標に辿り着けるという「自信」や「見込み感」を強く感じることもできます。

ここでは社会生活で勝ち抜く源となる感情「自己効力感」についてまとめています。言葉の意味、似た言葉である「自信」と「自己肯定感」との違いにも触れながら、「自己効力感」を高める方法もみていきましょう。

「自己効力感」とは何か?

心理学用語である「自己効力感」とは一体どういうものなのでしょうか?はじめに英語表記と併せて概要を紹介しましょう。

「自己効力感」は英語の「self-efficacy」のこと

「自己効力感」とは英語で「self-efficacy」と表現し、カタカナ語では「セルフ・エフィカシー」と呼ばれています。日常ではあまり聞きなれない言葉ですが、自己啓発セミナーや心理カウンセリングなどで頻繁に使われる言葉です。

「自己効力感」の意味は「目標を達成できるという期待と認知」

「自己効力感」とは、人がある状況の中で「必要な行動が上手にとれるか」という可能性を認知し、期待する感覚を指す言葉です。わかりやすく言えば「自分が持つ目標やゴールに対し、達成することができるという見込み感」となります。

たとえば、社会人になると新しいものごとにチャレンジしたり、難しい課題に取り組むこともあるでしょう。ここで「自己効力感」の高い人は自分の能力を信じ、チャレンジする力をもっているため、どのような努力や工夫をすれば上手に達成できるかを瞬時に考えることができます。つまり「自己効力感」を高めれば「課題を克服できるという自信への期待と自信」が生まれてくるのです。

「自己効力感」は心理学者「バンデューラー」の論文から

心理学用語でもある「自己効力感」はカナダ出身の心理学者・バンデューラーが提唱した概念の一つで、認知行動的アプローチのベースでとして知られる「社会的認知理論」という論文の中で詳しく説明されています。

「社会的認知理論」とは、人々が社会生活を送る中で周囲から伝達されるインフォメーションをどのような察知し、そして認識するかというプロセスを説いていますが、バンデューラーは「人は自己効力感という感覚を通じてものごとを捉え、考え、決断を下す」としています。

また、バンデューラーは学業やスポーツ、また仕事やコミュニティ活動など人生のあらゆる場面において、「自己効力感」の有無や大きさが人々の生活に多大な影響を与えると説明しています。

「自己効力感」の3つの尺度

「自己効力感」には「自己統制的自己効力感」「社会的自己効力感」「学業的自己効力感」の3つの尺度があり「General Self-Efficacy Scale=GSES」と呼ばれています。

人間の行動における「先行要因」「結果要因」「認知的要因」に分類し、これらの尺度を使って「自己効力感」の高さを測定しますが、通常、十数個の質問に対して「はい、いいえ」で答える方式となり、得点が高ければ高いほど「自己効力感」が高いと判定されます。

「自尊心」と「自己肯定感」の違いとは?

それでは「自己効力感」と似た言葉である「自己肯定感」と「自尊心」との違いを挙げてみます。それぞれの言葉の意味を理解をして、正しい使い方をするようにしましょう。

「自己肯定感」との違いは「自己を積極的に評価する感情」

「自己肯定感」とは「社会の中の自分の存在やあり方を前向きに評価できる感情」のことです。「なぜ自分はこの輪の中に存在しているのか、価値ある存在なのか」という点において、極めて前向きにとらえることができる感情を指します。

また、「自己肯定感」は「決して自分は無意味な存在ではない」「自分の価値は尊い」という意識が高く、「自己否定感」の対義語にあたる言葉です。

「自尊心」との違いは「価値ある存在だと信じる感情」

「自己効力感」と似た言葉に「自尊心」がありますが、二つの言葉には「自分の存在や能力に対しての捉え方」に違いがあります。

「自己効力感」は「ゴールに達成できるという見込みを表す感情」であり、一方「自尊心」は「自分の存在自体に価値があると肯定する感情」を示す言葉です。自分の中に目的達成に向けての意識があり、その能力や可能性に対して期待と自信があるさまを指す時は「自己効力感」、また自身の存在価値を認める強い感情を示す時は「自尊心」を使うようにしましょう。

「自己効力感」と「自信」を高める3つの方法

自分の人生は自分で切り開いていくしか方法はありません。何もかも周囲のせいにせず「自己効力感」と「自信」を高めて、社会の中で成功を収めて行きましょう。

小さな成功歴を積みあげる

人はどのような小さな目標でも、結果として「成功」すれば「自信」へとつながるものです。野菜嫌いの子供でも「昨日はキュウリを食べることができた」「今日はニンジンを食べることができた」と小さな「成功歴」を積み上げていけば、「明日は別の野菜を食べることができる」という大きな自信につながるものです。このような例が「自己効力感」を高める基本的な原理であり、着実に効果を上げるステップになります。

「自己効力感」を上げるには、どんな些細な目標に対しても結果として「成功の数」を増やすことにあるのです。

現代の職場では個々の能力を基準に評価を決める「絶対評価」の採用が盛んであり、より「成功」や「達成数」が上がる仕組みにスイッチされ始めています。この試みも、社員の自己効力感を高める一つの効果的な方法と言えるでしょう。

自分の成果をデータ化してみる

「自己効力感」を高める方法として、自分の目標に対するプロセスや結果をデータ化することが挙げられます。自分の能力や行動は、個々の性格や考え方によって「厳しくなりすぎたり、逆に甘くなりすぎたり」と正しく判断できにくいことがあります。

自分の目標を掲げたら、達成に向けての行動や計画をメモに残しながら、目標に対する結果を数字やパーセンテージでデータ化してみましょう。そして、目標が達成できなかった時は「自身の行動の振り返り」「目標設定の修正」を忘れず、新たに達成への戦略を立てるようにして下さい。

成功者の話に耳を傾ける

「ものごとを上達させたければ、成功者やプロから学ぶべし」というように、「自己効力感」を高めるには、その道の成功者に接し、できるだけ多くの話を聞くことが有効的です。「失敗しないと学ぶことはできない」という考えもありますが、ビジネスシーンでは可能な限り失敗は避けるべきでしょう。小さな失敗ならまだしも、取り返しのつかないような大きな失敗は、ビジネスで大きな傷跡を残してしまうからです。

「成功者の歩んだ道筋を擬似体験する」とまでは行きませんが、職場なら、まず成功を収めている人の行動や思考を観察してみましょう。成功グセのついている人は「自己効力感」の高い人が多いものです。

まとめ

「自己効力感」とは心理学用語の一つで「目標やゴールを到達するための能力を認識すること」また「達成への自信と見込み感」を表す言葉です。スポーツの世界やビジネスシーンでも「自己効力感」の高さは結果に直結していると言われ、成功を収めるために「不可欠な感情のあり方」でもあると考えられています。

「自己効力感」を高める方法は、大きな成功へとつながる「小さな階段=小さな成功」を、数多く上るようにすること、そして「全ての成功を自覚」することです。

ちなみに「自己効力感」は「自己可能感」または「自己効力」と称することもあります。意味と使い方は同じですので併せて覚えておきましょう。