「愛想が尽きる」とは「好意や愛情がなくなること」という意味の慣用句で、恋愛関係や人間関係で上手くいかなくなった時に聞かれます。
今回は、「愛想が尽きる」の意味や「愛想」の読み方のほかに、「愛想が尽きる」の使い方を解説。また、「愛想が尽きる」の類語と併せて、「愛想を尽かす」との違いなども説明します。
「愛想が尽きる」の意味とは?
「愛想が尽きる」とは「好意や愛情がなくなること」
「愛想が尽きる」とは「好意や愛情がなくなること」という意味の慣用句です。もともと好きだった人やものに対して、好きという気持ちがなくなってしまうことを指しています。
また「人やものへの信頼がなくなってしまうこと」という意味もあります。好きではなくなってしまい、さらにその人やものへの信じる気持ちも断たれてしまうことを指しています。
「愛想が尽きる」は「すっかり嫌いになること」という意味も
「愛想が尽きる」には「すっかり嫌いになること」という意味もあります。好意や愛情がなくなったため、その対象となる人やものを嫌いだと思い、まったく興味がなくなることを指しています。
「愛想」の読み方は「あいそ」と「あいそう」
「愛想」は「あいそ」と「あいそう」という2つの読み方があります。どちらも正しい読み方ですが、「あいそう」を縮めた「あいそ」という読み方の方が定着しています。
「愛想が尽きる」も「あいそがつきる」と読まれることが多いでしょう。
「愛想」の意味は「人に接したときの好意」
「愛想」とは「人に接したときの好意」という意味です。「お愛想」という言い回しでは、好意のある相手に対するおもてなしや、「レストランやカフェなどでの勘定」という意味でも使われています。
「愛想が尽きる」の使い方と例文
「彼氏や彼女に愛想が尽きる」とは彼氏や彼女を嫌いになること
「彼氏や彼女に愛想が尽きる」とは「彼氏や彼女を嫌いになること」という意味です。「愛想が尽きる」は恋愛関係においてよく使われていて、「彼氏に愛想が尽きた」という表現でボーイフレンドへの愛情がなくなってしまったという意味や、嫌いになったという意味で使われます。
また、嫌いになったうえに呆れてしまうという意味が含まれることもあるでしょう。どの意味で使われているのかは、文脈やその人の話し方から探ることになります。
- 彼女には愛想が尽きた。もう会わないよ。(「愛想が尽きる」は「嫌いになる」という意味で使われている)
- 彼氏には愛想が尽きた。バカなんだから。(「愛想が尽きる)が「呆れる」という意味も含んでいる)
「夫に愛想が尽きる」とは夫が嫌いになること
「夫に愛想が尽きる」とは「夫が嫌いになること」という意味で、「愛想が尽きる」は恋愛関係のように夫婦関係においても使われます。夫婦の関係で使われることが多い一方で、親子関係において「愛想が尽きる」は使われません。親から子、子から親への愛情が冷めることは稀だという前提があるからでしょう。
愛想が尽きた夫に作る料理なんてない
「会社に愛想が尽きる」とは「会社が嫌いになる」という意味
「会社に愛想が尽きる」とは「会社が嫌いになる」という意味で使われます。これまで好んで働いていた会社だったのに、何かのきっかけで嫌いになり通勤したくないと思えるような状況で使われます。
会社にはもう愛想が尽きた。来月には辞表を出すぞ
もともと嫌いな相手には「愛想が尽きる」は使わない
「愛想が尽きる」という慣用句は、もともと好きではなかった相手やものに対しては使えまぜん。「愛想が尽きる」は「好意がなくなる」という意味ですから、好意を持っていた相手に対してだけ使えます。
「愛想が尽きる」の類語と言い換え表現
「嫌いになる」や「好きではなくなる」は類語表現
「嫌いになる」や「好きではなくなる」は「愛想が尽きる」の意味を言い表した表現なので、「愛想が尽きる」の類語表現になります。「愛想が尽きる」の言い換え表現としても使えるでしょう。
- 彼女が嫌いになった
- 彼氏が好きでなくなった
「冷める」も「愛想が尽きる」の言い換え表現
「冷める」には「高まっていた感情が少なくなる」という意味があり、その感情が好意や愛情のときは「愛想が尽きる」の言い換え表現になります。ただし「冷める」は好意や愛情など、何についての感情が少なくなっていくのかを言い表す必要があります。
「妻が冷める」という言い方せず、「妻への愛情が冷める」のように言い回します。
彼の何気ない行動を見たとき、彼への愛情が冷めていった
「愛想が尽きる」と「愛想を尽かす」「愛想を尽かされる」との違い
「愛想を尽くす」は相手への好意や愛情を出し切ること
「愛想を尽くす」とは「相手への好意や愛情を出し切ること」を意味しています。「愛想が尽きる」と似ている表現ですが、「愛想が尽きる」はそれまでに相手にあった好意や愛情がなくなった状態を示しています。それに対して「愛想を尽くす」は相手への好意や愛情をこれ以上示すことができないことを意味している能動的な表現です。
すでに好意や愛情がなくなったというときには「愛想が尽きる」を使い、自分が好意や愛情をこれ以上は表せないと活きには「愛想を尽くす」を使います。
- 愛想が尽きた
- 私は夫に愛想を尽かした
「愛想を尽かされる」は受け身的表現
「愛想を尽かされる」は「愛想を尽くす」の受け身的表現です。受け身はほかの人から動作を受けることですから、「愛想を尽かされる」とは誰かが自分のことを愛想を尽くすときに使われます。
僕は彼女に愛想を尽かされた
「愛想が尽きる」の英語表現
「愛想が尽きる」は英語で「run out of affection」
「愛想が尽きる」は英語の「使い果たす」という意味の「run out of」というイディオムに、「好意や愛情」を意味する「affection」を続けることで表現できます。直訳すると「愛情を使い果たす」で、「愛想が尽きる」という意味の英語表現になります。
“I have run out of affection with you.”
「あなたには愛想が尽きた」
「愛想が尽きる」は口語なら「be fed up with」
好意や愛情を与えられすぎて飽きてしまってうんざりするという状態を言い表すのに使われるのが、「be fed up with」という英語表現です。口語表現ですが、「飽き飽きして嫌になった」という意味で使われています。
“I’m fed up with her.”
「彼女に愛想が尽きた」
まとめ
「愛想が尽きる」とは「好意や愛情がなくなる」という意味ですが、「すっかり嫌いになる」という意味でも使われる慣用句です。恋人関係や夫婦関係など愛情によって結びつけられた人間関係でよく使われる一方で、会社など愛着のあるものとの関係でも使われます。