「穀雨」とはいつ?意味や読み方、季語、旬の食べ物も紹介

「穀雨」は、二十四節気の第6節目で春季最後の節季にあたり、穀物に恵みの雨が降り注ぐ時期です。この記事では、「穀雨」とは実際いつ頃で、どんな意味を持つ時期なのかをはじめ、「穀雨」を季語に使った俳句や旬の食べ物などをご紹介。この時期に咲く花も一緒にご紹介します。

「穀雨」とはいつ?どんな意味がある?

「穀雨」は二十四節気の第6節目、読み方は「こくう」

「穀雨」は「こくう」と読み、二十四節気の第6節目にあたります。4月19日から5月4日頃までが「穀雨」です。二十四節気で春季の最後の節気であり、だんだんと夏が近づいてくる時期となります。

「穀雨」には「雨が百種の穀物を生じさせる時期」という意味があります。柔らかく暖かな雨が田畑を潤し、気候も安定して種まきに最適な季節です。

「穀雨」には農業にとって縁起の良い日がある

「穀雨」の終わり頃に「八十八夜(はちじゅうはちや:雑節のひとつ。立春から数えて八十八日目にあたる日)」が訪れます。

「八」「十」「八」の字を組み合わせると「米」になり、末広がりの八とも重なることから、「八十八夜」は農作業に縁起の良い日とされています。また、この日に摘んだお茶を一番茶といい、飲むと一年間無病息災で過ごせる縁起物とされています。

「八十八夜」には、何か夏支度をすると良いとされているため、日傘やサンダル、夏の帽子などを出してみるのもおすすめです。

「穀雨」の時期に降る「百穀春雨」は恵みの雨

「穀雨」の時期に降る雨を「百穀春雨(ひゃっこくはるさめ)」と呼び、百穀(あらゆる穀物)を潤し芽を出させる恵みの雨といわれています。

春の雨には他にもいろいろな呼び名があります。

春の雨の呼び名

  • 春時雨(はるしぐれ)…降ったり止んだりする春の小雨
  • 花時雨(はなしぐれ)…桜が咲いている時期に降る時雨
  • 瑞雨(ずいう)…穀物の生長を促す雨
  • 春雨(はるさめ)…春にしとしと静かに降る雨
  • 菜種梅雨(なたねつゆ)…菜の花の咲く時期の長雨
  • 催花雨(さいかう)…花の開花を促すように降る雨

「穀雨」は季語にもなっている?

「穀雨」は「春」の季語

「穀雨」は「春」を表す季語で、「時候」の季語に分類されます。季語とは、俳句や連歌などを作る際に季節を表すために詠み込む言葉のことで、時候の挨拶として手紙で使うこともあります。

季語には大きく分けて「事実の季語」「指示の季語」「約束の季語」という3つの種類があり、さらに「時候」「天文」「地理」「人事」「行事」「忌日」「動物」「植物」「食物」の9つに分類されます。

「穀雨」を季語に使った俳句

有名俳人の句で、「穀雨」を季語に使った俳句をご紹介します。

「穀雨」を使った俳句

  • 穀雨かな記紀にしるせし野を歩く…伊藤敬子
  • 傘立てて穀雨の雫地に膨れ…峰尾北兎
  • 石臼のはればれ打たる穀雨かな…瀧澤伊代次

「穀雨」に旬を迎える食べ物とは

「筍(たけのこ)」

筍(たけのこ)は、種類にもよりますが、「穀雨」の時期を含む3月から5月頃に多く出回ります。筍とは、タケ類の地下茎からでる幼茎を指します。

「筍」という漢字の由来は、竹が「一旬(10日間)」で成長することから、竹の旬の時期という意味だという説もあります。

「アスパラガス」

アスパラガスは、冬の間に根に養分を蓄え、春に若い茎が伸び出してきます。新鮮なアスパラガスは、茎が太めで、穂先は固く絞まっています。アスパラガスを選ぶ際には、茎がまっすぐで形よく伸びたものを選ぶと良いでしょう。

「ヤリイカ」

「穀雨」の時期に旬を迎えるヤリイカは、全体的に細長いのが特徴です。地方によって、サヤナガ、ササイカ、テッポウなどの呼び方があります。

身質が柔らかく、甘みがあるため、刺身として楽しめます。身の色が鮮度に応じて透明、茶色、白と色が変化するため、透明のものを選ぶと鮮度が高いといえます。

「穀雨」の時期に咲く花とは

「藤」

4月下旬から5月上旬に咲く藤の花は、ゴールデンウィークくらいにちょうど見頃を迎え、各地の名所には多くの人が訪れます。日本では、藤棚や盆栽に仕立てられることが多い藤。垂れ下がる紫の花は、鮮やかさを演出し周囲の緑に映えるため、人々の心を惹きつけます。

藤の花には「優しさ」「歓迎」「恋に酔う」「忠実な」「決して離れない」という花言葉があり、女性らしさの象徴とされています。

「ヒナゲシ」

ヒナゲシも「穀雨」の時期に赤い花を美しく咲かせます。ヒナゲシは虞美人草(ぐびじんそう)とも呼ばれます。虞美人草という名は、中国の前漢「項羽と劉邦」の時代で楚国の武将だった項羽の愛姫、虞美人から名づけられました。虞美人の死後、墓の側に咲いたヒナゲシの赤い花の色が、虞美人の血の色のようだから、とされています。

ヒナゲシには「いたわり」「思いやり」「心の平静」「休息」「別れの悲しみ」「恋の予感」などの花言葉があります。

まとめ

「穀雨」は、二十四節気の第6節目にあたり、4月19日から5月4日頃までの期間です。「雨が百種の穀物を生じさせる時期」という意味があり、二十四節気で春季の最後の節気にあたります。だんだんと夏が近づいてくる時期で、「穀雨」の時期に降る雨を「百穀春雨」と呼びます。