夏の暑い時期に耳にする「残暑」という言葉。「暑中」とはどう違うかご存知でしょうか?「残暑」とはいつからいつまでのことなのかをはじめ、「残暑見舞い」の由来や例文もご紹介。ぜひ参考にしてみてください。
「残暑」とはいつからいつまで?
「残暑」は「立秋」から「秋分」まで
「残暑」とは、暦の上で秋になってからも残る夏の暑さのことをいいます。暦の上で秋を迎えるのが「立秋(りっしゅう)」で、例年8月7日頃です。この「立秋」から「秋分(しゅうぶん:例年9月23日頃)」までの暑さを「残暑」といいます。
「立秋」は、二十四節気(一年を春夏秋冬の4つに分け、さらにそれぞれを6つに分けた中国由来の暦。それぞれに季節を表す名前が付けられている)のひとつです。
「残暑」の間のおさまらない暑さを「残暑が厳しい」という
「残暑」は立秋から秋分までの間の暑さのことをいいますが、この「残暑」の間に気温が高い、または厳しい暑さがある状態のことを「残暑が厳しい」といいます。
この「残暑が厳しい」状態は、秋分の日くらいを境におさまっていきます。秋分の日の3日前から彼岸入りし、秋分の日を中日、秋分の日の3日後に彼岸明けです。この秋の彼岸が気候の分かれ目となっていることから、「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉があります。
「残暑」の対義語は「余寒」
暦が秋になっても残る夏の暑さ「残暑」に対して、暦の上で春となる「立春(りっしゅん:例年2月4日頃)」を迎えても残る冬の寒さのことを「余寒(よかん)」といいます。
「余寒」にはいつまでという決まりはありませんが、一般的な目安は2月中です。寒さが厳しい地方では、3月上旬までを目安と考えましょう。
「残暑見舞い」の由来とは?いつまでに出す?
「残暑見舞い」の由来
「残暑見舞い」は、暑さの厳しい時期に相手の健康を気遣い、互いの状況を確認する意味を持ちます。この「残暑見舞い」は「お中元」に由来しています。
もともとは、お盆に里帰りをする際に自分の先祖への贈り物を持っていっていましたが、それが次第に先祖だけでなく、お世話になっている人にも贈るようになったものが「お中元」です。そのお中元がさらに簡略化され、手紙でやり取りをするようになったのが「暑中見舞い」や「残暑見舞い」の由来とされています。
手紙だけでなく、相手の状態を確認するために直接家にうかがう場合も「残暑見舞い」といいます。
「残暑見舞い」を送るなら8月末まで
「残暑」は秋分までの暑さのことですが、「残暑見舞い」を送る場合には8月末までに送るようにしましょう。遅くなってしまったとしても、9月7日頃までの「処暑(しょしょ)の候(二十四節気のひとつで、暑さが終わる頃、という意味を持つ)」までには届くように送ります。
「暑中見舞い」と「残暑見舞い」の違い
「暑中見舞い」と「残暑見舞い」の一番の違いは、その時期です。暑中見舞いは、一般的に梅雨明けとされる「小暑(しょうしょ:二十四節気のひとつで例年7月7日~7月22日頃)」から「立秋」の前日までの間に出します。二十四節気では、小暑の次は「大暑(たいしょ:例年7月23日~8月7日頃)」です。この小暑と大暑の期間を「暑中」といい、暦上の「最も暑い時期」となります。
「暑中見舞い」は「最も暑い時期」に、「残暑見舞い」は「暑さの残る時期」に出すものと覚えておきましょう。
「残暑見舞い」を出す時の注意点
「残暑見舞い」を出す時に注意したいのが、どんなに暑い時期だったとしても、暦の上では秋だということです。夏本番を見舞う「暑中見舞い」とは違い、秋なのに暑さが終わらない状態だということを意識した文面にする必要があります。
「立秋とは名ばかりの猛暑の候」や「暦の上では秋とはいえ、まだまだ暑い日が続きますが」など、暑さがなかなか終わらない気候に合わせましょう。
日付も、「暑中見舞い」では「盛夏(せいか)」と書きますが、「残暑見舞い」では「晩夏(ばんか)「立秋」「葉月」などと書きます。
「残暑見舞い」の例文
「残暑見舞い」は、基本は手書きです。友人や知人には横書きでもかまいませんが、目上の人には縦書きにしましょう。以下の項目を押さえて書きます。
- 「残暑お見舞い申し上げます」や「残暑お伺い申し上げます」の挨拶
- 相手の近況を尋ねる文言
- 自分の近況(仕事・プライベート)
- 相手の健康を願う文言
残暑お伺い申し上げます 暮夏(ぼか)の候、皆様ますますご健勝のことと存じます。 令和〇年 葉月
日頃のお引き立てに厚く御礼申し上げます。
さて、私どもは下半期からも新しいご提案ができますよう、
社員一丸となり邁進してまいります。
今後とも変わらぬお付き合いとご指導のほど、よろしくお願い申し上げます。
炎暑が続きます折、皆様におかれましては一層のご自愛をお祈り申し上げます。
「残暑」はいつの季語?
「残暑」は秋の季語
「残暑」は俳句では秋の季語です。秋の始まりである初秋の季語として用いられます。
さかゆきのにほへるほどの残暑かな…飯田蛇笏(いいだだこつ) 門前に出茶屋の松の残暑かな…久保田万太郎(くぼたまんたろう) 朝の間はかたついて居る残暑哉… 加賀千代女(かがのちよじょ)
「残暑」の関連季語に「秋暑し」も
季語には変化形があり、元の季語を親季語、変化形を子季語といいます。「残暑」を親季語とした子季語に、「残る暑さ」があります。
また、「秋暑(しゅうしょ)」や「秋暑し(あきあつし)」も「残暑」に関連する季語です。他に「餞暑(せんしょ:暑さの去るのを送るという意味)」という季語もあります。
まとめ
「残暑」は、暦の上で秋になってからも残る夏の暑さのことです。「立秋」から「秋分」までの暑さを「残暑」といいます。「残暑見舞い」を送る場合には8月末までに送るようにし、もし遅くなってしまったとしても、「処暑」の頃までには届くように送りましょう。
残暑お見舞い申し上げます
暦の上では秋とはいえ、まだまだ暑い日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか?
おかげさまで私は夏バテもせず元気に過ごしています。
お盆には残念ながら会えませんでしたが、またみんなで集まりましょう。
夏の疲れが出る頃ですので、くれぐれもお体ご自愛ください。
令和〇年 晩夏