「萌葱色(もえぎいろ)」は、鮮やかな青みがかった緑色です。古来より使われてきた「萌葱色」のカラーコードをはじめ、名前の由来や雑学もご紹介。同じく「もえぎいろ」と読む「萌黄色」「萌木色」の2つの色との違いも解説します。
「萌葱色(もえぎいろ)」とはどんな色?
「萌葱色」は「暗い緑色」
「萌葱色(もえぎいろ)」は、萌え出た葱(ねぎ)の芽のような、暗い緑色です。植物が芽吹くことを「萌え出る」といいます。「萌葱色」の系統色名は「dk-G」で、「暗い緑」です。古くから着物の色にもよく使われてきました。
「萌葱色」のカラーコードは「#006D4D」
「萌葱色」のカラーコード(web color)は、「#006D4D」や「#006E54」などです。光の三原色RGBでは、「R(赤色):0、G(緑色):109、B(青色):77」や「R:0、G:110、B:84」などで表すことができます。
印刷の4原色CMYKでは、「C(シアン):80、M(マゼンタ):0、Y(イエロー):65、K(ブラック):50」で表現できます。
「萌葱色」の補色は赤紫系の色
「萌葱色」の補色は、赤紫系の色です。補色とは、互いの色を最も引き立たせる色の組み合わせのことで、色相環(hue circle:色相を環状に配置したもの)では正反対に位置する色です。
萌葱色をカラーコード「#15543B」で表現した時、その補色は「#54152E」で表現できます。
「萌葱色」の由来や雑学
「萌葱色」の由来は「芽吹いた葱の芽」
「萌葱色」の名前は、「葱」という字が含まれている通り、「芽吹いた葱の芽」に由来しています。芽吹いた葱の芽は、太陽の光を浴びて緑が濃くなっていきます。「萌葱色」はその葱の青い部分の色が由来です。
「萌葱色」は日本の伝統色
「萌葱色」は、日本の伝統色465色のうちの1つです。日本の伝統色とは、日本に古来から伝わる色のことで、和色と呼ばれることもあります。原色とは異なり、四季折々の花や草木、空の色などに名前をつけたものです。
伝統色は衣装にも反映されており、衣装一枚一枚の表裏の色合いや、光が透ける際に感じられる微妙な色合いの違いなどが楽しまれてきました。
「萌葱色」は歌舞伎の定式幕にも使われている
歌舞伎の舞台でよく見かける三色の幕を「定式幕(じょうしきまく:定式とは、いつも使うものの意)」といいます。この定式幕に使われている緑色が「萌葱色」です。
この定式幕は、昔は江戸三座(幕府から公認された江戸の三大劇場で、中村座・市村座・森田座があった)でそれぞれ違っており、中村座は左から黒・白・柿、市村座は黒・萌葱・柿、森田座は黒・柿・萌葱の順で配列されていました。現在の歌舞伎座は森田座式、国立劇場は市村座式を踏襲しています。
「萌葱色」と同じく葱の芽の色を表す色がある
「萌葱色」と同じく葱の芽の色に由来した日本の伝統色に「浅葱色(あさぎいろ)」があります。「浅葱色」は鮮やかな青系の色で、薄い葱色です。
「浅葱色」は平安時代から使われている色の名前で、江戸時代には地方出身の侍が小袖の裏によく「浅葱色」の木綿を使っていたことから、田舎武士を「浅葱裏(あさぎうら)」と呼び嘲ることもありました。
「萌葱色」を英語で表すなら「dark yellowish green」
「萌葱色」は日本の伝統色の名前なので、英語でも「moegi-iro」と言ってかまいません。「萌葱色」がどんな色なのかを英語で表すなら、「dark yellowish green」で伝わるでしょう。「dark yellowish green」は「濃い黄緑色」という意味です。
「萌葱色」と「萌黄色」や「萌木色」との違いとは
「萌黄色」は「さえた黄緑色」
「萌葱色」と同じく「もえぎいろ」という色は、他に2色あります。その一つが「萌黄色」です。「萌黄色」という名前は平安時代には生まれており、春先に萌え出た若葉のような、鮮やかでさえた黄緑色を指します。
「萌葱色」よりも黄色が強めの黄緑色で、カラーコード「#AFD147」や「#86B81B」などで表現できます。
「萌木色」は「青みがかった黄緑色」
もう1つの「もえぎいろ」が「萌木色」です。「萌黄色」と同じく、春先に萌え出た若葉の色が由来です。「萌木色」と「萌黄色」は同じ色を指していることが多いのですが、同じような黄緑色でも青みがかった方を「萌木色」とする場合もあります。カラーコード「#A7BD00」や「#6FB638」などで表現できます。
まとめ
「萌葱色」は、萌え出た葱の芽のような暗い緑色で、「芽吹いた葱の芽」に由来しています。日本に古来から伝わる伝統色で、着物や歌舞伎の定式幕にも使われてきました。カラーコード「#006D4D」や「#006E54」などで表現できます。