「処暑」とはいつ?「処暑の候」を使った例文や旬の食べ物も紹介

「処暑」は二十四節気の1つで、第14番目の節気です。処暑とは実際にいつ頃のことなのかをはじめ、その意味や処暑の時期に使われる挨拶「処暑の候」を使った例文などをご紹介。処暑の頃に旬を迎える食べ物や、見頃を迎える花もご紹介します。

「処暑」とはいつ?

「処暑(しょしょ)」は二十四節気の第14番目

「処暑」は「しょしょ」と読み、二十四節気の第14番目の節気にあたります。二十四節気は中国が発祥の太陽の動きをもとにした暦で、紀元前4世紀頃の春秋戦国時代に考案され、日本には平安時代には伝わっていたとされます。太陽が移動する天球上の道「黄道」を24等分しており、春夏秋冬の4つの季節をそれぞれ6つに分けています。

「処暑」は例年8月23日頃

「処暑」は太陽黄径が150度の時で、例年8月23日頃です。「処暑」の次の節気「白露(はくろ)」が始まる9月8日頃までの間(例年8月23日頃から9月7日頃までの間)のことも「処暑」といいます。

二十四節気をさらに約5日ずつ3つに分けた「七十二侯(しちじゅうにこう)」では、「処暑」は初侯の「綿柎開(わたのはなしべひらく:8月28日頃から8月27日頃)」、次侯の「天地始粛(てんちはじめてさむし:8月28日頃から9月1日頃)」、末侯の「禾乃登(こくものすなわちみのる:9月2日頃から9月6日頃)」に分けられます。

「処暑」とはどんな日?

「処暑」の意味は「暑さが和らぐ」

「処暑」の「処」には「落ち着く」や「とどまる」という意味があり、「処暑」には暑さが落ち着く、つまり「暑さが和らぐ」という意味があります。日中はまだまだ暑さが残るものの、朝晩には涼しい風が吹き、過ごしやすくなってきます。

江戸時代の暦の解説書『暦便欄』には「陽気とどまりて、初めて退きやまむとすればなり」との記述があり、勢いのある夏の太陽が徐々に鎮まり、厳しい残暑が和らいでくる季節です。秋の台風シーズンに入ってくるため、自然災害への警戒が必要になります。

「処暑」の頃に行われる行事

「処暑」の頃には、各地で風情のある有名な行事があります。

処暑の頃に行われる行事

  • 「吉田の火祭り」山梨県富士吉田市上吉田地区…8月26日・27日。日本三奇祭の1つで、国の重要無形民俗文化財に指定。
  • 「おわら風の盆」富山県富山市八尾地区…9月1日から3日。農作物が暴風の被害に合わないよう豊作を祈願し、情緒豊かな踊りを披露する祭り。
  • 「地蔵盆」京都をはじめとした関西地域…8月23日頃。子どもを守護する地蔵菩薩に、子どもの健やかな成長や安全を祈願する祭り。

「処暑の候」を使った例文

「処暑の候」は、「処暑」の時期に使う時候の挨拶です。「処暑の候」を使った手紙やビジネス文書の書き出しの例文をご紹介します。

「処暑の候」を使った例文

  • 「拝啓 処暑の候 皆様にはますますご清栄のことと存じ上げます。」
  • 「謹啓 処暑の候 貴社ますますご繁栄のこととお喜び申し上げます。」
  • 「拝啓 処暑の候 まだまだ夏の暑さが続きますが、お変わりございませんでしょうか。」

「処暑」の頃に旬を迎える食べ物

「葡萄(ぶどう)」

「処暑」の頃に旬を迎える食べ物の1つが葡萄(ぶどう)です。8月から10月が葡萄の旬ですが、なかでも粒の大きい「ピオーネ」「巨峰」「シャインマスカット」などの品種が「処暑」の頃に食べ頃になります。

葡萄にはビタミンやブドウ糖などが豊富に含まれており、エネルギー補給とエネルギー代謝が促進されるため、疲労回復に効果が期待できます。上部分の方が糖度が高いため、下から食べていくと徐々に甘みが強くなり、最後まで美味しく食べることができます。

「無花果(いちじく)」

無花果(いちじく)も「処暑」の頃が旬。無花果は外部からは花が見えず、内側に小花がついて果実となるため「無花果」と書きます。そのまま生で食べても、ジャムやドライフルーツにしても、焼き菓子に入れても美味しくいただけます。傷みやすいため、早めに食べ切りましょう。

「鰯(いわし)」

鰯(いわし)の旬も「処暑」の頃です。北海道釧路沖のマイワシの旬が8月から9月にかけてとなります。すぐに弱ってしまう魚であることから、魚に弱いと書いて「鰯」が名前の由来ですが、実際には「海の米」や「海の牧草」とも呼ばれ、世界中で海の生態系を支えています。

「秋刀魚(さんま)」

秋を代表する魚、秋刀魚(さんま)は9月から10月が旬。「処暑」の頃にちょうど旬に入り始めます。秋に獲れ、銀色に輝く細い柳葉形の魚体が刀に似ていることから「秋に獲れる刀のような魚」で「秋刀魚」が名前の由来とされています。

近年は漁獲量が極端に減っており、庶民の魚のイメージから徐々に離れてしまっていますが、様々な効能を持っており、生活習慣病や動脈硬化などが気になる方におすすめです。

「処暑」の頃に見頃を迎える花

「木槿(むくげ)」

朝に開いて夜にはしぼんでしまう木槿(むくげ)。はかなく涼やかな花とされ、「槿花一朝(きんかいっちょう)の夢」という成句も存在するほどです。梅雨の頃から咲き始め、夏の間中大きく華やかな花を咲かせます。原産地は中国とされますが、はっきりとしておらず、韓国の国花として知られています。

「萩(はぎ)」

秋の七草の1つ、萩(はぎ)が花を咲かせるのも「処暑」の時期です。古来より日本人に親しまれてきた萩は『万葉集』でも最も多く詠まれています。枝が垂れており、晩夏から秋にかけて赤紫色の多数の花を咲かせます。秋のお彼岸に供える「おはぎ」の名前の由来は、この萩にちなんでいるとされます。

まとめ

「処暑」は二十四節気の第14番目の節気にあたり、例年8月23日頃です。「処暑」には「暑さが和らぐ」という意味があり、日中は暑さが残りますが、朝晩には涼しい風が吹いて過ごしやすくなってきます。葡萄や秋刀魚などが「処暑」の頃に旬を迎えます。