美しい「大和言葉」とは?自然・恋・かっこいい言葉を一覧で紹介

言葉遣いが美しい人は、とても魅力的です。響きが美しく、たおやかな「大和言葉」を使いこなしている人からは、品がよく優しい印象を受けることでしょう。この記事では、大和言葉とはどんなものなのかをはじめ、さまざまなシーンで使える大和言葉を一覧でご紹介。意識して普段の会話に取り入れてみてはいかがでしょうか。

「大和言葉」とは

「大和言葉」は古くから使われてきた日本固有の言葉

大和言葉とは、日本で生まれ古くから使われてきた言葉で、「和語」ともいいます。日本語には、大和言葉の他に、中国から渡ってきた「漢語」や、西洋の国から渡ってきた「外来語」、さらにそれらを組み合わせて生まれた「混種語」があります。

大和言葉は、時の流れの中で使われなくなってしまった言葉もありますが、現代で使われている言葉のなかにも実は多くの大和言葉があります。

「大和言葉」の特徴

大和言葉には、以下のような特徴があります。

  • ひらがな言葉や、漢字の訓読みの言葉…「春(はる)」や「山(やま)」など、訓読みの言葉の大半が大和言葉。
  • オノマトペと呼ばれる、擬音語や擬態語に多い…「さらさら」「しとしと」「ざわざわ」など。
  • 抽象的な単語よりも、具体的な物・現象を表す言葉が多い…「風」を表す大和言葉だけでも「東風(こち)」や「夕風(ゆうかぜ)」「微風(そよかぜ)」など多数ある。
  • 形容詞や動詞の多くが大和言葉で、多義の言葉が多い…「たのしい」や「いく」など、動詞や形容詞の多くが大和言葉。大和言葉の「みる」には「見る・観る・看る・視る」など、多くの意味が含まれる。

身近には大和言葉がたくさんあることがわかります。

いつもの言葉も「大和言葉」に言い換えられる

大和言葉は言葉が持つ印象が優しいため、大和言葉を使うことで相手に対し柔らかい印象を与えることができます。「漢語」にはフォーマルで堅い印象が、「外来語」にはスマートでクールな印象があります。

例えば感謝を伝える場合に、温かみや親近感を感じてほしい場合には「感謝いたします」ではなく「ありがとうございます」を使う、というように、意識的に大和言葉を使うことで相手に与える印象を変えることができます。

名前にも使われる「大和言葉」

古風で奥ゆかしい大和言葉は、男女ともに名前にもよく使われます。美しい響きを持つ大和言葉に、さまざまな願いを込めた漢字を当てて命名したり、その言葉が持つ意味を大切にしてひらがなのまま命名したり。実際の例をいくつかご紹介しましょう。

大和言葉を使った女の子の名前

あおい・あかね・いずみ・かすみ・こゆき・しのぶ・ちとせ・ひかり・みやび・わかな

大和言葉を使った男の子の名前

あさひ・あゆむ・いつき・かずさ・すばる・たける・つばさ・まこと・みのる・やまと

さまざまな「大和言葉」一覧

自然に関する「大和言葉」

ここからは、さまざまな大和言葉をカテゴリごとに分けて一覧でご紹介します。

自然に関する大和言葉は数多くあり、古来より日本人が繊細な感性を持って自然と接してきたことがわかります。

  • 天泣(てんきゅう)…晴れているのに雨が降る「天気雨」の状態を、天が泣く「天泣」という
  • 天満月(あまみつつき)…満月の別名で、「空いっぱいに光輝く月」の意味
  • 花筏(はないかだ)…花びらが水面を流れる様子
  • 青嵐(あおあらし)…青葉の頃に吹く、やや強い風
  • 星の宿り(ほしのやどり)…星座のこと
  • 夕星(ゆうつづ)…夕方に、西の空に見える金星

季節に関する「大和言葉」

自然同様、季節にまつわる大和言葉もたくさんあります。

  • 春告げ鳥(はるつげどり)…鶯の別名で、春が来たことを知らせる鳥
  • 春雷(しゅんらい)…春の到来を伝える雷ともいわれる、3月から 5月頃に発生する雷
  • 片影(かたかげ)…夏の午後、家並みや塀などの片側にできる日陰
  • 短夜(みじかよ)…夏の短い夜
  • 山粧う(やまよそおう)…秋の山が紅葉によって色付く様子
  • 桐一葉(きりひとは)…桐の葉が落ちるのを見て秋の訪れを知ること
  • 木枯らし(こがらし)…秋の終わりから冬の初めにかけて吹く、強く冷たい風
  • 山眠る(やまねむる)…冬の山の静まり返った様子

恋に関する「大和言葉」

古くから恋に関する和歌は、多く詠まれてきました。

  • 思い人(おもいびと)…恋しく思う人、恋人
  • 恋衣(こいごろも)…心から離れない恋を、身につける衣に例えた言葉
  • 恋の蛍(こいのほたる)…恋い焦がれる思いを蛍の火に例えた言葉
  • 待宵(まつよい)…来るはずの人を待つ宵
  • 恋の端(こいのつま)…恋のきっかけ

かっこいい熟語の「大和言葉」

熟語の大和言葉は、どこか神秘的でかっこいい印象があります。

  • 暁闇(あかつきやみ・あかときやみ)…夜明け方のほの明るい闇
  • 玉蜻(たまかぎる)…淡い光
  • 玉響(たまゆら)…ほんの少しの間、しばし
  • 千歳(ちとせ)…千年、そこから転じて、長い年月
  • 泡沫(うたかた)…水面に浮かぶ泡、儚く消えやすいものの例え

「ありがとう」感謝を伝える「大和言葉」

感謝を表す大和言葉といえば、「ありがとう」です。「ありがとう」は漢字では「有り難う」。もともとは「有ること」が「難い(かたい)」、つまり「滅多にない」「珍しくて貴重だ」という意味の言葉でした。

感謝を伝える大和言葉は、「ありがとう」の他にもいくつかあります。

  • かたじけない…好意がありがたい、恐れ多い
  • 恐れ多い(おそれおおい)… 貴人や尊敬する人などに対して失礼になるので申し訳ない、自分にはありがたすぎてもったいない
  • おかげさまで…何かをしてくれた相手に感謝の意を表す言葉、仏教の教え「お陰様」が由来

ビジネスでも使える「大和言葉」

ビジネスシーンには、横文字やカタカナが溢れています。あえて大和言葉を使うことで、柔らかい雰囲気になり相手をほっとさせることができます。

  • 痛み入る(いたみいる)…相手の手厚い配慮や好意などに対し深く感じ入る、恐縮する
  • お手すきの際に…手が空いた時に
  • 心配り…あちこち細かいところまで注意を払うこと、心遣い
  • 力添え…「お力添え」と丁寧に表現し、手助けを求める際や援助に対するお礼を言う際に使う
  • 荷が勝つ…責任や負担が重すぎる、荷物が重すぎる

まとめ

大和言葉とは「和語」ともいい、日本で生まれ古くから使われてきた言葉です。言葉が持つ印象が優しいため、大和言葉を使うことで相手に対し柔らかい印象を与えられます。さまざまな大和言葉を知り、普段の言葉を大和言葉に置き換えて品よく優しい言葉遣いを目指してみてはいかがでしょうか。