どのような機能がありどんな内容になっているのかなど、物事の詳細を記した「仕様書」。詳しく書かれているあまり、読み手に取ってわかりにくいことも多いようです。そんな仕様書についてその種類から書き方について解説します。また間違えやすい「解説書」や「使用説明書」との違いに、英語表現についても説明します。
「仕様書」とは?
「仕様書」とは、物事のやり方や順序を書き記した文書
「仕様書」とは、ある物事やサービスが満たされるべき内容を文章化した文書または書類です。
「仕様書」の意味を詳しくみてみましょう。
- 物事のやり方や順序を書き記した文書
- 機械や建築などで、注文品の内容や図などを示した書類
「仕様書」は「しようしょ」、または仕様書の語尾に「き」がなくても「しようがき」と読まれることもあります。
プログラム仕様書など「仕様書」の種類
物事を説明した文書や書類が「仕様書」の意味のため、「仕様書」は目的に応じてによっていくつかの種類があります。そのうちの代表的なものをご紹介します。
「機能仕様書」:ある物事が何ができるのか、どのような機能を持っているのかをまとめた文書や書類。
「詳細仕様書」:ある物事の動作について解説した文書。機能仕様書で説明した内容を、実際にはどのように行うのかを詳しく解説。
「要求仕様書」:顧客にヒアリングを行い、その要望をまとめた書類や文書。
「見積仕様書」:物品購入について、売り手が物品の説明と見積金額を提示するための書類。
「購入仕様書」:物品購入について書かれた説明書で、買い手が製作する。
「確定仕様書」:物品購入で、売り手が部品内容から販売価格を最終提案する書類です。内容は契約内容とも一致。
「プログラム仕様書」:あるプログラムの目的や定義、基本設計などが記載。
「仕様書」の書き方と作成方法とは?
仕様書作成のポイントは読み手にわかりやすく
「仕様書」を書く時のポイントは、テーマに即した内容を読み手にわかりやすく説明することです。専門用語や細かな規則や使用方法など仕様書に書かれる情報は多岐にわたり、細かくなりすぎて読みにくくなる傾向があります。
そのため、わかりやすい日本語で必要な情報だけを網羅するように努めましょう。
仕様書の書き方は5W1Hを基準に
仕様書の書き方を、あるシステム開発に関する要求仕様書を例に説明しましょう。
システム開発の要求仕様書には、予算や期間などの事務的な事柄から、システム開発における目的や役割分担などが書かれます。具体的には次のようなことが記載されます。
- システム開発の目的
- システムの機能
- システム開発の体制
- 開発スケジュール
- 予算など
以上のように、システム開発というテーマに即してどのような内容で、だれが、何を、いつ、どうやってなど5W1Hを基準に仕様書を書き進めます。
「仕様書」の目次サンプルとテンプレート
仕様書は目的に応じて内容は異なります。しかし基本的な構成はどの仕様書も同じで、表紙ページに続き、目次、本文となります。
仕様書の構成がどのようになるのか、システム開発に関わる仕様書の目次のサンプルをテンプレートとして掲載しますので、ご参照ください。
「仕様書」「設計書」「使用説明書」の違いとは?
「仕様書」と「設計書」の違い
「仕様書」には物事の結果が書かれているのに対して、「設計書」にはその結果になるためにはどうしたらいいのかという過程が書かれています。
「仕様書」はテーマとなっていることに事柄の概要について述べてあるので、それがどうやって作られたのかは書かれていません。一方「設計書」には、それがどのようにして作られるのかが説明されているので、作られた工程について知ることができます。
「使用説明書」と「仕様書」の違い
「仕様書」と混合されていることも多い「使用説明書」は対象となる物の使い方を説明しています。それを読めば、初めて使う物もどのように使うのかがわかります。
「仕様書」にはその対象の機能が説明されているのですが、それに加えて使い方も解説されていることがあります。そのため「仕様書」と「使用説明書」の境界が分かりにくくなっています。
「仕様書」の英語表現とは?
「仕様書」は英語で「specification」
「仕様書」は英語で「specification」といいます。「specification」には「仕様書」に加えて「仕様」の意味もあります。「specification」を使った例文をご紹介します。
- “specification guide”
「使用ガイド」 - “I made the specification.”
「私がその仕様書を作りました」 - “We provide the specification of a new system of the program.”
「プログラムの新しいシステムの仕様を提供します」
まとめ
ある物事について説明するために細かくまとめられる「仕様書」には、目的の応じてたくさんの仕様書が作られます。要求仕様書や機能仕様書などありますが、仕様書の作成で大切なことは、読み手に目的に合わせてわかりやすく説明するということです。専門用語の羅列のようになってしまいわかりにくい仕様書にならないように注意しましょう。
○○システム仕様書
目次
1.全体
1-1.システム開発の背景や趣旨
1-2.システム開発の目的
1-3. システム開発の全体像・開発方針など
2.システム開発の前提条件
2-1.システム開発にかかる制約
2-1-1. 法律上の制約条件
2-1-2. 企業ポリシーによる制約条件
2-2. システムの利用者
2-3.開発期間
2-4. 開発予算
3.システムの概要
3-1.システムの機能
3-2.機能外要求
3-2-1.拡張性
3-2-2.保守性
3-2-3.移植性
3-3. 性能目標
3-4. 制約
3-5. セキュリティ目標
3-6. システムのライフサイクルと維持管理
3-7. 仮定と依存関係