社会人になってから耳にするカタカナ語に「ストラテジー」があります。過酷なビジネスシーンでは競合に打ち勝つための「ストラテジー」や、職場では個々の目標に到達するための「ストラテジー」などが必要になってくるでしょう。
ここではビジネス用語の一つである「ストラテジー」に着目し、言葉の意味、似た言葉「タクティクス」との違い、基礎的な分析ストラテジーについて解説しています。これを機に、経営の見直しや改善にお役立てましょう。
「ストラテジー」とは?
「ストラテジー」の意味は「戦略」
「ストラテジー」の意味は、「戦略」「策略」「方略」です。どちらかと言えば総合的で大規模な計画内容を指し、目的を達成するための周到な計画や学問、知識などを含んだ戦法や方針などを指す言葉です。
つまり、勝つための作戦を遂行するにあたり、必要な事柄、知恵、方法、準備、行動などにおいてカテゴリー別に細かな計画を立てる全体の行いを「ストラテジー」と呼んでいます。
「ストラテジー」は英語の「strategy」のこと
「ストラテジー」はビジネス用語としてすっかり浸透している言葉ですが、英語表記は「strategy」となります。ちなみに複数形は「strategies」です。
「ストラテジー」はもともと軍事用語
「ストラテジー」はもともと軍事用語として使われていましたが、現代社会ではビジネスをはじめ、産業、経済、金融、スポーツ、ゲームなどの世界で幅広く使わています。
「ストラテジー」と「タクティクス」の違い
「ストラテジー」と似た言葉に「タクティクス(tactics)」があります。多くの人が混同しがちな言葉ですが、この二つの言葉には決定的な違いがあります。それは「期間の長さ」です。
「タクティクス」はおおむね「短期戦で勝利を収めるための戦術や戦法」となり、その中には短期で目標に到達するための「駆け引き」や「コツ」などが細かく盛り込まれています。「タクティクス」は短期の間に勝つのが目標ですから、「ストラテジー」のように大規模で包括的な手段を広い範囲で時間かけて練るというニュアンスはあまりありません。
どちらかと言えば「タクティクス」はシンプルで理解しやすいケースが多く、内容としては計画における「順番」「配列」「配置」などを含む端的な内容が多いと言えるでしょう。
「ストラテジー」の使い方と熟語の説明
続いて「ストラテジー」という言葉の使い方とビジネス例文、また熟語表現について見てみます。
「ストラテジー」と「プロセス」を混同しない
ビジネスシーンでは経営戦略、営業戦略、販売戦略などの「ストラテジー」を、大規模で包括的に構築することが多くあります。ストラテジーの中には戦略を踏む際のプロセスも検討されますが、あくまでプロセスは戦略の中に属する「行程部分」であり、全体的な意味を示す「ストラテジー」とは意味が異なります。
企業内で「戦略会議」が開かれた場合は、発言や意見を述べる時に「ストラテジー」と「プロセス」の意味を混同しないように気を付けて下さい。
「ストラテジー」を使ったビジネス例文
- 小売店の売り上げを伸ばすために、効果的な販売ストラテジーが不可欠である。
- 全体的な戦法を盛り込んだストラテジーは、構築にある程度の時間がかかる。
- 長期戦に臨む覚悟と周到な準備がストラテジーには必要だ。
- 今回の営業ストラテジーは、顧客視点で見る「サービスの強化」を軸に計画するつもりだ。
- 目標達成に向けてストラテジーの理解を深め、チーム全体でゴールを目指そう。
「リアルタイムストラテジー」はPC向けゲームのジャンル
ビジネス関連ではありませんが、「ストラテジー」を使う分野に「ゲーム」は外せません。「リアルタイムストラテジー(real time strategy」は通称「RTS」とも呼ばれ、パソコンを中心とするコンピューターゲームの一つに分類されます。
「リアルタイムストラテジー」はあらかじめ戦法や策略を準備する形式ではなく、ゲームプレイヤーが「リアルタイム」に進んでいくゲームの中で、勝つためのストラテジーを立てながら、同時進行で敵と戦っていくことを指しています。
ストラテジー構築のための3つの「フレームワーク」
最後に企業で積極的に取り入れたい3つの基本的な「ストラテジー」について紹介しましょう。ここではビジネス分析に必要なストラテジーの基礎「フレームワーク」を取り上げています。
ストラテジーのフレームワーク① SWOT分析
SWOT分析とは、企業や組織が現在置かれている環境を分析できる手法です。内部環境における「強みと弱み」、外部環境における「脅威と機会」の4つの項目を挙げ、経営環境の見直しと改善をしていきます。
ストラテジーのフレームワーク② 3C分析
3C分析とは「自社」「顧客」「競合」の三つの視点に分け、現在の状況整理をしていく手法です。「自社」なら強みと弱み、評価の高さ、社員の満足度など、また「顧客」なら顧客層、顧客のニーズ、顧客の平均購買単価など、そして「競合」なら市場におけるシェア、評価の高さ、商品の数や種類などが挙げるべき項目の例です。3C分析では今後の課題や成功要因の割り出しに有効的に使うことができます。
ストラテジーのフレームワーク③ PEST分析
PEST分析は「Politics(政治)」「Economy(経済)」「Society(社会)」「Technology(技術)」の4つの外的環境から受ける「自社への影響」を考察するための手法です。世間一般の現在の流れを知り、未来への取り組みやトレンドを把握することができます。
まとめ
「ストラテジー」は「戦略」「戦法」「策略」「作戦計画」などを表す言葉で、重要なビジネス用語の一つです。「ストラテジー」は長期戦に及ぶ戦法や策略を用意周到に練り、包括的で大規模な計画を意味しますが、「タクティクス」は短期戦で状況に応じた駆け引きを要する手法を指しています。
「ストラテジー」は経営はもちろん、営業や販売など、あらゆる分野で必要とされる手法です。それぞれに有効的なフレームワークを取り入れながら、実践的で効果的な「ストラテジー」を活用するようにしましょう。