「喫緊」の意味は「緊急」ではない?類語や使えるビジネス例文も!

「喫緊」という言葉は見たり聞いたりしたことがあっても、意味を聞かれると「はっきりと答えられる自信がない」という人は多いようです。今回は「喫緊」という言葉の意味や類語について解説します。「喫緊」と「緊急」の違いや「喫緊」を使ったビジネス例文もご紹介しますので参考にしてみてください。



「喫緊」の意味と読み方

「喫緊」は「至急」「急いで」の意味

「喫緊」とは「きっきん」と読みます。「差し迫っていて、非常に大切なこと」という意味です。その事柄についての対処や行動をすぐにでもしなければならない状態であり、かつ、その対処や行動が非常に重要なことを表します。一般的な言葉で表すと「至急」や「急いで」などが当てはまるでしょう。

「喫緊」という言葉は、日常生活やビジネスではそう頻繁に使われる言葉ではありません。どちらかというと、政治家や国の重要な事柄に携わっている人が会見などで多く使っています。そのため日常的に「喫緊」を使うとやや大げさ、または状況にそぐわないと受け取られる可能性が高い言葉です。

「喫緊は「吃緊」とも書く

「喫緊」はもともとは「吃緊」と書かれていた言葉です。意味は現代でのものと変わりません。しかし「吃」という漢字が当時の常用漢字表になかったことから「喫」という漢字に置き換えられるようになり、そのまま現代でも「喫緊」と表記されています。現代ではパソコンでも「きっきん」と打てば「喫緊」「吃緊」のどちらでも入力することができますし、どちらを使っても間違いではありません。

ただし「吃」という文字には身体的な差別表現の意味があると考える人もいるため「喫緊」を使った方が無難ですし、誤解を招く心配もないでしょう。

「喫緊」の語源や由来は中国にある

「喫緊」の元である「吃緊」は昔の中国語を元にした言葉だと言われています。詳細な由来は不明です。一説では「吃」はその後に来る文字の意味を強める働きがあり、「緊」が持つ「差し迫る」「厳しい」という言葉を本来の意味以上に強調させるために「吃緊」としたとも言われています。

「吃」が同じ役割をしている言葉には「大変驚く」という意味の「吃驚(きっきょう)」などがあり、それらが全て「喫」に置き換えられているようです。

「喫」は「喫茶店」や「喫煙」などにも使われている文字で、意味は「食べる」「口から喉を通してお腹に入れる」という意味があります。食べることは非常に大切で重要度が高い、というややイメージ的な解釈から、重要度の高い事柄について「喫」という文字を使うようになったと言われています。

「喫緊」が表す急ぎの度合い

「喫緊」は訪れるできごとへの対処

「喫緊」は「差し迫った重要な事柄について対処する」という意味ですが、「差し迫った」というところがポイントです。「差し迫った」ということは、まだそのできごとは訪れておらず「これから訪れることへの対処」ということになります。

たとえば、外国の情勢などによって自国が影響を受ける可能性が高くなってきた場合に「喫緊に対処する所存です」などと政治家が発言することがあります。これは「これからやって来るであろう事柄はとても重要なことなので、急いで対処します」という意味です。

「緊急」は訪れていることへの対処

「喫緊」と似た意味で使われることが多い「緊急」は「重大で非常に急を要する」という意味です。「急を要する」ということは、そのできごとがすでに起きている、または今にも起きようとしている、という状態であることがわかります。「今すぐにでもどうにかしなければならない」という状態が「緊急」です。

災害時の「緊急速報」などは、すでにその災害が起こっているときや、今すぐに起こってもおかしくない状態のときに使われます。「喫緊」よりもさらにそのできごととの距離が近い場合に使われる言葉です。

「近々」は予定されていること

「近々」という言葉は日常的に高い頻度で使われている言葉です。「近々伺います」「近々決定する予定です」など「そう遠くない、比較的近いうちに」という意味を持っています。

「喫緊」「緊急」は「そのできごとが向こうからやってくる、それに対処する」というイメージで使われますが「近々」は「予定されていることにこちらから向かっていく」というイメージです。そのため、ややのんびりとした緊張感の低い言葉と感じる人は多いでしょう。「喫緊」や「緊急」とはそのできごととの距離感や緊張感が大きく異なります。

「直近」は「今」から一番近い事柄

「直近」も「近々」と同じで「喫緊」のような緊急性や緊張感はありません。「直近」には「これから予定されていることの内、最も近いできごと」という意味と、「現在から最も近い過去」という意味があります。未来・過去のどちらを見ても、今現在から一番距離が近い事柄を「直近」で表します。

「直近の予定は明日の会議です」と言えば「”今”から見て最初の予定」という意味です。「直近でお目にかかったのは先週です」と言えば「”今”から見て最も近い過去」を指すことができます。

「喫緊」の言い換えに使える類語

「緊要」は「急いでやる必要がある」

「緊要」には「今、まずやらなければならない重要なこと」という意味があります。この意味は「喫緊」と同じように「差し迫った重要なことへの対処」と解釈することもできますし、「緊急」のように「すでに起こっていることについての対処」とも取ることができます。いずれにしても「急いで何かをやらなければならない」という状況を表すことができるので、「喫緊」の言い換えとして使っても支障がありません。

「取り急ぎ」は「差し迫って、急いで」

日常的に良く使われている「取り急ぎ」は「とりあえず、急ぎで」というニュアンスで使われていることが多く「とりあえず」という言葉と置き換えられがちです。しかし「取り急ぎ」は本来「差し迫って、急いで」という意味なので「とりあえず」という言葉とは意味が合いません。

本来の「取り急ぎ」であれば「喫緊」とかなり近い意味で使うことができます。しかし一般的な「とりあえず」と混同されやすいので、相手によってはあまり良い意味には受け取ってもらえなかもしれません。

「早急」は「非常に急なこと」

「早急」は「さっきゅう」と読みますが「そうきゅう」という読み方も間違いではありません。いずれの読み方でも意味は同じで「大変急ぎで」「とにかく急いで」というものです。そのため「喫緊」よりも「緊急」の方に近いニュアンスを持っています。

「喫緊」を使ったビジネス例文

「喫緊の対応をお願いします」

「喫緊」は「対応」や「対処」などの行動を表す言葉と一緒に使われることが多い言葉です。「喫緊の対応をお願いします」と言えば、相手に対して「その事態は差し迫っている」「今のうちから準備をしておかなければ間に合わない」という緊張感を伝えることができます。

「喫緊の課題とは言えないでしょう」

相手から何かの提案や問題提起をされたときに、その内容や状況が「喫緊」とは言えないと自分が感じた場合です。「それは現時点での喫緊の課題とは言えないでしょう」などと伝えることができます。「確かに急がなければならない内容かもしれないが”喫緊”とは言えない」と感じることは「至急」「急いで」などの言葉を使った方が言葉のイメージと現実のイメージが合いやすくなります。

「喫緊に必要かと準備しました」

自分が差し迫った状況に応じて行動をした場合に、そのことを「喫緊」を使って表すことができます。「○○の件で喫緊に必要かと思い準備しておきました」などとすることで、差し迫ってくる事態に合わせて急いで行動した、ということが相手に伝わりやすくなるでしょう。

しかし「喫緊」を使うに相応しい事態でなければ、言葉が大げさに聞こえてしまいやすいものです。日常のビジネスシーンなどであれば「必要かと思い、早急に準備いたしました」などの方が無難ですし、相手も言葉の意味を受け取りやすくなります。

まとめ

「喫緊」という言葉は一般的な生活の中では、なかなか使う機会が無い言葉です。自分が使うよりも、政治家のスピーチや文章内で見聞きすることが多いでしょう。しかし「喫緊」の意味がわかって見聞きするのと、わからずに雰囲気だけで理解するのはその後の行動に違いが出てきます。ぜひこの機会に「喫緊」の意味を正しく理解して、相手が発信している内容を正確に受け取れるようにしましょう。