「どっちの漢字だったかな」と迷うことの多い「精算」と「清算」。使うたびに辞書を引くのは面倒くさいですし、使い方を間違えたら恥ずかしいですよね。この記事では正しい使い分け方を覚えられるよう、「精算」と「清算」の違いをはじめ、詳しい意味も解説していきます。
「精算」と「清算」の違い・使い分け方
「精算」と「清算」の違いは”対象”
「精算」と「清算」の違いは、対象がお金の計算か、人・物事の関係の整理かどうかです。
お金の計算の場合には「精算」を使い、金銭以外の対象につては「清算」を使用します。それぞれ詳しく解説していきましょう。
「精算」はお金の計算で使用
「精算」の意味は、「細かな計算をすること」です。金銭以外の精密な計算にも「精算」は使われます。
ただビジネスマンが「精算」という言葉を使う機会が多いのは、経費などのお金の計算のときではないでしょうか。そこで金銭の計算には「精算」を使うと覚えておくのがいいでしょう。
会社の接待などで行く飲み会での支払いや立替払い、仕事のために使った駐車料金や交通費などはすべて経費です。経費ならば細かく計算されなくてはなりませんから、「精算」があてられます。
金銭以外の出来事には「清算」
「清算」の意味は、「けじめをつける」や「はっきりさせる」です。お金のこと以外で整理をするときによく使われます。人間関係、過去の出来事、そして会社が倒産したときの財産関係の処分には、「清算」が使われます。
ただし、金銭に関して「清算」を使う場合もあります。それは「お金の貸し借りに結末をつけるとき」です。お金の貸し借りには計算が不可欠ですが、この場合に大切なことは、金銭の貸し借りを終わりにすることです。そのため、「精算」ではなく「清算」が使われます。
「精算」と「清算」を使った例文
「借入金の清算」
「債務を清算する」
「精算」と「清算」の意味とは?より詳しく解説
「精算」の意味は「金額などを細かく計算すること」
「精算」の意味は、「金額などを細かく計算すること」です。また計算をした結果、課不足などが出た場合その処理をすることも「精算」と言います。
ちなみに「精」には「細かい」や「詳しい」という意味があり、とても細かい様子を表す「精細」や「精密」などの言葉があります。それに「計算する」の意味である「算」が続き、「精算」という言葉ができてます。
「支払いの精算をする」
「清算」の意味は「物事や人との関係を整理する」
「清算」の意味は、「物事や人との関係、過去の出来事などを整理する」です。「清算」の意味をもう少し詳しくみてみましょう。
- 貸し借りの結末をつけること。過去の関係などにはっきりとした結末をつけること。
- 会社の組合などで、法人が解散したときに、後始末のために財産関係を整理すること。
- 取引用語で、一取引の取り分と出し分を相殺すること。
「清算」の「清」は「きれいにする」という意味、「算」は「精算」のときと同じように「計算する」という意味です。
「清」と「算」の字が一緒になり、物事を整理することを意図的に行う様子が分かります。
「借金を清算する」
「精算書」と「清算書」の違いとは?
「精算書」は詳細に書き込まれた書類、「清算書」は確約された事が分かる書類
物の売買契約の中で、常に取り交わされる書類のひとつが「精算書」であり「清算書」です。
「精算書」は売買取引の際に、日割りの金額や計算式、どの商品にどれだけのコストがかかったかなど詳細に書き込まれた書類です。
それに対して「清算書」は、売買取引が成立して金銭の授受がすでに行われたことを確約されたことが分かる書類です。
「精算書」と「清算書」は混合されることが多い
「精算書」と「清算書」は違う書類なのですが、実際のビジネスシーンではこれらが混合されることが少なくありません。
なぜかというと、「精算書」か「清算書」のどちらかで細かく金銭の授受から内訳までが書かれていることが多く、一枚の書類で「精算書」と「清算書」の両方の役割を果たしているケースが多く見られるからです。その結果、実害などが出てこないため、この2つの書類が正しく使い分けされていないようです。
「精算」「清算」の同音異義語「成算」
「成算」の意味は「成功する見込み」
「せいさん」と読む言葉はたくさんあり、「成算」もその一つです。
「成算」の意味は「成功する見込み」で、「勝利の成算がある」のように使います。
他にも「せいさん」と読む言葉として、正式な献立による食事の「正餐」や、何かを作り出す行為の「生産」、シアン化水素水の俗称である「青酸」が一般的によく聞かれる言葉でしょう。
まとめ
似ているけれどもその意味にははっきりとした違いのある「精算」と「清算」。「精算」が「細かな計算をすること」であり、「清算」は「整理をすること」や「はっきりさせること」の意味です。二つの言葉の違いは、「精」と「清」の意味によく表れています。それぞれの言葉の意味を正しく理解して使い分けられるようにしましょう。
「領収書の精算をする」
「会計が経費の精算をする」