「呉越同舟」の意味と由来・類語を解説!【例文・書き下し文付き】

ビジネスシーンにおいて、普段はなかなか見られない面白い場面を言い表す言葉として使われる「呉越同舟」。

ここではそんな「呉越同舟」という言葉の意味や由来についての解説のほか、たくさんの例文をご紹介します。



「呉越同舟」の意味と読み方

「呉越同舟」の意味は「仲の悪い者が協力する」

「呉越」とは昔の中国にあった呉(ご)・越(えつ)という2つの国のことで、「同舟」は同じひとつの船という意味です。つまり「呉越同舟」は呉と越の人が船に乗り合わせるという話で、「憎み合う者同士でも、同じ利害のために強力し合う」「反目し合っていても同じ危険を避けるためには協力する」「仲の悪いもの同士が同じ場所に居合わせる」などの意味があります。

「呉越同舟」の読み方は「ごえつ どうしゅう」

「呉越同舟」は「ごえつ どうしゅう」と読みます。同舟を「どうせん」と読んだり、「同船」と表記するのは誤りなので注意しましょう。「船」が海を渡る「ふね」全般を指すのに対し、「舟」は「船」に比べて小さく動力のない手漕ぎボートをあらわしています。「呉越同舟」の舟も川を渡るための小舟です。

「呉越同舟」の由来

「呉越同舟」の由来は兵法の一節

「呉越同舟」は実際の逸話をもとにした故事成語と思われがちですが、孫子の兵法書「孫子諺義」の「常山の蛇勢(じょうざんのじゃせい)」で語られている「たとえ話」です。「常山の蛇(伝説上の蛇)が長い尻尾と頭を連携させて敵と戦うように、機能的に軍隊を動かすことができるか」との問いに対する答えが、次の「呉越同舟」のくだりです。

「呉越同舟」の書き下し文

  • 敢問、兵可使如率然乎。曰、可。夫呉人與越人相惡也。當其同舟而濟、遇風、其相救也、如左右手。
  • あえて問う、兵は率然(そつぜん)のごとくならしむべきか。曰く、可なり。それ呉人(ごひと)と越人(えつひと)と相悪むも、その舟を同じくして済り風に遇うに当たりては、その相い救うや左右の手のごとし。

(敢えて聞こう、軍隊を率然(常山の蛇)のように動かせるだろうか?孫子いわく、できる。呉越の人は互いに憎み合っているが、乗った船が突風で転覆しそうになれば左右の手のように連携し、助け合うだろう)

「呉越同舟」の兵法的意味の解説

中国春秋時代に滅亡した呉・越の両国は長く敵対関係にあり、国民同士の仲も険悪でした。現在でも「呉越」といえば「非常に仲の悪い間柄」という意味で辞書に載っているほどです。孫子は、そんな仲の悪い者同士でも同じ危機に直面すれば反射的に助け合うものだと言っています。つまり軍隊を機能的に動かすには、兵を死地(危険な場所)に置くことで結束力を高め、互いに協力し合うよう仕向ければ良いということです。

「呉越同舟」の使い方(例文)

「呉越同舟」を使った例文

  • いまは言い争いをしている場合ではない。ひとまず「呉越同舟」といきましょう。
  • 見知らぬ国で邦人に出会うと、「呉越同舟」ですぐに親しくなってしまう。
  • 女子の場合、集団の中にひとり憎まれ役がいると「呉越同舟」で結束力が高まる傾向がある。
  • お互い気持ちよく仕事をするためにも、挨拶だけは欠かさないのが「呉越同舟」の精神だ。
  • あの二人は日ごろ仲が悪いが、試合となると「呉越同舟」で見事なチームワークを発揮する。

「呉越同舟」の類語表現と外国語表現

「呉越同舟」の類語は「同舟相救う」

「呉越同舟」の類語として「同舟相救う」という言葉があります。同じ船に乗り合わせたなら、いざという時には見ず知らずの者同士でも助け合うという意味です。また、「利害の一致で協力し合う」という意味では「大同団結(細かい主義主張を越えて団結する)」も当てはまるでしょう。

「呉越同舟」の英語表現

  • Woes unite enemies.(災いは敵同士を団結させる)
  • Bitter enemies in the same boat.(同じ船の仇・呉越同舟)
  • We’re in the same boat.(私たちは同じ船に乗っている)
  • while the thunder lasted, two bad men were friends.(雷鳴が続く間、ふたりの悪人は友達同士だった)

「呉越同舟」の中国語表現

「呉越同舟」は中国語で「吴越同舟」です。
もともと中国からやって来た言葉なので意味も同じ「仲の悪い者同士が互いに協力する」ことですが、もう一方の「仲の悪い者同士が居合わせる」という解釈はありません。

反対に、日本では辞書によって「~居合わせる」の方しか載っていないものもあります。どちらが正しいというよりも、それぞれを同じ「呉越同舟」の側面として使い分けるというのがよいでしょう。

まとめ

「呉越同舟(ごえつどうしゅう)」は中国の兵法書にあるたとえ話で、「反目し合っている者同士が居合わせる」や「人は反目し合っていても利害の一致があれば協力するものだ」、ひいては「仲の悪い者同士が居合わせる」という意味の四字熟語です。言葉として使うだけでなく、ぜひ「呉越同舟」が必要な時には決断して行動して、良い方向にビジネスを向かわせられるとよいですね。