メールで人を励ましたいときや、出張に赴く上司に「頑張ってください」と言いたいとき、もう少し気の利いた表現はないかなと思うことはありませんか?
今回は、相手に敬意をこめて「頑張ってください」を伝える方法をご紹介します。言い換えをはじめ、メールで使える例文のほか、英語・韓国語での表現などについて、解説するので、正しい使い方を確認しましょう。
「頑張ってください」の敬語は?
「頑張る」+「~ください」で敬語表現
「頑張ってください」は、「頑張る(がんばる)」に「~してください」が付いた丁寧な表現です。「頑張る」とは「最後まで忍耐し、努力する」という意味で、「ください」は「くれる」の尊敬語「くださる」の命令形です。「~してくださいませ」が本来の言い方ですが、語尾の「ませ」は省略されがちです。より丁寧に言いたいときは「頑張ってくださいませ」を使います。
取引先や上司には失礼になることも
「頑張ってください」は、「目標達成のために努力しろ」「最後までやり切れ」という激励を丁寧にした言葉です。相手との親密度にもよりますが、現代の一般常識では目上を激励することは失礼とされていますので、ビジネスシーンで上司や取引先に対しては使わないのが基本です。
また、「頑張る・頑張ってください」は子どもでも多用する平凡な表現であることから稚拙な印象になりやすく、使い方によっては雑な受け答えになってしまう点にも注意しましょう。
目上の立場でも使い方に注意
相手に努力を求める言葉は、時として「もっと頑張れ」「努力が足りない」という否定的なメッセージになることがあります。気心の知れた間柄であれば気軽な声かけに使うことは問題ありませんが、たとえ自分が相手よりも目上であったり、対等な立場であったとしても使い方には気を遣いたいところです。
「頑張ってください」を別の言葉に言い換える
「頑張る」の類語は「苦闘・奮闘する」
努力してる人を見ると、思わず「頑張ってください」と声をかけたくなるものですが、「頑張る」の類語は「苦闘する・奮闘する・忍耐する」です。
確かに忍耐が美徳とされた時代もありましたが、現代では「言われなくても頑張っている」「もうこれ以上は頑張れない」と言わせてしまうほど、相手にプレッシャーを与えていることもあります。あいさつ代わりに「頑張ってください」を使うのではなく、できるだけ別の言葉で丁寧に伝えたいものです。
励ましのメッセージには「応援しています」と言い換える
頑張っている人に「いつも気にかけています」と伝えたいときは、「応援しております」「ご検討をお祈りしております」「陰ながら見守っております」を使いましょう。「陰ながら」には「見えないところで」という意味があり、困難で弱っていたり孤独を感じていたりする相手の心を遠くから力づけます。
上司の出張には「どうぞお気をつけて」と言い換える
これから出張に出かけるという上司や同僚に「頑張ってください」と言いたいときは、「長旅お疲れさまです」「どうぞお気をつけて、いってらっしゃいませ」などの具体的な言葉で相手の気持ちに寄り添いたいものです。「きょうも暑くなりそうなですね」と一言添えるだけで、「暑いですが頑張ってください」のメッセージとして伝わることでしょう。
メールで「頑張ってください」を使う場合
メールで「頑張ってください」と言いたいときには、表情や語調からの情報が伝わらないこと考えて慎重に言葉を選びましょう。
「頑張ってください」の代わりに仕えるフレーズ
「自愛(ごじあい)」「いとう(厭う)」は自分の身を大切にすることで、いずれも書き言葉でのみ使用される表現です。
- これからもどうぞご活躍ください。
- お疲れの出ませぬよう、陰ながらお祈りしております。
- 毎日お忙しいこととは存じますが、ご自愛のうえお過ごしくださいませ。
- くれぐれも、お体をおいといください。
「頑張ってください」への返信は前向きに
反対に、相手から「頑張ってください」と声をかけられたり、メールで励まされたりした場合には、言葉の意味にとらわれることなく相手の気持ちを汲みとりましょう。「もう頑張ってます」「やってみます」といった消極的な返答は避け、「はい、ありがとうございます」「頑張ります」と前向きな対応をするのが社会人としての社交辞令です。
英語や韓国語の「頑張ってください」は?
気軽な割には使い方の難しい「頑張ってください」ですが、外国語ではどのように表現されているのでしょうか。ここでは英語と韓国語のほか、中国語を使った「頑張ってください」をまとめます。
英語表現は「go for it」「Good luck」など
- go for it.(頑張れ)
- Good luck.(良い運:幸運を祈る)
- My best wishes.(私の最高の願い:うまくいきますように)
- Do your best. / Try your hardest. / try your best.(ベストを尽くせ)
- don’t give up,Keep going.(諦めないで、その調子)
「go for it.(最大限の努力をしろ・自分の判断で行動しろ)」は日本語の「頑張ってください」にピッタリの意味です。「ベストを尽くせ」は大人から子供への激励で、大人に対して用いません。大人同士のあいさつには「Good luck」を使い、 「Good luck on your test.(テスト頑張ってね)」のように表現します。
韓国語表現「열심히 해주십시오.」「힘 내세요.」など
- 열심히 해주십시오.(一生懸命に取り組んでください)
- 힘 내세요.(元気出してね)
- 응원하고 있습니다. (応援しています)
日本語の「頑張ってください」に一番近いのは、「열심히(一生懸命)」「하세요(してください)」ですが、やはり相手に命令する意味合いになるため、目上に対しては使いません。気軽な声掛けに適しているのは2番目の「힘 내세요.」です。
「頑張ってください」の中国語表現「加油」「挺住」など
- 加油(がんばれ)
- 挺住(踏ん張れ)
- 您坚持下去吧(どうぞ頑張ってください)
- 节哀顺变(お力落としのありませんように)
中国語の「頑張ってください」というと日本では「加油」が有名ですが、これはスポーツ観戦などで使われる応援の言葉で、失意の人を励ましたいときは2番目の「挺住(倒れないで、持ちこたえてください)」が一般的です。そして中国語でも、「頑張ってください」は目上に対して使わないのが常識です。
まとめ
普段なにげなく口にする「頑張ってください」という言葉には、頑張っている相手を応援したいという気持ちが込められています。しかし、激励の言葉をビジネスの取引先や目上に対して使うことは避けましょう。状況に合わせて適切な表現に言い換えることで社会人としての礼儀を保てるだけでなく、気持ちをしっかり伝えることができます。