「コアコンピタンス」の意味とは?ケイパビリティとの関係性も解説

企業カラーとも称することができる「コアコンピタンス」は、事業を経営する側にとって把握しておきたい項目の一つです。市場で勝ち抜くための力を明確にしたいなら、「コンピタンス」の見極めは重要でしょう

ここでは「コアコンピタンス」の意味、ケイパビリティとの関係性、企業が実施した具体例などを挙げています。さて、現時点で企業の強みや他社に負けない点をいくつ挙げることができますか?

「コアコンピタンス」とは?

「コアコンピタンス」は「自社で核となる強み」

「コアコンピタンス」の意味は、「企業において中核となる特色や強み」です。つまり「自社が誇る技量」「他社がまねできない能力」のことです。

市場には似たような技術や能力を駆使して出来上がった商品やサービスが氾濫していますが、多数の企業が肩をすり合わせる中、競合を負かして勝ち進んでいくためには「他社に負けない絶対的な力」が必要です。「コアコンピタンス」は「企業が最も特色とする強み」であり、他社が提供できない価値を与える「自社能力」という意味になります。

「コアコンピタンス」は英語の「core competence」

「コアコンピタンス」は英語の「core competence」のことで、「core(核)」と「competence(技量、能力、適性)」を組み合わせた言葉です。

人事的な視点では個々の「コンピテンシー」を見極めることで、配置する部署を考えたり、必要なトレーニング研修をオーガナイズしたりすることも多いでしょう。職場では「コンピテンシー」を把握するための査定やアンケートを行うところもあります。

「コンピテンシー」は能力や技量における幅を示す言葉で、特定の箇所で上手くやっているかどうか判断するための材料となります。そのため「コンピテンシー」が到達していない場合は、不足している能力を補う対応が企業側に求められます。

「コアコンピタンス」の定義者は2人の経営学者

「コアコンピタンス」を定義したのは世界トップクラスの経営学者「ゲイリー・ハメル」と元ミシガン大学大学院の教授を務めた「C・K・プラハラード」の二人です。1994年発表の「コア・コンピタンス経営」において、「コアコンピタンスは他社が提供できないような利益を生む、オリジナルの技術とスキルの集合体」という定義を掲げています。

「コアコンピタンス」の3つの条件とは?

自社能力を示す「コンピタンス」には3つの条件があり、このすべてを満たしてこそ、それぞれの能力が「コアコンピタンス」として認識できることになります。さっそく、「コンピタンス3条件」を挙げてみましょう。

コアコンピタンスの条件① 顧客が得られる利益の有無

「自社の核となる強み」や「自社能力」である「コンピタンス」は、顧客にとっても満足のいくものでなければなりません。顧客視点で考えた時に、自社が提供するスキルや能力が果たして「利益」や「得」があるものなのかどうかは重要なポイントです。

「コンピタンス」の条件として必須なのは、「顧客が得られる利益があること」です。たとえ、最高の販売促進や戦略方法を実施し、一時的に莫大な量の商品やサービスが売れたとしても、購買後に「効果があった」「実感があった」というような「利益感」がなければ、過酷な市場で長期的に勝ち残るのは難しいでしょう。「コンピタンス」は自社側の利益のみではなく、顧客に対する利益や満足度も意識する必要があります。

コアコンピタンスの条件② 競合がまねできないスキルと技術力

市場おにける優位性と独占力を守りたいのなら、競合がまねできないスキルや能力は欠かせません。現代の市場には売れるアイテムやサービスをまねした「おっかけ」が出現し、多額の研究費や時間をかけて開発した商品でさえ、見事に再現されてしまうことも少なくなりません。

「コンピタンス」の条件となる「他社にまねできない能力」は、今は小さな能力でも少しずつ育て上げることで将来的には大きな付加価値となり得ます。長い目で見れば、「他社の能力にないもの」「自社が一人勝ちできる能力」を見つけることこそ真の「金の生る木」だと言えるのです。

コアコンピタンスの条件③ 複数の商品に対応できる汎用性

市場には毎月のように新商品や目新しいアイテムが登場していますが、自社が提供する商品と似たようなもので安価な商品が現れると、顧客の視点もそちらへ移ってしまうことがあります。つまり、いつかは需要が無くなってしまう恐れがあるということです。

ここで自社が誇る技術力や技能が他の商品へ応用できるとしたらどうでしょう。新たな商品開発に向けて力を挙げ、再度市場への挑戦に挑むことも可能です。

「コアコンピタンス」の最後の条件は、自社能力が厳しい市場や複数の商品の中で応用できるかどうかです。「能力の汎用性」はコアコンピタンスの条件には不可欠であり、バックアップ的な要素を含む「能力のフレキシビリティ」や「複数のエリアに応用できる柔軟な技術や技量」も「コアコンピタンス」の条件となります。

「コアコンピタンス」と「ケイパビリティ」のつながりとは?

「コアコンピタンス」に近い言葉である「ケイパビリティ」について、意味の違いや関係性を見ていきましょう。

「コアコンピタンス」は「ケイパビリティ」の集まり

「ケイパビリティ」は「企業が得意とする組織的な観点からみた能力」のことです。つまり、企業が持つ「ケイパビリティ」の中で、「コンピタンス3条件」に全て当てはまるケイパビリティが「コアコンピタンス」となります。「ケイパビリティ」が市場で戦うための「武器」であり、「最強武器」であるのが「コンピタンス」という解釈もできるでしょう。

「ケイパビリティ」の具体例は「研究開発能力」

「ケイパビリティ」の具体例には「研究開発能力」「サプライチェーン・マネジメント」があります。企業は経営に欠かせない要素である「研究」や「マネジメント」における「ケイパビリティ」を駆使しながら、市場での競合と張り合っていくことになります。

まとめ

「コアコンピタンス」とは「自社の軸となる強み」や「他社にまねできない能力」のことで、「コアコンピタンス」を判断するだめには「顧客への利益提供があること」「模倣される可能性が低いこと」そして「能力の応用性が高いこと」の3つの条件を満たすことが必要です。

「コンピタンス」を見極めるためには、まず自社のケイパビリティを挙げ、その中から最も強い能力やスキルを選び抜き、「コアコンピタンス3条件」に当てはまるかどうかで判断します。

今は小さな能力でも、他社が真似できないような「スキル」や「能力」が眠っている可能性があります。ぜひ探して、今から大切に育て上げていきましょう。