あまり使い慣れない「貴校」は、「校」という字がついていることから学校のことだろうと推測できます。しかし「貴校」は私の学校について使う敬称なのか、それとも相手の学校に使うべきなのかが分かりづらくなっています。
そこで今回は、「貴校」の意味や正しい使い方をはじめ、「貴校」と似た言葉である「本校」や「貴校」との違いについても解説します。
「貴校」の意味と読み方とは?
「貴校」の意味は”あなたの学校”
「貴校」の意味は、”あなたの学校”です。尊敬表現です。
大学を除いた教育機関で、小学校、中学校、高等学校、専門学校など「校」のつく対象に「貴校」が使われます。
日本には看護大学校や航空大学校のような大学校がありますが、これは教育法で定めた大学とは違います。そのため大学校にも「貴校」が使われます。
読み方は「きこう」
「貴校」の読み方は「きこう」です。
耳慣れないかもしれませんが、受験などで相手の学校に対して「貴校」を使い、一般的には書き言葉としての使われています。
「貴校」と「本校」の違いとは?
「貴校」は「あなたの学校」/「本校」は「私の学校」
「貴校」と「本校」では、視点が違います。
「貴校」が「あなたの学校」という意味なのに対して、「本校」は「私の学校」という意味です。
ただし「貴校」は相手の学校を敬った表現としてだれでも使えますが、「本校」はその学校に関係する職員や教職員が使うのが一般的です。
職員関係者でないのなら「当校」
職員関係者でなく「私の学校」と表現したいのなら、「当校」が適しています。
「当校」は口語でも書き言葉としても使えますので、面接などで自分の学校について話をするときや、手紙やメールで自分の学校を紹介するときに使えます。
「本校」には本体の学校の意味もある
ところで「本校」には「私の学校」や「この学校」の意味とは別に、「分校に対して本体である学校」の意味もあります。
本拠点となる学校を「本校」とし、その中心となる学校の所在地とは別の場所に分節した学校を「分校」と呼びます。
この場合の「本」の使い方は会社にも使えます。「本社」とは「この会社」という意味もありますが、「会社の本体をなす事業所」という意味でも使われています。
「貴校」と「御校」の意味と使い分けとは?
「御校」と「貴校」は同義語
「貴校」と「御校」(おんこう)は同じ意味です。どちらも「あなたの学校」という意味の尊敬表現です。
「御校」も「貴校」と同じく、学校と名称につくすべての機関に使えます。
使い分け方は話し言葉かどうか
「御校」と「貴校」の使い分け方は、書き言葉として使うのか、それとも話し言葉なのかの違いです。
「貴校」は一般的には話し言葉ではなく、書き言葉として使われることが多いです。そのため受験時の面接で、面接官に向かって「貴校」という言葉はあまり使われません。
一方「御校」は書き言葉として使われるだけでなく、話し言葉にもよく使われます。
従って、話し言葉には「御校」を、書き言葉には「貴校」を使うというように、整理しておくのがいいでしょう。
書き言葉に「貴」は適している
「貴校」の「貴」は本来、書き言葉と話し言葉の両方に使えるのですが、書き言葉として使われるほうが一般的になりました。「貴」をつけた他の表現「貴社」(きしゃ)や「貴兄」(きけい)なども同様です。
「貴校」は使い慣れないというだけでなく、同音異義語である「気候」や「寄稿」「紀行」などと間違いやすいことから、話し言葉には「御校」という言葉が使われるようになったと言われています。
御社にも使われる「御」は話し言葉向き
一方「御校」や「御社」に使われる「御」の字も敬意を表す接頭語で、話し言葉と書き言葉の両方で使えます。ただし話し言葉の上で「貴校」や「貴社」が使いづらいため、「あなたの学校」と言いたいのなら「御校」を、「あなたの会社」と言いたいのなら「御社」が使われます。
似た言葉「貴学院」や「貴院」とは?
「○○学院」という名称には「貴学院」か「貴校」
学校によっては「○○学院」という名称がありますが、その際には「貴学院」(きがくいん)という言葉が使われます。それと同じく「○○学園」なら「貴学園」(きがくえん)が使われます。
ただ学校の名称が「○○学院」や「○○学園」であったとしても、学校に変わらないため「貴校」を使っても構いません。
ちなみに、大学院は大学の一部の研究機関という考え方から「貴学院」とは呼ばず、大学の敬称である「貴学」が使われます。
「貴院」は病院に使われるのが一般的
「貴学院」と似た「貴院」(きいん)という言葉がありますが、「貴院」は一般的に病院に使われる敬称です。他の医療施設にはクリニックや診療所がありますが、それぞれの名称に合わせて「貴クリニック」や「貴診療所」と書き表します。
また話し言葉なら「御院」(おんいん)や「御クリニック」(おんクリニック)が使われるのがです。
「貴校」の英語表現とは?
「貴校」は英語で「your school」
尊敬語がない英語では、「貴校」は「あなたの学校」を直訳して「your school」です。相手を敬った表現を使いたいのならば、「your school」を含む文全体で敬意を表してオフィシャルな表現を使うようにします。例文は次のようになります。
- “Could you explain about the characteristics of your school?”
「貴校の特徴について教えてください」 - “I would like to have a permission to enter your school.”
「貴校への入学の許可をいただきたいと思います」 - “My brother goes to your school.”
「貴校には私の兄も通っています」
まとめ
「貴校」とは「あなたの学校」という意味の尊敬表現です。ただし書き言葉として広く使われているため、話し相手に向かって貴校を使うことはあまりありません。話し言葉には「御校」のほうが適しています。書き言葉には「貴校」、話し言葉には「御校」と使い分けるのがいいでしょう。