ビジネスシーンでも良く使われる「踏まえて」という言葉ですが、正しい意味を理解して使っていますか?目上の人へ使う際は注意をしないと失礼になることもあります。「踏まえて」を使った敬語表現や類語を紹介するので参考にしてください。
「踏まえて」の意味と類語
「踏まえて」の意味は「根拠とする」「配慮する」
「踏まえて」の意味は、「判断のよりどころや根拠とする」または「配慮する」です。例えば「事実を踏まえて判決を下す」という例文だと、事実を根拠とし判決を下すという意味の文章となり、「時間を踏まえて仕事を進める」という文章だと、時間を配慮して仕事を進めるという意味になります。
使い方によって意味が異なるため、前後の言葉を意識して使ってください。また、語尾を敬語に言い換えることで目下だけでなく目上の人へも使うことができる言葉です。
「踏まえて」の類語は「基づく」「注意する」
「踏まえて」をビジネスシーンで使う際は2つの意味を表すことを説明しました。「踏まえて」を「判断のよりどころや根拠とする」という意味で使う際は「基づく」や「根拠とする」が類語となります。
「踏まえて」をもう1つの「配慮する」という意味で使う際は「注意して」や「意識して」が類語となります。1つの文書に「踏まえて」という言葉が何度もでてくる場合は、類語に置き換えて使ってみてください。
「踏まえて」を使い方・敬語表現
目上の人に対しては「お踏まえいただき」と敬語表現にして使う
上司や取引先の担当者など目上の人に対して「配慮してください」を意味する「踏まえて」を使うと失礼と捉えられる場合があります。「注意点を踏まえて判断してください」という文章は丁寧さに欠け、人によっては上から目線な物言いだと感じられてしまいます。
目上の人へ使う場合は「踏まえて」を使わず「注意点をご確認いただいた上で、判断してください」などと言い換える方が無難でしょう。どうしても「踏まえて」を使いたい場合は「お踏まえいただき」と敬語表現にして使ってください。
自分の行動に対して使う場合
上記にて目上の相手へ「踏まえて」を使うと失礼と捉えられる場合があることを説明しましたが、自分の行動を表す際に使うことは失礼になりません。例えば目上の人へ「留学の経験を踏まえて、国籍関係なくコミュニケーションを取ることができます」という文章だと、「踏まえて」は自分の経験に対して使われているため相手が不快と感じることはないでしょう。
「踏まえた上で」使い方
「踏まえて」を使った言い回しの1つに「踏まえた上で」という言葉があります。「~の上で」とは「~の後に」や「~の結果」を意味します。例えば「指摘された点を踏まえた上での決定です」という文章だと、「踏まえた上で」は「踏まえた結果」を意味するため「指摘された点を踏まえた結果での決定です」という意味となります。
「踏まえつつ」の使い方
「踏まえて」を使った言い回しの1つである「踏まえつつ」は、「踏まえながら」という意味の言葉です。例えば「個人の事情を踏まえつつシフトを作成する」という文章だと「個人の事情を考慮しながらシフトを作成する」という意味となります。上記の例文のように、「○○をしながら同時に○○をする」という時に「つつ」を加えた「踏まえつつ」が使えます。
ビジネスシーンにて「踏まえて」を使った例文
「以上を踏まえた上で」を使った例文
「以上を踏まえた上で」とはビジネスシーンで、話をまとめる際などによく使わるフレーズの1つです。例えば「以上を踏まえた上で、今回の案件は無かったこととさせていただきます」という文章だと、予定していた案件が○○を考慮した上で無くなったことを意味する文章となります。
なぜ案件が無くなったのか理由を述べてから、「以上を踏まえた上で」を使って文章をまとめましょう。
「踏まえて考える」を使った例文
例えば「なぜ今回の実験が失敗したのか、成功例を踏まえて考えてみよう」という文章だと、実験が失敗した理由を、成功例を判断のよりどころとして考えるという意味になります。上記の例文は目下や対等な立場の人へ向けた言葉ですので、目上の人へ同じ内容の言葉を送る際は敬語表現や類語を使って言い換える必要があります。
「アドバイスを踏まえて」を使った例文
例えば「先ほど頂いたアドバイスを踏まえて、もう1度新しいプランを立て直してみます」という文章だと、貰ったアドバイスを考慮して新しいプランを立て直すという意味になります。上記の例文では自分が今から行うことに対して「踏まえて」を使っているため、上司との会話で使っても失礼にはなりません。
まとめ
「踏まえる」とはビジネスシーンにおいて「判断のよりどころや根拠」「考慮する」という2つの意味を表しています。「踏まえる」を敬語表現に変えることで目上の人へも使うことは可能ですが、失礼と感じられる場合があるため注意が必要です。文脈や相手によっては類語を使うなど工夫して使ってください。