「ありますでしょうか」は間違い?敬語の正しい使い方と言い換え方

「ありますでしょうか」という表現をよく耳にしますが、これは間違った使い方です。知らず知らずのうちに相手に悪い印象を持たれてしまう可能性もあリますので、正しい使い方を身に着けましょう。今回は「ありますでしょうか」とそれに関連した表現の正しい使い方を紹介します。

「ありますでしょうか」は、正しい表現?

「ありますでしょうか」は二重敬語で間違い

「あるのか」という疑問文を敬語にすると「ありますか」もしく「あるでしょうか」となります。どちらも丁寧語で、「ありますでしょうか」は、2つの丁寧語を使っている二重敬語です。丁寧語は1つの文に1つだけが原則で、二重敬語は間違った敬語の表現とされています。

「ありましたでしょうか」も二重敬語で間違い

「ありますでしょうか」を過去形にした「ありましたでしょうか」という表現が使われることがあります。過去形にしても二重敬語であることに変わりはありませんので、間違った表現です。正しくは「ありましたか」になります。注意しましょう。

「ありますでしょうか」のよくある使い方の間違い

よくある間違い①「お時間ありますでしょうか」

上司やお客様にアポイントをとるときなどに、ときどき使われているのが、「お時間ありますでしょうか」という表現です。「お時間ありますでしょうか」も、二重敬語ですので、使わないように注意しましょう。正しくは「お時間ありますか」もしくは「お時間あるでしょうか」です。

よくある間違い②「お手元にありますでしょうか」

プレゼンや研修で「資料はお手元にありますでしょうか」などと使われることがあります。この「お手元にありますでしょうか」も、二重敬語ですので注意しましょう。正しくは「お手元にありますか」もしくは「お手元にあるでしょうか」になります。

「ありますでしょうか」を正しく言い換えると?

「ありますでしょうか」は「ありますか」

「ありますでしょうか」を正しく言い換えると、「ありますか」もしくは「あるでしょうか」になります。繰り返しになりますが、「あります」と「でしょう」は、それぞれ丁寧語ですので、どちらか1つを使いましょう。「ありますか」よりも、もう少し丁寧な印象を与えたいときは、「ございますか」を使います。一般的に、尊敬語や謙譲語ではなく丁寧語で使われることが多い表現です。

「ありますでしょうか」の尊敬語「おありですか」

使われることは少ないですが、「ありますか」などのあるかどうかを確認する表現は、尊敬語にもできます。丁寧語ではなく、尊敬語にするときには「お」をつけて「おありですか」となります。

「おありでしょうか」は、丁寧すぎる

尊敬語と丁寧語であれば、同じ文に1つずつ使うことはできますので、「おありでしょうか」という表現は間違ってはいません。しかし、尊敬語が入っているのに、わざわざ丁寧語をつけるというのは、丁寧過ぎる印象を受けます。不自然に感じる人もいますので、使わないほうがよいでしょう。

「でしょう」が必要ない二重敬語と言い換え

「ありますでしょうか」を「ありますか」に直すことと同じように、「でしょう」をとることで正しい表現になる二重敬語はいくつかあります。ここでは、「ありますでしょうか」に似ていてよく利用されている二重敬語と、正しい表現を紹介します。

「いらっしゃいますでしょうか」は「いらっしゃいますか」

電話をかけたときに使われることが多いのが「〇〇さんはいらっしゃいますでしょうか?」という表現です。使われることが多く、すでに一般的な表現なので間違いではないという意見もあります。しかし、文法的には「いらっしゃいます」と「でしょう」の2つの丁寧語がはいっていますので二重敬語です。

「おりますでしょうか」は「いらっしゃいますか」

「おりますでしょうか」は、電話をかけたときに「〇〇さんはおりますでしょうか?」と使われたり、「みなさんそろっておりますでしょうか?」と使われることがあります。

これも「おります」と「でしょう」の二重敬語です。「おりますか」と直すことができますが、「いらっしゃいますか」の方が丁寧な印象になり、使われることが多くなります。

「ございませんでしょうか」は「ございますか」

「ございます」は「あります」と同じく「ある」の丁寧語です。「ございませんでしょうか」「ございますでしょうか」「ございましたでしょうか」は、すべて二重敬語で、「でしょう」をとることで正しく言い換えることができます。

「ございませんか」と「ございますか」は、基本的に意味が同じです。「ございませんでしょうか」を「ございませんか」と直しても問題ありませんが、少し理解しにくく感じる人もいます。「ございますか」と伝えた方が伝わりやすいこともありますので、確認してから直してみましょう。

まとめ

「ありますでしょうか」は、間違った表現ではありますが、アルバイトのマニュアルに書かれていることもあるほど、よく使われている表現です。聞いたときに違和感がない人もいますので、意識して直す必要があります。自分に違和感がなくても、他人からは悪い印象を持たれていることもありますので、本記事を参考に日々の言葉遣いを見直してみましょう。