新入社員や慣れないうちは、来客への「お茶出し」はわからないことだらけです。ここでは自信を持ってお客様にお茶が出せるよう、正しいお茶の出し方をポイントを絞って紹介します。
「お茶出しマナー」「正しいお茶の出し方」のポイント
お茶出しのマナーで一番大切なのは「おもてなし」の気持ち
お茶出しのマナーで重要なのは、来客したお客様に対しての”おもてなしの気持ち”です。わざわざお越しいただいたことへの感謝の気持ちや、のどを潤していただくためにお茶を差し上げます。お茶の出し方に細かい決まりはありますが、状況はざまざまであるため、必ずしも事前に予想していた通りにことが運ぶわけではありません。
まず第一にお客様に喜んでいただくという「おもてなし」の気持ちを持って対応することで、予想外の事態になったときに慌てることなく臨機応変な対応がとれるでしょう。
そして適切な対応がとれるようにするために、お茶出しのマナーについて、事前にポイントを押さえておきましょう。
タイミングよく出す
お茶をお出しするタイミングは重要です。お客様が来社してすぐに社員と名刺交換や挨拶が始まっている場合は、終わって着席した頃に出します。またお客様のみが入室してお待ちいただいている時は、時間をおかずにすぐに出せるのがベストです。そのためには、来社時間に合わせて事前に人数分の湯飲みと茶托、お湯などの準備しておくことが大切です。
おいしいお茶を淹れる
せっかくお茶を淹れても冷めてしまっていたり、薄くておいしくないお茶になってしまったら、おもてなしの意味がありません。おいしいお茶の淹れ方はのちほど詳しく説明しますので参考にしてください。
茶托やコースターはセットせずにお盆に載せて運ぶ
湯飲みと茶托は運ぶときはセットせずに運びます。入室してからお盆をサイドテーブルまたは下座のテーブルの隅に置き、その場でセットしてお出しします。その時、お茶がこぼれてしまっている時はすぐに拭けるように、乾いた清潔なふきんを一緒に持っていきます。
上座の人から順番に、お客様の右手側後方から出す
お茶を配る順番は来客⇒社員となり、それぞれ上座⇒下座の順番とします。上座とは、入り口から一番遠い席で、下座とは入り口に一番近い席です。しかし部屋の構造によっては、必ずしも当てはまらないことがありますので、よくわからない場合は来客の役職に応じて順番を考えましょう。
お茶を出す時は、お客様の右手側後方に回り、茶托を持って軽く「失礼します」と断ってお出しします。
邪魔にならないように気をつける
お茶出しの時点ですでに会議や会話が始まっていることもあります。そのような時は目礼のみで声を出さずにお茶を出しても失礼にはなりません。あくまでも「邪魔にならない」ことが大切です。また、資料が広がっているなどで右手側に出せない時などは、無理せず邪魔にならないところに出すようにします。
「お茶の出し方」基本以外のいろいろな対応
お絞り(おしぼり)とお菓子の出し方と順番
お茶と一緒にお絞りやお菓子を出す場合は、お菓子⇒お茶⇒お絞り、の順にお出しします。置く場所は、お菓子の右にお茶を、お茶の右にお絞りを、と左から順番に並べていくのがマナーにもかない、また右後方から出す時に自分の手をひっかけることなどがなく安心です。
紙コップやペットボトルのお茶の出し方
会社によっては湯飲みと茶托の準備がなく、紙コップやペットボトルのお茶をお出しすることもあります。紙コップやペットボトルのお茶が失礼だということはありませんので、マナー通りに自信を持ってお出ししましょう。
ペットボトルの場合は紙コップを添えて出す方が、女性のお客様への配慮になります。その場合、紙コップをペットボトルにかぶせても構いません。
コーヒー・アイスコーヒーの出し方
コーヒーをお出しする時は、お茶と同様にカップとソーサーは別にお盆に載せて運び、その場でセットします。カップの持ち手はお客様に向かって右側にし、スプーンも柄を右にしてカップの手前に置きます。スティックシュガーとミルクはカップの向こう側の右寄りに載せます。こうするとお客様が取りやすいことと、ミルクなどを使わない方も邪魔になりません。
また、シュガーとミルクはカップの手前に置く、あるいはポーションタイプのミルクはスプーンの上に載せるなどの解説もありますが、ミルクなどを使わない方や衛生面の印象なども考えると、手前に置いたりスプーンの上に置いたりするのではなく、向こう側に置くのがよいでしょう。だたし人数が多い場合は砂糖とミルクは別の器などににまとめても構いません。
夏などの暑い時期はアイスコーヒーをお出しすることもあります。その場合はコースターを先に置き、次にグラスを、最後にストローやガムシロップ、ポーションタイプのミルクをお出しします。ガムシロップやミルクを出す場合は、別の器に入れて出す方がお客様に負担をかけません。使った後のゴミを入れることができるためです。ストローはグラスの前に横向きに置いてもグラスの横に縦に置いてもどちらでも大丈夫です。
また、コーヒーを飲まない方もいるため、コーヒーやアイスコーヒーの他に紅茶や冷たいお茶なども用意しておき、「コーヒーでよろしいでしょうか」とお伺いしてから出せるようにするのが親切です。
お客様の人数が多い時の出し方
お客様の人数が多いときは複数人で対応します。複数人でお茶を配る時は、入室してから誰がどのように動くのかもしっかり打ち合わせておき、その場でスムーズに動けるようにしておきます。
また一人で対応しなければならない場合は、お客様に対応している社員やお客様が回してくださることもあります。その場合は断らずに「恐れ入ります」などと挨拶をしてお願いしてかまいません。
お茶を出してから時間がたった場合
最初のお茶を出してから時間がたった場合は違う飲み物をお出しすることが多いです。その場合は一度すべてを下げてから新しいものをお出しします。お茶を出してから1時間位を目安にするとよいでしょう。
お茶を片付けるタイミング
最後の片付けのタイミングも気を抜かないようにしましょう。お客様が会社を出られてから片付けるように気をつけます。最後の挨拶をされている時などにそそくさとお茶を片付けているところを見られてしまうと、帰るのを待っていたように感じられてしまうかもしれません。
また、洗い物をしたあとは、次のために元の決められた位置にきちんと戻すことはもちろんのこと、茶渋などがついていないかもチェックしてきれいにしておきます。また茶葉や備品の予備がきちんとあるかなども点検しておきます。
お茶出しを突然頼まれた時などは、慣れていないと予想以上にばたばたしてしまいます。いつでもさっと出せるように日ごろから万全の準備をしておきましょう。
おいしいお茶の淹れ方とは?
最後においしいお茶の淹れ方のポイントと手順を紹介します。普段から練習しておくとよいでしょう。
おいしいお茶の入れ方の手順
- 急須に茶葉を入れる。※一般的な急須には茶葉はティースプーン2杯が適当
- 急須にお湯を注いで30秒むらす。
- その時一緒に湯飲みにお湯を入れて温めておく。
- 湯飲みのお湯を捨て、全ての湯飲みに少しづつ均等にお茶を注ぎ、同じ濃さになるように淹れる。
- 湯飲みに入れる分量は7~8分目位までにして、なみなみと注ぎ過ぎないようする。
- 茶葉が湯飲みに入っていないかなどを確認して、清潔なふきんで水滴をぬぐう。
- 湯飲みに絵柄がついている場合は、絵柄を自分に向けてお盆に載せ、そのまま運びます。そのまま方向を変えずに茶托に載せてお出しすれば、お客様の正面に絵柄がくることになります。
まとめ
知っていたつもりでも案外知らないことが多いのがビジネスマナーです。お茶出しひとつでも覚えることはたくさんあり、慣れるまでは大変ですが、まずは基本を押さえておくことと、迷ったときは「おもてなし」の気持ちで臨機応変に対応することを心に留めておけばまずは大丈夫です。