新人のうちは電話対応が苦手という人がほとんどではないでしょうか。ここでは、最低限押さえておくべき電話応対の基本ポイントを、クレーム対応も含めてマニュアル形式でわかりやすく紹介します。
「電話対応」基本マニュアル
電話の受け方
電話対応のビジネスマナーは、基本的に2コール以内で取るように心がけることです。電話の受け方は挨拶のあと、社名、部署名、名前を名乗るのが基本ですが、社名が長いなどで名乗りが5秒を超えてしまう場合は短縮するなど工夫します。
相手が名乗ったら、メモを取りながら復唱して確認します。メモがすぐにとれるよう、常に準備しておくことが大切です。
<名乗り方の例>
- 2コール以内:「お電話ありがとうございます。〇〇社、〇〇部、△△でございます。」
- 3コール:「お待たせいたしました。〇〇社、〇〇部、△△でございます。」
- 4コール:「大変おまたせいたしました。〇〇社、〇〇部、△△でございます。」
<名前の確認の仕方の例>
- 〇〇様ですね。いつもお世話になっております。
- 〇〇様ですね。いつもありがとうございます。
保留の仕方・電話のつなぎ方
電話対応で確認事項がある時や、担当者に取り次ぐ時などは必ず電話を保留にします。受話器を押さえて「〇〇さんにお電話です」などと言うのは相手につつぬけになり、マナー違反です。
<保留の仕方の例>
- 確認いたしますので、少々お待ちいただけますでしょうか。
- 〇〇部の△△でございますね。ただいまおつなぎしますので、少々お待ちください。
電話のかけ方
電話をかける時は、相手の昼食時間や業務時間外、さらに朝の業務開始直後や終業時間の直前を避けるようにするのがマナーです。事前に話す用件をまとめてメモに書いておくとよいでしょう。次のように挨拶をして名乗ります。
<電話をかけた時の挨拶の例>
【取り次ぎをお願いする時】
- いつもお世話になっております。〇〇社〇〇部の△△と申します。〇〇様はいらっしゃいますでしょうか。
【相手が直接出たとき】
- いつもお世話になっております。〇〇社〇〇部の△△と申します。ただいまお時間よろしいでしょうか。
- ~の件でお電話させていただきました〇〇社の△△と申します。ただいまお時間よろしいでしょうか。
「クレーム電話対応」の基本
電話を受けた時に相手が怒っていたり、顧客のクレーム電話だったりする時はどうすればよいのでしょうか?クレーム電話の基本的な対応の心構えを紹介します。
相手に同調しながら状況を把握する
クレームの電話対応で、相手が怒っている場合は、まずは状況を把握するために、相手の話しを聞くことを心がけます。話しを遮ったり、自分の意見を言うとさらに怒らせてしまうため、まずは落ち着いていただくためにも同調しながら話を伺う姿勢がクレーム対応の基本です。
クッショントークで柔らかく対応する
クレームの電話対応で話しを聞くときは、「恐れ入りますが、お名前をお聞かせいただけますか」「申し訳ございませんが、〇〇についてもう少し詳しくお伺いできますか」「お手数をおかけしますが、担当者の名前はおわかりでしょうか」とクッション言葉を入れながら柔らかい対応を心がけます。
さらに「〇〇をお伺いできますか。お願いいたします」「いつお買い上げになったものか、確認をお願いできますでしょうか」というように、お願い言葉も使って謙譲の気持ちを伝えます。
同調していることを伝えるためには「おっしゃる通りです」「さようでございましたか」「〇〇ということだったのですね。大変申し訳ございません」などと相づちを打ちます。
クレームの内容に応じて、担当者や上長に電話を代わる時でも、相手の名前や状況を把握するところまでは一次対応者が行います。
「電話対応」困った時のQ&A
電話対応ではマニュアル通りにいかないことが起こります。よくあるケースをQ&A形式で紹介します。
相手が名乗らなかったら?
電話を受けたとき、こちらが名乗ると通常は相手も名乗りますが、中には名前を言わずに用件に入る人もいます。そのような人に限って忙しそうにせかしたりしますが、ひるまずにしっかりと相手の名前を確認します。
「恐れ入りますが、お名前をお伺いできますでしょうか」と確認します。
相手の声が聞き取りにくかったら?
相手の声が聞き取りにくい時は「申しわけございません。(恐れ入りますが)お電話が遠いようなのですが」と伝えます。ストレートに「声が聞き取りにくいのですが」と伝えることは失礼になるため、あくまでも自分側に原因があるように伝えます。
保留が長くなってしまったら?
保留が30秒以上続きそうな時は、一度電話に出て、「お待たせして申し訳ございません。~のため、もう少々お待ちいただけますでしょうか」と、お待たせしている理由を告げます。
時間がかかりそうな場合は「お待たせして申し訳ございません。お調べするのにお時間がかかりそうですので/ただいま〇〇が別の電話に出ておりますため、おかけ直しをしてもよろしいでしょうか」と理由を告げて、かけ直しできるか確認して最善の対応を考えます。
電話を受けた時に担当者が不在だったら?
電話を受けた時に担当者が不在だった場合は、「申しわけございません。あいにく〇〇は本日不在にしております。明日は出社しておりますので、こちらからおかけ直しいたしますか」と謝罪の言葉とともに、相手の要望を伺いながら最善の対応を考えます。こちらからかけ直す場合は、相手の連絡先、連絡時間、用件の内容、についてメモをとり、全て復唱して確認します。
電話をかけた時に相手が不在だったら?
電話をした相手が不在だった場合は、原則として自分からかけ直します。その場合は、会社に戻る時間などを聞いておきます。「恐れ入りますが、お戻りになるお時間を教えていただけますか」などの言い方です。
2回かけても不在だった場合は、「お手数をおかけしますが、お戻りになりましたらお電話をいただけるよう、ご伝言をお願いしてもよろしいでしょうか」と、折り返しのお願いをしても構いません。
「電話対応」でよく使う敬語一覧
電話対応でよく使う言い回しや敬語をまとめて紹介します。
自分側と相手側の言い方
- 相手 ⇒ ◯◯様
- 自分 ⇒ わたくし
- 相手の会社の役職者 ⇒ 課長の〇〇様(役職のあとに様をつけるのは間違い)
- 相手の会社の社長 ⇒ 社長の〇〇様
- 自分の会社の同僚 ⇒ 名字を呼び捨て
- 自分の会社の上司 ⇒ 課長の〇〇(名字)
- 自分の会社の社長 ⇒ 弊社社長の〇〇(名字)
- 相手の会社 ⇒ 御社
- 自分の会社 ⇒ 弊社 わたくしども
よく使う「尊敬語」
<相手に対して使う言葉>
- 言う ⇒ おっしゃる
- 教える ⇒ お教えくださる
- 教えてほしい ⇒ お教えいただけますか
- 聞く ⇒ お聞きになる
- 来る ⇒ お越しになる おいでになる
- 知っている ⇒ ご存じでいらっしゃる
- 見る ⇒ ご覧になる
よく使う「謙譲語」
<自分が使う言葉>
- 言う ⇒ 申し上げる
- 考える ⇒ 考えさせていただく
- 聞く ⇒ お聞きする
- 知っている ⇒ 存じ上げております
- する ⇒ させていただく
- してほしい ⇒ していただけますか
- すみません ⇒ 申し訳ございません
- そうです ⇒ さようでございます
- どうしますか ⇒ いかがなさいますか
- わかりました ⇒ 承知しました
- わかりません ⇒ わかりかねます
柔らかい印象を与えるクッション言葉
- 恐れ入りますが
- あいにくなのですが
- 大変お手数をおかけしますが
- ご面倒をおかけしますが
- おっしゃる通りです
- 差支えなければ~ をお願いできますでしょうか
- 重ね重ね申し訳ございませんが
- まことに申し上げにくいことですが
まとめ
電話対応は予測できないことが起こり、その場での対処が求められるため、慣れるまでは苦手意識が働くことが多いかもしれません。苦手な気持ちが出てしまった時は、相手の立場に立って考えることで、最適な方法を導き出すことができます。電話の相手は今どのような状況で、何を望んでいるかに気持ちを集中させ、最後は満足していただいて電話を切っていただくことが基本だと心得ておきましょう。