「おみそれしました」の意味とは?使い方や返し方と類語・類義語も

今ではすっかり使う人の少なくなった「おみそれしました」という言葉ですが、あるシチュエーションにおいては的確に気持ちが伝わる便利な表現でもあります。
今回は、ちょっとクラシカルな定型句のひとつ「おみそれしました」の使い方や、言われたときのスマートな受け答えなどを紹介します。

「おみそれしました」の意味と漢字表記とは

おみそれしましたの意味は「気が付きませんでした」

「おみそれしました」は、何か理由があってすぐに気付けなかったことをやんわりと伝え、同時に失礼をお詫びすることができる言葉です。

相手の風貌がすっかり変わっていたり、しばらく会っていなかったために顔を見忘れてしまったというときは、あれこれ言い訳をするよりも「おみそれしました」を使ってみましょう。

たとえば、街中で学生時代のクラスメイトに呼び止められたのに、こちらは相手の顔を思い出すのに時間がかかってしまって少し気まずい…。このような場面でまさに「おみそれしました」が使えます。

「見直しました」「ギャップがある」という意味もある

相手が思った以上にすぐれた素養をもっていたり、意外な特技の持ち主だったというとき、「見直しました」という驚きや「今まで見誤っていました」という恐縮の気持ちを込めて「おみそれしました」と使うことができます。

また、「それはすごい」「そうとは知らず失礼しました」と同じ意味で使えるのが「おみそれしました」です。たとえば、いつも仕事を教えているデキの悪い後輩が意外にもTOEIC900点だったとか、同じ町内会のお年寄りが元オリンピック選手だったという場合に使うことができます。

「おみそれしました」の意味としては、こちらのほうがよく知られているのではないでしょうか。

漢字では「お見逸れしました」

「おみそれしました」は、漢字で「お見逸れしました」と表記します。「お見逸れ」は「見逸れる」の丁寧な言い方で、「見違える・見忘れる」という意味で3つの意味があります。

「おみそれしました」は目上の方に敬語として使える?

「おみそれしました」は本来は謙遜表現

本来の「おみそれしました」は、自分に眼力が足りず事物の真価を見抜けなかった、ものの見方を知らなかったと謙遜する表現です。しかし、結果として相手を過小評価すると捉えられ、使い方によっては思わぬ地雷を踏んでしまうリスクもあります。自信がないときは言い換えや類語を活用してみましょう。

目上の人に対しては失礼にあたることも

「おみそれしました」には、「そんな風に見えない」という思いが含まれるため、使い方によっては相手の気分を害してしまうことがあります。誰でも少し努力すれば達成できるような業績やスキルに対して「おみそれしました」と言えば、相手を人並みかそれ以下と評価していたことになり、言われた方は「よほど見くびられていたのかな」と感じてしまいます。

しかし、たとえば人気アイドルとして活躍している人物が過去に国体選手として努力していたとか、自称「ちりめん問屋の隠居じじい」が実は水戸の副将軍だった場合など、自分の見識の狭さや想像力のなさが原因で相手の実態を把握しきれなかった場合に「おみそれしました」と言うことは失礼にあたらないでしょう。

「おみそれしました」の使い方と例文

「気が付きませんでした」という意味の例文

  • 先日はついおみそれして、ご挨拶もできませんでした。(あとで気づいて詫びたいとき)
  • 例のダイエットに成功したようですね。すっかりおみそれしましたよ。(より魅力的になりましたね)
  • おみそれしてすまなかったね。(さらに謝罪の言葉を続けて失礼を詫びる用法)

「見当違いでした」という意味の例文

  • まさに文武両道ですね。いやはやおみそれ致しました。
  • 美しいだけでなく、努力家でもいらっしゃるとは、おみそれしました。
  • お忙しいのに、さらに慈善活動まで。まったくおみそれしました。

「おみそれしました」への返し方

返し方① 久しぶりなら「お元気ですか?」

久しぶりに会った人に「おみそれしました」と言われたら、まずはポジティブに「思いがけず久しぶりにお会いできたので驚いた・すぐには気が付かなかった」という気持ちを汲み取りたいものです。

もし良くない心象が感じられたとしても、「お元気ですか?すっかりご無沙汰しています」など、久しぶりに会った相手を気遣う挨拶がおすすめです。

返し方② 褒められたら感謝の言葉を返す

「おみそれしました」と能力や裁量を褒められた場合は、「努力の甲斐がありました」「とても励みになります」と感謝の言葉を返しましょう。

反対に低く評価された気がして寂しく感じたり、相手の意図が読み取れない場合には、幅広く謝辞(感謝・謝罪)を表す「恐れ入ります」「恐縮です」を選ぶのもひとつの方法です。

「おみそれしました」の類語(類義語)と英語表現

「おみそれしました」の類語は「見直しました・感服しました」など

「おみそれしました」の類語には、「見直しました・惚れ直しました」のほかに、相手を尊敬してしまうほど感銘を受けたときに使う「感服(かんぷく)しました」や、「頭が下がります」などがあります。

相手がまだ若い人であれば「感心しました」「すっかりご立派になって、見違えました」と言い換えることもできます。

「おみそれしました」の英語表現を使った例文

「おみそれしました」の英語表現としては、次の3つが代表的です。

  • I’m sorry, but for a moment I didn’t recognize you.(おみそれしました)
  • give props to~(~に脱帽する)
  • I underestimated you.(あなたを軽視していた)

まとめ

気づかなかった・見当が外れていたというときに使う「おみそれしました」は、相手への評価と受け取られることもあるため、使い方には少し注意が必要です。「おみそれしました」だけでもお詫びの言葉になっていますが、さらに謝罪の言葉を付け加えることも間違いではありませんので、うまく使って気持ちを伝えてみてください。