「市場がシュリンクしている」のように使われることがある「シュリンク」という言葉。なんとなく意味は分かっているものの、その意味や使い方が分かりにくい言葉です。
そこで今回は「シュリンク」の意味を解説して、ビジネスからIT業界、そして包装方法に至るまで「シュリンク」がどのように使われているのか、英語表現についても幅広く紹介します。
「シュリンク」とは?
「シュリンク」の意味は”縮小”
「シュリンク」の意味は、”縮小”です。「縮むこと」や「委縮すること」などを指す言葉です。
そこから派生して「減少」などの意味もあります。
「シュリンク」は英語で”shrink”
「シュリンク」は英語の「shrink」が語源となったカタカナ語です。
「shrink」には布などが「縮む」という意味から「(蓄えなどが)減る」ことも意味していて、名詞だけでなく動詞としても使われています。
例文:
“Sweater tends to shrink in the wash.”
「洗濯するとセーターは縮みやすい」
“The development of transportation shrinks distances between countries.”
「交通の発達により国同士の距離が縮まる」
「シュリンク」の使い方とは?
名詞としての「シュリンク」の使い方
名詞として「シュリンク」を使った例は次のようなものがあります。
- 「シュリンク業界」:(意味)縮小する業界
- 「シュリンク市場」:(意味)縮小する市場
- 「シュリンクマーケット」:(意味)縮小する市場
動詞としての「シュリンク」の使い方
「シュリンク」を動詞として使うときには「する」をつけて「シュリンクする」のように使います。例文は次のようになります。
- 「このICチップは、回路は従来のままだがその面積はシュリンクした」
- 「長い不況のあおりで、鉄鋼業はシュリンクしている」
- 「仮想通貨は市場にテコ入れが入らなければシュリンクするだろう」
「シュリンク」のビジネスシーンでの意味と使い方とは?
「「シュリンク」は”市場縮小”の意味で使われることが多い
ビジネスで「シュリンク」が使われる際には、「市場の縮小」という意味で使われることが多いようです。
例えば出版業界で電子書籍が売り上げを伸ばし紙に印刷された本が売れない状況のため、出版業界をシュリンク業界のように揶揄することがあります。
つまり「シュリンク」とはその市場の規模が小さくなりつつある市場だったり低迷している状態のことを説明する時に使います。
「シュリンクラップ契約」は商品開封と同時に契約すること
シュリンクラッピングを使った用語として「シュリンクラップ契約」があります。「シュリンクラップ契約」とは商品を開封した時点で商品に関する当該条項に同意したとみなす契約方法の俗称です。
ソフトウェアなどによく使われている契約方法ですが、本来、契約とは申し込みとそれに対する受諾がなされて契約が成立されるため、シュリンクラップ契約では正式な契約は結べないという見方もあります。そのためシュリンクラップ契約の法的な有効性はまだ解決していません。
IT業界での「シュリンク」の意味と使い方とは?
IT分野における「シュリンク」の2つの意味
IT用語としても「シュリンク」は使われていますが、語源である「縮小」という意味から次のような意味に派生しました。
- 質や内容は変えることなく、その体積や面積などの大きさを変えること。
- あとで元通りに復元できることを前提に圧縮すること。
1の意味はICチップの開発などで使われて、ICチップの内容はそのままに、それに使われる素材をより小さくすることで、ICチップ全体の大きさを小さくします。
それによりウェハに形成されるICチップの数が増えるというメリットがあったり、また性能が同じでも電気消費量や発熱量を減らすことができることもあります。
2の意味もよく使われる意味で、「データをシュリンクする」のように使います。
「DVD Shrink」など固有名詞としても使用
データ等を圧縮する機能を持たせた商品名にも「シュリンク」が使用されています。
その場合は英語表記で「shrink」というするのが特徴的で、その一例には、DVDをコピーしてDVD-Rに保存できるフリーソフトウェア「DVD Shrink」があります。
またマイクロソフトもデータベースやファイルの圧縮するコマンド名に「shrink」を使っています。
「シュリンク包装」は出版業界で重宝される
「シュリンク包装」は漫画の梱包に使われる
「シュリンク包装」は「シュリンクラッピング」とも言われる梱包方法のひとつです。
よく書店などでシュリンク包装された漫画などが陳列されていますが、シュリンクフィルムと呼ばれる薄い透明のフィルムで品物の外装を包み、熱によりフィルムを圧縮することで、品物に密着させて梱包します。
シュリンク包装により商品の外装を汚れから守るだけでなく、まだ開封されていないことが分かります。
「シュリンク包装」は自分でもできる
シュリンク包装を自分ですることもできます。
そのために準備するものは、シュリンクフィルムとフィルムを溶接して裁断するためのシーラー、そして熱収縮させるためのドライヤーです。
手順は次のようになります。
- シュリンク包装したい品物をシュリンクフィルムに入れて、余分な部分をはさみなどで切り落とします。
- シーラーで溶接しながら裁断します。
- 品物がシュリンクフィルムの中央にあることを確認したら、ドライヤーの熱風を当てます。するとフィルムが収縮させて完成です。
まとめ
シュリンクとは縮小という意味の英語から生まれたカタカナ語ですが、ビジネスからIT業界、そしてラッピングまでいろんな分野で使われています。ただどの分野でも縮小という基本的な意味が守られていますので、どの業界で使われていてもシュリンクの意味を推測することはそれほど難しくないでしょう。