「空前絶後」という言葉の正しい意味を知っていますか?よく耳にする言葉だけど、自分で使ったことはない、という方は多いかもしれません。今回は「空前絶後」の意味や使い方、類語や英語の例文などについて解説します。ぜひこの機会に「空前絶後」の正しい意味を知って、いつでも使えるようにマスターしましょう。
「空前絶後」とは?
「空前絶後」の意味は”奇跡のように稀な事柄”
「空前絶後」の意味は、“奇跡のように稀な事柄”です。「くうぜんぜつご」と読みます。「今まで見たことがなく、恐らくこれから先も見ることができないだろう、と思われるような奇跡のように珍しく稀なできごと」を表した四字熟語です。
この「今まで見たことがない」「これからも見ることがないだろう」という部分は、自分の価値観だけでなく、一般的な人々の価値観も含んだものとなります。「自分にとっては空前絶後のできごと」という意味で使うこともできますが、基本的には「誰もが驚く、誰もが見たことない、これからも見られないと感じるできごと」です。
「空前」は”今までに一度もなかった”
「空前絶後」は”空前”と”絶後”という2つの言葉によってできた四字熟語です。「空前」とは「今までに見たことがない」「これまでに例がない」という意味です。
「空前の大作」「空前の大ヒット」など、テレビや雑誌などでも頻繁に目にする言葉で、「空前」というだけで「大変な偉業を成し遂げた」というニュアンスを伝えることができます。
「絶後」は”これから二度と起こらない”
「空前絶後」には「空前」だけでは言い表せない、さらに稀なできごとであるということを補足する「絶後」も使われています。「絶後」とは「これから先も、これほどのことは起きないだろう」という意味です。
「絶後」には「息を引き取った後」という意味もありますが、「空前絶後」の「絶後」にこの意味は含まれていません。
「空前絶後」の使い方や例文とは?
一般的には「の」「だ」などと使う
「空前絶後」という言葉は、四字熟語なので、特に使い方が決まっているわけではありません。しかし、一般的には「の」と組み合わせて「空前絶後の~」、としたり「だ」と組み合わせて「~は空前絶後だ」などと使われています。
他にも「空前絶後と言って良いだろう」「空前絶後と評判です」などと使うこともできますが、この場合は「何が空前絶後なのか」ということを補足する必要があります。そのため、主には相手と共有しているテーマについて使われる言い方です。
「空前絶後の」の後には強調する言葉
「空前絶後」は事柄の珍しさを表す言葉です。通常、日本語ので強調する言葉を使う場合、その後にはシンプルな表現を使います。たとえば「とてもきれい」「大変おいしい」などです。
しかし「空前絶後」は強調する言葉でありながら、その後に来る言葉もさらに強調するという傾向があります。「空前絶後のヒット」「空前絶後の作品」よりも「空前絶後の大ヒット」、「空前絶後の超大作」などです。
「空前絶後」に「大」「超」などさらに珍しさやすばらしさを上乗せする言葉と一緒に使うことで、「空前絶後」が持つニュアンスを強めます。
「超絶怒涛の」と併せると勢いが増す
「空前絶後」だけでも、十分にその物事が稀であることは伝えられます。しかし「空前絶後という言葉だけでは足りない」と思うことを言い表したい場合もあるでしょう。そんなときは「超絶怒涛の」という言葉と組み合わせます。
「超絶怒涛」とは「ずば抜けて勢いがある」という意味です。「超絶」は「特に飛び出て秀でる」という意味で、「怒涛」には「すさまじいい勢いがある」という意味があります。
この「超絶怒涛」を「空前絶後」と組み合わせて「これはまさに空前絶後、超絶怒涛の超大作です」などとすれば、「空前絶後」だけのときよりもさらにすばらしく、勢いがあることを伝えられます。
「空前絶後」を使った例文
「空前絶後」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。
- 「空前絶後の大ヒット作となった商品をバージョンアップしたいと思います」
- 「今回の御社の新商品は、まさに空前絶後、超絶怒涛と言えそうです」
- 「第一志望の企業に就職できて、我が家は空前絶後の盛り上がりを見せている」
- 「空前絶後の大作と評判の舞台を見に行った」
- 「今回の受注は、我が社にとってまさに空前絶後の喜びだ」
「空前絶後」の類語とは?
類語①「前人未踏」は”誰も成し遂げたことがない快挙”
「空前絶後」にはいくつかの類語があります。その中でも良く使われるのが「前人未踏」です。「前人未踏」には「まだ誰も足を踏み入れていないところに入って行く」という意味があります。「前人」は自分やその人よりも前に生きた人、「未踏」は「まだその場所を誰も踏んでいない」という意味です。
「前人未踏の快挙」など、「前人未踏」という言葉を事柄やできごとに当てはめて使うこともありますし、「前人未踏の地」など実際にまだ誰も足を踏み入れていない場所を示すこともあります。
「前人未踏」は「空前絶後」の「空前」の部分に近い言葉なので、「絶後」に当たる意味は持っていません。「これから先もきっとこんなことはない」という意味を含めたい場合は「空前絶後」の方が適しています。
類語②「前代未聞」は”呆れたできごと”
「空前絶後」は称えられるべき良い事柄について使われます。しかし「前代未聞」が持つニュアンスは「呆れる」「(悪い意味で)信じられない」というものです。
「前代未聞」という言葉が持つ「これまで見たことも聞いたこともない」という意味自体は「空前絶後」に近いのですが、「前代未聞」が使われる場面や、対象となる人の行い、できごとはネガティブなものであることがほとんどです。
類語③「未曾有」は”とっても珍しいこと”
ニュース番組などで時々目にする言葉に「未曾有」があります。「未曾有」は「みぞう」と読み、「極めて稀なこと」「これまでに起こったことがないこと」という意味です。
本来の「未曾有」は、比較的良い意味で使われていましたが、現代では主に悪いできごとについて使われています。大きな災害や、甚大な被害を受けたできごとなどを「未曾有の災害」
「未曾有の惨事」などと表現し、「これまでにない大きな被害」を指します。
「空前絶後」の英語表現とは?
空前絶後は英語で「the first and probably the last」
「空前絶後」は日本で使われている四字熟語です。これを英語に直すと「the first and probably the last」となります。直訳すると「初めてで、恐らく最後」という意味で、「空前絶後」が持つ意味を伝えることができます。
「probably」は「恐らく」という意味なので、「これが最後」と言い切りたい場合は「the first and the last」としても問題ありません。
まとめ
「空前絶後」という言葉はテレビやニュースなどでたびたび目にする言葉です。なんとなく「すごいこと」と解釈するよりも、「空前絶後」が持つ言葉の意味を正しく理解しておいた方が、事の重大さやすばらしさにいち早く気が付くことができます。ぜひこの機会に「空前絶後」という言葉を意識して、「空前絶後」と言われる事柄を、自分の目や耳で確かめてみたいものですね。