ビジネスシーンでもたびたび聞かれる「仮想PC」という言葉。クラウドサービスを利用する際にも便利なツールのようですが、どうもその実態が分かりにくいようです。
そこで今さら聞けない仮想PCの基本からホストOSとゲストOSの違い、さらには代表的な仮想PCからウイルス感染したときの対処法まで解説します。
「仮想PC」とは?
「仮想PC」とは余剰分のリソースを使うための手段
「仮想PC」とは、”コンピューター上にソフトウェアを使って作られた疑似的なハードウェアのこと”です。「仮想マシン」とも呼ばれます。
コンピューターという道具に対してハードウェアは一つというのが基本的な考え方ですが、それではCPUやメモリなどのリソースを十分に使えていません。一つのマシンに一つのアプリケーションという従来の使い方だと、ハードウェアの約20%を使っているだけなのです。
そこで、その余剰分を有効的に使うために考え出されたのが「仮想PC」です。コンピューターに仮想化したハードウェアを作り出すことで、使いきれていないリソースを使うことができます。
具体的に言えば、Windows PCで仮想のMacのOSやLinuxを動かしたりすることができるのです。
ホストOSとゲストOSの違い
仮想PCと聞くと同時に耳にするのが、「ホストOS」と「ゲストOS」という言葉です。
「ホストOS」とは、パソコンの基本性能としてもともとインストールされているOSのことです。
一方「ゲストOS」とは仮想PCにインストールされているOSのことです。
代表的な仮想PCの比較
ホスト型とハイパーバイザー型
代表的な仮想PCの紹介の前に、仮想PCを作り出す環境には2つあることを知っておきましょう。
ひとつは「ホスト型」で、ホストOSにソフトウェアをインストールして、その上で仮想PCを動かすという方法です。インストールがしやすいという点でメリットがありますが、ホストOSを経由するため、ホストOSからの影響から動作速度が遅くなるというデメリットがあります。
もう一つが「ハイパーバイザー型」で、ホストOSは使わずに、サーバーに直接インストールをして仮想PCを動かすという方法です。「ハイパーバイザー型」なら、ホストOSへの負荷が一切かからないため、仮想マシンが安定して動くというメリットがあります。また複数の仮想マシンを制御することもできます。
WindowsOSで代表的な仮想PCの比較
ホスト型の代表的な仮想PCは、Windows 7 でのXPモードやVirtuabBox 、VMware Player、VMware Fusionです。
なかでもVirtuabBoxは有名で、Windows上でLinuxやUnixを動かすことができれば、その逆もできます。多機能かつ無料なので、入門者でも入りやすい仮想PCです。
またVMwareも利用しやすい仮想PCのひとつで、簡易インストールがあるのが特徴です。最初の仮想PCとして試してみるのもいいでしょう。
ハイパーバイザー型の仮想PCなら、Hyper-VやESXiなどです。
Hyper-Vはマイクロソフトが提供する仮想PCで、Windows Serverの一機能としてついているのですぐに使い始められます。Windowsユーザーなら特に講習などに通うこともなくても使えることから、その手軽さが魅力です。
仮想PCの導入のメリットとデメリットとは?
メリットは経済的・実用的、デメリットは人材育成の必要がある
個人ユーザー以上に企業単位で仮想PCが導入される傾向がありますが、その理由は経済的であり実用的でもあるからです。
新しいシステムを導入するたびにサーバーを用意しなくてはならないとなると、そのコストと手間が多くかかります。
それに代わり仮想PCを使えば、一台のPCで複数のOSを使い処理できてしまうため、経済的であり実用的です。
ただし仮想PCを扱う人材の育成というデメリットもあります。将来的にはそうした人材は生かされるわけですが、初期投資としてそうした人材の育成が必要となります。
仮想PCもウイルスに感染する?
仮想PCもウイルスに感染
ウイルス対策はすべてのパソコンユーザーが必須ですが、仮想PCももちろんウイルス感染の対象です。
ゲストOSもセキュリティ対策が必要
ホストOSがセキュリティ対策がしてあるからゲストOSのセキュリティ対策はいらないという誤解があるようですが、個々のゲストOSにもセキュリティ対策も必要です。
仮想マシンのOSごとにセキュリティ対策をして初めて安心して使えると思っておいてください。
感染したときの対応策
もしも仮想PCにウイルス感染が疑われれば、すぐにゴミ箱に捨ててゴミ箱を空にすれば問題はありません。
仮想PCがウイルスに感染したらホストOSも感染するかと言えば、どちらとも言えません。ホストOSの感染が全くないとは言い切れませんが、比較的少ないというのが現状です。
まとめ
仮想PCとはコンピューター上に作られる疑似的なハードウェアのことです。PC一台でいくつものOSを使えることで、余剰リソースを稼働させることができたり、OSごとにPCを用意することもないので、経済的にPCを活用することができるでしょう。