「愁眉を開く」の意味と使い方とは?由来・類語も例文で解説

「愁眉を開く」ということわざを聞いたことがあるでしょうか。そもそもこの「愁眉」とはどういう意味なのでしょうか。

「愁眉を開く」の意味をはじめ、どのようにこのことわざが生まれたのか、その由来や出典を解説。さらに、言葉の使い方や類語・英語表現などを例文と併せて広く説明していきます。

「愁眉を開く」とは?

「愁眉を開く」の意味は”今までの心配事がなくなって安心すること”

「愁眉を開く」の意味は、“今までの心配事がなくなって安心すること”です。

心配事がなくなりほっとした状態をなぜ「愁眉を開く」と表現したのかを説明するには、「愁眉」という言葉の意味を知るとわかりやすいでしょう。

「愁眉」とは心配のために眉を寄せるという行為のことで、心配事のあるときにされる典型的な顔の表情です。そのため「愁眉」には「心配そうな顔つき」という意味もあります。

その寄せていた眉が開いたことで心配がなくなり、さらには安心した表情になるからです。

「愁眉を開く」の読み方は”しゅうびをひらく”

「愁眉を開く」の読み方は“しゅうびをひらく”です。

「眉」(まゆ)という字を音読し、「愁眉」を「しゅうび」と読みます。

「愁眉を開く」の由来は劉兼の詩『春遊』

「愁眉を開く」は、劉兼の詩『春遊』の中に「愁眉が開く」という表現があったことに由来しています。

「愁眉」の語源は中国女性のお化粧の仕方

「愁眉」という言葉の語源は古代の中国女性の化粧にあります。中国は後漢の時代、女性たちは化粧で眉をいろんな書き方をしていたのですが、その一つに細く曲がった眉の書き方があったそうです。

このように書かれた眉が愁い(うれい)を誘った表情になることから「愁眉」という言葉が生まれました。

「愁眉を開く」の使い方と例文とは?

「愁眉を開く」の使い方のポイント

「愁眉を開く」とは何か問題があって心配の種がなくなり安心したという状態を表すことわざです。

そのため、ただ安心しているという状態に使うのは適当ではありません。安心する前になにか問題や心配事がなくてはなりません。

「愁眉を開く」を使った例文

「愁眉を開く」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。

  • 「ずっと思い悩んでいたが、やっと愁眉が開いた」
  • 「愁眉が開いたので、やっと重い腰を上げる気になった」
  • 「A社との交渉が愁眉を開いた時期に、B社とは最悪な状態になっていた」
  • 「愁眉が開きかけていたときに、彼女が笑ったので、これで大丈夫だと思った」

「愁眉」の書き間違えに注意

「愁眉」を同じ読み方をする「秀眉(”特に男性の形がよく整った眉”の意味)」と書き間違えてしまいやすいのですが、これではまったく意味が通らなくなりますので漢字の書き間違えには注意しましょう。

「愁眉を開く」の類語と例文とは?

愁眉を開くの類語①「眉を開く」

愁眉の代わりに「眉」を使った表現で、「愁眉を開く」の同義として使われます。
また伸びるという意味の「伸ぶ」を使い、「眉を伸ぶ」(まゆをのぶ)という言い方もあります。

例文
大変な手術が成功して、家族は眉を開いた。

愁眉を開くの類語②「胸をなでおろす」

「心配事がなくなり安心する」と意味で、安心したときに緊張が解けた心の状態を表しています。

例文
便りがなかった息子が無事に帰ってきて、胸をなでおろした。

愁眉を開くの類語③「安堵する(あんどする)」

「気がかりなことがなくなり安心すること」という意味です。

「無事を聞いて安堵した」というように使えます。

愁眉を開くの類語④「心が休まる」

「が」を抜いて「心休まる」とも使える「心が休まる」の意味は「気持ちが穏やかになる」という意味です。
「心」の代わりに「気」を使い、「気が休まる」と言うこともできます。

例文
  • 温かい日差しに心が休まる
  • 忙しくて心休まらない

「愁眉を開く」の対義語と例文とは?

愁眉を開くの対義語①「眉を顰める」や「眉根を寄せる」

「眉を顰める(ひそめる)」や「眉根(まゆね)を寄せる」は、どちらも「心配事があって不快を感じる」という意味の言葉です。

また他人の嫌な行為に対して不快を感じるときにも使われます。

例文
若手社員の身勝手な動向に眉をひそめた。

ちなみに、「眉を顰める」は本来の読み方とされるのが「眉をひそめる」で、派生的ですが通用する読み方が「眉をしかめる」となっています。

愁眉を開くの対義語②「焦眉の急」

「愁眉の急(しゅうびのきゅう)」とは、「非常に差し迫った危険や問題を抱えていること」や「状況が切迫していること」の例えで、「愁眉を開く」の対義語表現となります。

例文
愁眉の急を告げる事態に誰もが動揺した。

「愁眉を開く」の英語表現とは?

「愁眉を開く」は英語で”to feel relieved”

「愁眉を開く」とは端的に訳すとすれば、「安心した」という意味を英訳して“to feel relieved”になります。

「feel」は「感じる」という意味の動詞で、「relived」は「ほっとした」や「安心した表情の」という意味の形容詞です。

例文

“He feels relieved.”

「彼は安心した」

より明確に「愁眉を開く」を英語で表現したい場合

ただ「安心した」という英訳では「愁眉を開く」を完全に訳したとは言えない、ほっとした前提となる心配事がなくなったという意味も明確に表現したいのなら、「心配事がなくなる」という意味の言葉を付け加えましょう。

「心配事」を英訳すると「worry」や「trouble」です。「なくなる」は「be gone」なので合わせて、「worry is gone」となり次のように表現できます。

例文

“Worry is gone and I feel relieved.”

まとめ

「愁眉を開く」とは「問題がなくなって安心すること」という意味のことわざです。ただ聞き慣れていないことわざのひとつでもあるので、このことわざを使うときには周囲への心配りも大切でしょう。

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「難解なワードでもわかりやすく」をモットーに、常識ワードからビジネス用語、時には文化・アート系など、幅広く記事を書かせていただいています。ドイツ在住で2児の母。好きな食べ物はビターチョコレートとナッツ類。