中国の漢文に由来があると言われている故事成語「守株」。「株を守る」や「株を守り兎を待つ」など、違った表現で知っている方もいるかもしれません。今回はその「守株」の意味について、由来や例文もまじえながら詳しく解説していきます。覚えておくと便利な類義語と英語表現も紹介します。
「守株」とは?
「守株」の意味は”古い習慣にこだわること”
「守株」の意味は、”古い習慣にこだわる・進歩がない”です。故事成語で、昔ながらの習慣や風習に縛られ、時代に合わせた対応・判断ができないことを表現します。
「守株」の読み方は”しゅしゅ”
「守株」の読み方は、音読みで”しゅしゅ”です。
「守株」の由来は出典”韓非子”
「守株」の由来は、中国戦国時代の法律学者“韓非”によって書かれた「韓非子」(かんぴし)の「五蠹」(ごと)という章だと言われています。そこには、このような“農民とウサギの話”が書かれています。
この内容からわかるように、「守株」の由来は“切り株にぶつかるウサギを待ち続ける農民の様子”からきています。一度味わった幸運に執着しているさまが、「古い習慣にこだわる」という悲観的な意味へとつながったのでしょう。
「守株」の使い方と例文とは?
「守株」は非難的な気持ちがあるとき使う
「守株」の意味には、「同じように簡単に幸運を得ることができるかもしれない」という“愚かさ”がニュアンスに含まれています。そのため、「“守株”な性格で時代遅れ」など、「守株」の対象物に対し非難的な気持ちがあるときに使われることが多いです。
「株守・守株待兎・株を守る・株を守りて兎を待つ」とも表記できる
「守株」は、以下のような表記もできます。
- 漢字の順序をかえた「株守」(しゅしゅ)
- 四字熟語の「守株待兎」(しゅしゅたいと)
- ことわざの「株を守りて兎を待つ」
- 熟語を慣用句にした「株を守る」(くいぜをまもる)
意味は同じなので、文章の雰囲気などに合わせて使いわけるといいでしょう。
「守株」を使った例文
「守株」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。
- 「守株な君は、そのうち現場に対応できなくなるだろう」
- 「守株はやめて新しい事業に挑戦しないか?」
- 「年齢を重ねると、どうも守株になっていく」
- 「これは守株するべきルールではない」
- 「これ以上、守株な人間と言われないためにも努力しよう」
「守株」の類義語や類似表現とは?
「守株」の類義語は”待ちぼうけ”
「守株」の類義語は、日常会話でも使う身近な言葉「待ちぼうけ」です。「待っている人が来ない」や「待ちくたびれている」という意味があり、「守株」の“進歩がない”という意味に似ている言葉です。「古い習慣にこだわる」の意味はなく、ただただ待っている様子を表現しています。
「旧套墨守」(きゅうとうぼくじゅ)は似た意味を持つ四字熟語
「旧套墨守」は、「古いしきたりやルールをかたくなに守り続けること」「古いしきたりに縛られて融通がきかないこと」という意味を持つ四字熟語です。「守株」よりも強いこだわりを持っている様子を表現します。
「剣を落として舟を刻む」は似た意味を持つことわざ
「剣を落として舟を刻む」は、“物事にこだわり事態の変化に気づかない様子”をたとえたことわざです。「状況に合った対応ができない」という意味は似ていますが、「進歩がない」という意味はありません。
「守株」の英語表現とは?
「守株」の英語表現は「lack of innovation」「stupidity」
「守株」の英語表現は、“不足”を意味する「lack」と“一新”や“革新”を意味する「innovation」を組み合わせた「lack of innovation」が適切です。“愚かさ”のニュアンスを出したいときは、“愚かさ”という意味を持つ「stupidity」でも表現できます。「stupidity」は直接的な表現なため、相手を怒らせてしまう場合があります。気をつけて使いましょう。
「守株」(lack of innovation / stupidity)の例文
- 「守株」
“lack of innovation”
- 「彼は守株な人だ」
“He is a man who has lack of innovation.”
- 「彼の守株に呆れた」
“I was staggered by his stupidity.”
まとめ
「守株」は、「古い習慣にこだわること」「進歩がないこと」を意味する言葉です。あまりなじみの無い表現だと思うので、日常会話では「昔ながらの習慣に縛られている」や「柔軟な対応ができない」など噛み砕いた表現の方がお勧めです。
かしこまった表現ではありますが、ビジネスシーンでも日常的なシーンでも登場する機会はあります。非難的なニュアンスが含まれているので使うときは注意しましょう。
昔、栄の国のある農民が、走ってきたウサギが畑にあった切り株にぶつかり首を折って死んだところを見た。その農民はそれ以来仕事をせず、同じように再びウサギがぶつかるのを待った。しかし、いくら待ってもウサギが切り株にぶつかることはなく、その間に農民の畑は荒れ果て、国の笑い者になってしまった。