「抱腹絶倒」という言葉をご存知でしょうか。漢字の印象的に何か暗いイメージを持たれる人もいるかもしれませんが、実はとても明るい言葉です。今回は「抱腹絶倒」の意味や使い方を解説します。間違って使ってしまうことのないように、覚えておくとよいでしょう。
「抱腹絶倒」の意味と読み方とは?
「抱腹絶倒」の意味は”腹を抱えて大笑い”
「抱腹絶倒」の意味は、“腹を抱えて、倒れて転げまわるほどの大笑い”です。「倒れる」や「絶つ」というネガティブなイメージの漢字が使われていますが、大笑いして倒れるという、とても明るい四字熟語です。
「抱腹絶倒」の読み方は”ほうふくぜっとう”
「抱腹絶倒」の読み方は、“ほうふくぜっとう”です。「抱」は、訓読みで「抱(だ)く」「抱(いだ)く」「抱(かか)える」と読むことが多いですが、音読みでは「ほう」と読みます。例えば「抱擁(ほうよう)」などで使われています。
他の3文字は、「腹痛(ふくつう)」などで使われる「ふく」、「絶滅(ぜつめつ)」の「ぜつ」、「倒立(とうりつ)」の「とう」で「ほうふくぜっとう」です。
「抱腹絶倒」の使い方と例文とは?
「抱腹絶倒」は名詞と動詞の使い方がある
「抱腹絶倒」には、名詞で使う場合と、「抱腹絶倒する」と動詞で使う場合があります。「抱腹絶倒する」は、活用して「抱腹絶倒しよう」「抱腹絶倒させる」「抱腹絶倒すれば」など、いろいろな使い方ができます。
「抱腹絶倒」を使った例文
「抱腹絶倒」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。
- このシーンが面白すぎて抱腹絶倒した。
- 抱腹絶倒している彼らを、周りの人は不思議そうに見ていた。
- 落ち込んだときに見るために、抱腹絶倒動画集を作って、保存している。
- 来週紹介してもらう相手を、抱腹絶倒させられるネタを探している。
- 彼がしていたのは抱腹絶倒の話だった。
- 彼女の夢は、お笑い芸人になって観客を抱腹絶倒させることだ。
- 抱腹絶倒間違いなしの面白画像10選!
- そのときの動きや表情は、本当に抱腹絶倒ものだったよ。
「抱腹絶倒」の類語とは?
「抱腹絶倒」の類語は”大笑い・腹筋崩壊・呵々大笑”
「抱腹絶倒」の類語は、「大笑い」「腹筋崩壊」「呵々大笑」など、数多くあります。どれも、人が思い切り笑う様子を指した言葉です。
「抱腹絶倒」よりも伝わりやすい言葉に言い換えたいときには、なじみのある「大笑い」が良いかもしれません。「腹筋崩壊」は若者言葉と言われることもありますが、腹筋が崩壊するほど大笑いをする様子を表現した言葉です。
「呵々大笑」は、「かかたいしょう」と読みます。あまりよく使われる言葉ではありませんが、「大声でカラカラと笑う」という意味で、「呵々(かか)」は笑い声を表していると言われています。
このほかにも、「爆笑の渦」「笑いの渦」「大爆笑」「哄笑(こうしょう)」なども「抱腹絶倒」の類語です。
「抱腹絶倒」の英語表現とは?
「抱腹絶倒」は英語で”convulsive laughter”
「抱腹絶倒」は英語で”convulsive laughter”です。「convulsive」は、「けいれんの、発作的な」という意味の言葉で、「laughter」は「笑い」です。つまり、「convulsive laughter」を直訳すると、「けいれんを起こしたような大笑い」となります。
「convulsive laughter」は形式ばった表現ですので、もっと気軽に使いたいときには「very funny」でもよいでしょう。「very」は「とても」という意味で、「funny」は「おかしい、滑稽な」という意味です。
「抱腹絶倒」の語源とは?
「抱腹絶倒」の語源は”史記”
「抱腹絶倒」の語源は「史記」の「捧腹絶倒」だと言われています。「抱」ではなく、「捧(ささ)げる」という漢字を使っています。登場人物は、宋忠(そうちゅう)と賈誼(かぎ)、司馬季主(しばきしゅ)の3人です。
宋忠と賈誼は、「聖人が才能を隠して市井に生きている」という考え方を実践して、町中に聖人を探しに出かけました。すると、司馬季主が弟子に講義をしている場面に出くわします。
宋忠と賈誼は、司馬季主の話を聞き、この人こそ聖人であると感じました。そして「なぜ先生ほどの方がこのようなところ話をしているのか、無益なことではないですか。」と質問をしました。
これに対して司馬季主は「捧腹絶倒」し、「町中で話している者や聞いている者が下賤なわけではない。なんと愚かな質問をするのか。」と宋忠と賈誼に説教したとされています。
「捧腹絶倒」は、「抱腹絶倒」という漢字を当てるようになりましたが、今でもどちらの漢字も使われています。
まとめ
「抱腹絶倒」は、「ほうふくぜっとう」と読み、「腹を抱えて、倒れて転げまわるほど大笑い」という明るい意味の言葉です。「抱腹絶倒の話」など名詞として使うこともありますが、「抱腹絶倒する」のように動詞として使うこともできます。わかりやすく言い換えるときには、類語の「大笑い」などを使うとよいでしょう。参考になれば幸いです。