会議の後に「またもや小田原評定だった」と肩を落とした上司を見たことはありませんか?意味深な「小田原評定」という言葉。一体どのような意味があるのでしょうか?
ここでは「小田原評定」の語源と意味、使い方と例文、また類語と英語表現などについてまとめています。この機会に使い方をマスターしましょう。
「小田原評定」とは?
「小田原評定」の意味は”長引くだけで結論の出ない会議・相談”
「小田原評定」の意味は、“長引くだけで結論の出ない会議や相談”です。
一般的に「評議」というものは両者の意見が異なるため長引くことが予想されますが、時間を割いて話し合いをしても、一向に前に進まず結論に至らない様子を指す表現が「小田原評定」です。
場所と時間を設けても、お互いの意見を主張するだけで結論に辿り着かないことはありませんか?これが「小田原評定」の典型的な例と言えます。
「小田原評定」の読み方は”おだわらひょうじょう”
「小田原評定」の読み方は、“おだわらひょうじょう”です。「小田原」は地名と同じで「おだわら」、「評定」は評議して決定することや相談を意味する「ひょうじょう」となります。
ちなみに「小田原評定」の「評定」は「ひょうじょう」と読みますが、「営業成績を評定する」や「接客態度を評定する」など、決められた尺度によって評価を決めるという意味での「評定」は「ひょうてい」と読みます。くれぐれも「小田原評定」を「おだわらひょうてい」と読まないように気を付けましょう。
「小田原評定」の語源は”城内で評議が長引き滅ぼされたこと”
「小田原評定」の語源は小田原城での長引く評議により敵に倒されてしまった北条氏直の話の中で見つけることができます。
小田原城主を務めていた北条氏直は、その頃、長々と続く和戦の評議を行っていました。しかし、城外では敵であった豊臣秀吉軍が城を囲い、まさに小田原城を攻め落とそうとしていたのです。
結局、城内での長引く評議の中、北条氏直は豊臣軍によって滅ぼされてしまったことから「長引く会議や相談において、結論が出ず埒が明かないこと」を指す慣用句として比喩的に使われるようになりました。
「小田原評定」は時間とストレスだけが増していくもの
「小田原評定」を使う時の心中を表すなら「ガッカリ」や「イライラ」といった言葉がピッタリでしょう。ビジネスシーンでは問題の解決や今後の計画など、結果や結論を急ぐシチュエーションがほとんどです。そのような状態で会議や話し合いが「小田原評定」であるのは、とてもストレスのかかることです。「小田原評定」で残るものは時間のロスとストレスかもしれません。
「小田原評定」の使い方と例文とは?
「小田原評定」は時代錯誤を感じる古風な響きの慣用句ですが、職場ではよく使われる表現です。使い方をマスターして、適宜会話に取り入れていきましょう。
「小田原評定」は”小田原相談・小田原評議”とも言う
「小田原評定」は別の言い回しで「小田原相談」や「小田原評議」、また「小田原談合」とも呼ばれることがあります。「小田原評定」は話し合いや会議などが長引いて埒があかないことを指しますが、その内容によって「相談」「評議」「談合」など、適した後続熟語を選んでみてもよいでしょう。
「小田原評定」は難航しても解決した時は使わない
「会議は難航した」と「会議は小田和評定に終わった」という二つの文章を比べると、多少意味合いが異なります。いくら話し合いが難航しても結論が出れば「小田和評定」という表現と使うのは適切ではありません。
「小田原評定」を使う時は、あくまで「結論が出なかった」時のみに使うようにしましょう。
「小田原評定」を使った例文
「小田原評定」を使った例文を挙げてみます。
- 一か月に及ぶ話し合いでも、小田原評定では意味がないだろう。
- 小田原評定にならないように、問題点と想定できる解決案を挙げておこう。
- 関係会社との合併では、両者が一歩も引かない小田原評定の状態が続いた。
「小田原評定」の類語と対義語とは?
「小田原評定」という表現が状況にピッタリ合わないこともあるでしょう。そこで類語を挙げながら、あわせて対義語の解説をしたいと思います。
「小田原評定」の類語は”水掛け論”や”平行線”
「小田原評定」は意見が食い違い結論が出ずに終わることを意味しますが、類語と考えられるのは「ああ言えば、こう言う」という状態を指す“水掛け論”、またいつまでたっても埒があかずゴールが見えない様子を表す“平行線”が挙げられます。
「水掛け論」はやや言い合いに近いニュアンスがありますが、両者とも一歩も引かないような状況を指します。こういった意味合いでは「押し問答」も類語として解釈できるでしょう。
また「平行線」は話が前向きに一向に進まず、結論に到達するまで時間がかかることが予想される状態で使われます。
似た意味を持つ言葉に「会議は踊る、されど進まず」も
ナポレオン戦争の終結後、復興を含めた戦後処理を話し合うために「ウィーン会議」が開かれました。しかし、ヨーロッパの国々が抱える難解な利害調整に時間がかかり、結論に至るまで相当な時間を要してしまったのです。
このようなシリアスな状況の中、戦後に開催された華やかな晩餐会が盛大にもてはやされ、2つの相反する状況を皮肉った表現として「会議は踊る、されど進まず」が使われるようになりました。
話し合いが長引いても結論がなかなか出ないという点では「小田原評定」の類語として解釈することができます。
「小田原評定」の対義語は”問題解決”や”事態の収拾”
「小田原評定」と反対の意味を持つ言葉は正式に見当たりませんが、「小田原評定」の意味である「話し合いが長引くばかりで結論が出ない」という点から考えれば、“問題解決”や“事態の収拾”などが対義語としては妥当かもしれません。
また、話意味を広げて解釈すれば「和解」や「結末に至る」なども対の意味を持つ表現として解釈できるでしょう。
「小田原評定」の英語表現とは?
「小田原評定」を英語にすると、どのような表現になるのでしょうか?
「小田原評定」は英語で”end up with no progress”など
「小田原評定」の英語表現は文脈での意味や状況によって異なります。たとえば、平行線のまま進歩がないというニュアンスなら「end up with no progress」や「remain as far as apart as ever」などの表現が適切です。
また、実際の会議や相談の様子が水掛け論的な場合は、状況を皮肉るニュアンスで「he- said-she-said-argument(彼女はああ言った、彼はこういった)」を使っても良いでしょう。
「小田原評定」を使った英語例文
「小田原評定」を使った英語例文を挙げてみます。
- 今回の相談は小田原評定に終わった。
I had a talk but ended up without any progress. - 小田原評定となった会議は、来週社長を交えて再度行う予定だ。
We are going to have another meeting with our CEO because it remained as far apart as ever.
まとめ
職場での会議や日常に関する相談ごとで、時間的に長引きながらも一向に埒が明かず、結論が出ないことがありますが、このような状況を「小田原評定」と言います。
日本の歴史から生まれた言い回しとなるため、言葉の響きが日本独特とも言えるでしょう。加えて、長引く話し合いでも結論が出るどころか、敵に打ちのめされてしまうという、やや皮肉めいたニュアンスがあるのも特徴です。
この機会に「小田原評定」の意味を理解して、ぜひ職場でも使ってみて下さい。