お金がなる木なんてあるわけないのですが、マーケティング業界では「金のなる木」と分類する事業があります。どんな仕事が気になりませんか。
そこで今回は「金のなる木」の意味、「金のなる木」と名の付く植物とその花言葉について、さらにはマーケティング戦略のひとつPPM分析における「金になる木」について解説します。
「金のなる木」とは?
「金のなる木」の意味は”利潤を生みだす財源”
「金のなる木」の意味は、“利潤を生みだす財源”です。実在する木ではなく、金利や家賃などいくら使っても「ずっと利潤を生み出し続ける財源のたとえ」です。
古くは、浮世草子(1688)にもこのたとえは出てきます。
「金のなる木」は英語で”cash cow”
「金のなる木」をそのまま「money tree」と訳しても通じるのですが、より英語文化圏の方が分かるように訳すとしたら“cash cow”(金のなる牛)です。
お金を生み出すもののたとえとしては「木」よりも「牛」のイメージがあります。
例文:
“The company has believed the new product as a cash cow.”
「その会社は新商品が金のなる木になると確信した」
ちなみに英語には「金のなる木はない」”Money doesn’t grow on trees.”ということわざがあります。
その意味は「人は働かなくては稼げない」です。
視野を広げてみると、金のなる木という例えがあったりそれを否定することわざまであり、なかなか面白いものですね。
「金のなる木」の育て方と花言葉
「金のなる木」という名の植物
「縁紅弁慶」(ふちべにべんけい)と呼ばれる南アフリカ産の低木の多肉植物に、「金のなる木」という別称を持つ植物があります。
その名前の由来は、葉の形が円形で効果の形に似ていることからそのように呼ばれるようになりました。
尚、この「金のなる木」という別称は日本だけでなく英語では「money tree」(金のなる木)や「dollar plant」(ドルの木)、ドイツ語で「Geldbaum」(金のなる木)など世界的にも使われています。
日当たり・風通しの良い場所で育てよう
低温でも高温でも耐える「金のなる木」は比較的育てやすい常緑性の植物です。
多肉質の葉や茎のため、水分をたっぷりを蓄えておくことができます。
そのため育てやすく、日当たりがよく風通しの良い場所に置き、表面の土が乾いたら水をやります。冬場には月に1度か2度程度でも構いません。
花言葉は「幸運を招く」
「金のなる木」の花言葉は名称通りの幸せな意味で「幸運を招く」や「一攫千金」「富」に「不老長寿」です。
11月から2月にかけて白または淡いピンク色の可憐な花を咲かせますので、この縁起のいい名前と花言葉を持つ「金のなる木」に花を咲かせてみてはどうでしょうか。
PPM分析における「金のなる木」
マーケティング戦略にPPM分析というものがあります。PPM分析は事業の財源をどのように生かすのかを考えるための手法で、その中で分類される象限のひとつに「金のなる木」があります。
ここではPPM分析とは何か、そしてそれによって分類される象限について、そしてその象限のひとつである「金のなる木」について特に焦点を絞って解説します。
PPM分析とは運営資源を分配するためのマーケティング戦略
PPMとはプロダクト・ポートフォリオ・マネジメントの略で、マーケティング手法の一戦略です。市場を分析して、それに自社の事業を割り当てたときに、どのように手元の経営資源を分配するのかをの目安を出すためのフレームワークです。
1970年代に米国の戦略的コンサルティングファームを代表するボストン・コンサルティング・グループとマッケンゼー・コンサルティングが協力して開発しました。
PPMの4つの象限
PPMでは軸を二つにおいて、縦軸を市場成長率、横軸を相対マーケットシェアと取ると、次のような4つのカテゴリーに分けられます。
- 「花形」:この花形に分類される事業とは、市場の成長率が高いうえに自社のシャア率も高いうえ、大きな収入を見込めます。
- 「問題児」:ここに分類される事情は、市場の成長率が高いのですが自社シェア率があまり高くありません。そのためより多くの投資をするべきだという予測がたちます。
- 「金のなる木」:「金になる木」に分類される事業は、市場の成長は止まっているものの、自社のシェア率が高い事業です。
- 「負け犬」:「負け犬」事業とは、市場の成長率も見込めず、自社のシェアも少ないため、今後の投資は控えるべきだという判断ができます。
「金のなる木」は安定収入を得られる事業
市場の成長はすでに止まっています。そのためこのカテゴリーに分類される事業は客観的に見てもままり魅力的とは言えません。
しかし新規参入する企業は少なく競合企業はすでに撤退している状況で、すでに投資をしてあり自社のシェア率は高いため、安定した収益を得ることができます。
大きな収益につながらないものの追加投資なしで安定した収益を得られる点では、「金のなる木」に分類される事業はその会社にとってのメリットです。
「金のなる木」を継続すべきかは検討余地あり
ただそうした安定がいつまでも続くとは限りません。市場成長が期待できないのだから、すぐにでも投資した分をキャッシュで回収することも検討してみる価値はあります。
再投資をするにしても、同時に問題児事業に投資して花形事業へと移行できるように検討することも必要でしょう。
まとめ
フリーゲームのタイトルにもなっている「金のなる木」という言葉は、「利潤を生み出す財源のたとえ」です。そのため縁起のいいものとして植物の名称に使われていたり、マーケティング業界では「特に投資をしなくても安定的に利潤を生む事業」として扱われています。