人生における前途や次に起こることが予測できないことを「鬼が出るか蛇が出るか」という言葉で表現することがあります。ところで、語源や意味をご存知でしょうか?
ここでは「鬼が出るか蛇が出るか」の語源と意味をはじめ、使い方や類語と対義語、英語表現について解説をしています。賽の目を待つ心境にも似た言葉についてみてみましょう。
「鬼が出るか蛇が出るか」の意味と語源・由来は?
「鬼が出るか蛇が出るか」の意味は”前途の運命を予測することは難しい”
「鬼が出るか蛇が出るか」の意味は、“前途の運命を予測することは難しい”です。「中の見えない人形箱から、果たして鬼が出るのか、蛇が出るのかわからない」ということから、”次に起こり得る事態が何なのか、どのようなものなのかは予想しがたい”ということを指すことわざです。
「鬼が出るか蛇が出るか」の由来は”傀儡師のセリフ”
「鬼が出るか蛇が出るか」は「からくり人形を操る傀儡師(かいらいし)が、箱に入った人形を出す時に言ったセリフ」で、「さて、鬼か蛇か?一体どちらが出るでしょう」という意で、観客の注目を集めるために放った決め言葉です。
「鬼=災い、良からぬこと」、「蛇=仏、良いこと」を人生の舞台にたとえ、比喩的に使うようになったことが由来とされています。
「鬼が出るか蛇が出るか」の使い方と例文とは?
「鬼が出るか蛇が出るか」はどのようなシーンで多く使われるのでしょうか?使い方と例文を紹介します。
ビジネスの駆け引きで使われることも
「鬼が出るか蛇が出るか」は「鬼」と「蛇」という二つの強烈なアイコンが登場することわざですが、日常生活よりもビジネスシーンで使われることが多いようです。
たとえば、過酷なビジネスシーンで勝ち抜くためには目新しく奇抜な商品を発表して、顧客の興味を引くような駆け引きをしかけることもあります。果たして、商品が当たるか当たらないか、前途の予測がつかないオッズに「鬼が出るか蛇が出るか」という表現することもできるでしょう。
返事待ちや会議の行方に対しても使える
たとえば、商談や契約などのシーンで「Yes、No」の返事を待っている時、相手の反応や態度からは答えの予測がつかず、一体どちらに転ぶかわからないこがあります。また、難航する会議の中で、話し合いの行方がどうなるか見当がつかない時もあるでしょう。
このように、ものごとに対して結果や答えを待っている時や、前途の状況がどちらにもなり得る可能性がある時に、期待と不安が入り混じった感情を持って使われる言葉が「鬼が出るか蛇が出るか」となります。
コミック・アニメのタイトルにも使われるほど
「鬼が出るか蛇が出るか」は、人気のコミックやアニメのタイトルにも使われるほど、インパクトのあることわざです。ドラマや小説などを含め、構成の要素に「次の展開の予想がつかない」ことを含めるのは必須でしょう。コミックやアニメなどにタイトルとして使えば「一体何が起こるのだろう」と読者の興味を引くパンチラインともなることが期待されます。
「鬼が出るか蛇が出るか」を使った例文
「鬼が出るか蛇が出るか」を使った例文をご紹介しましょう。
- 鬼が出るか蛇が出るか、契約更新の返事は明日来る予定だ。
- 反対が多かった新商品だが、鬼が出るか蛇が出るか、来月の売上結果が楽しみだ。
- 担当者は強面のA部長か、優しいBさんか。まさに鬼が出るか蛇が出るかといったところか?
「鬼が出るか蛇が出るか」の類語と対義語とは?
「鬼が出るか蛇が出るか」と言い換えのできる言葉はあるのでしょうか?反対の意味を持つ対義語とあわせて解説します。
類語は”吉と出るか凶と出るか”や”当たるも八卦当たらぬも八卦”など
「鬼が出るか蛇が出るか」の類語となるのは「吉と出るか凶と出るか」や「当たるも八卦(はっけ)当たらぬも八卦(はっけ)」です。
「吉と出るか凶と出るか」は言葉通り「吉となるか、凶となるかわからない」という意味ですが、「当たるも八卦当たらぬも八卦」は「結果が悪くても気にするな」というニュアンスを多く含む言葉です。「八卦=占い」による吉凶など「当たることもあれば、外れることもあるものだ」という意味で使われます。
対義語は「見通しの立つ」や「推測の及ぶ」など
「鬼が出るか蛇が出るか」の正式な対義語は見当たりませんが、反対の意「予想できる」と意味から考えると「見通しの立つ」や「推測の及ぶ」などが、対義語として考えられるでしょう。
「鬼が出るか蛇が出るか」の英語表現とは?
英語表現について紹介します。英語で「鬼が出るか蛇が出るか」はどのように訳すことができるのでしょうか?
英語では「未来は予測できない」と意訳する
「鬼が出るか蛇が出るか」は日本独特の文化である「からくり人形」から生まれた言葉であるため、そのまま直訳しても意味は通じません。言葉の意味を汲み取って意訳するなら、シンプルに「未来は予測しがたい=It’s hard to predict future」や「先行きは誰にもわからない」という意味の「You never know what will happen)」などの表現を使いましょう。
「鬼が出るか蛇が出るか」を使った英語例文
簡単な英語例文を挙げてみます
- We never know what will happen. Wait and see how the result of the exam comes out tomorrow.
試験の結果が明日届く予定だ。さて、鬼が出るか蛇が出るか、待つことにしよう。 - It’s hard to predict, but we are all expecting big profit from that event.
鬼が出るか蛇が出るかではないが、イベントでの利益に期待がかかる。
まとめ
「鬼が出るか蛇が出るか」の由来はからくり人形を操る傀儡師(かいらいし)が、箱から人形が飛び出す前に言ったセリフで、意味は転じて「前途は予測しがたい」となります。このことわざでの「蛇」とは「仏」のことで、「良いこと、幸福」を指しています。
「鬼が出るか蛇が出るか」は、「鬼」と「蛇」という二つの不気味なものを使う言葉ですが、それぞれ相反する「鬼=凶」「蛇=吉」を意味するのが特徴でしょう。職場でも「予想がつかない」ことを表現するときに文学的なニュアンスを秘めて「鬼が出るか蛇が出るか」を使ってみてはいかがでしょうか?