「剣禅一如」の意味とは?使い方と例文も紹介(おすすめ本付き)

できるビジネスマンがモットーとする言葉の一つに「剣禅一如」があります。「剣」や「禅」という文字から、精神的な修行に関係する言葉だと解釈できますが、正しい意味をご存知でしょうか?

今回は「剣禅一如」という四字熟語について、意味と由来、使い方と例文、また関連本について紹介しています。ぜひ、ビジネスの心得として、この機会にマスターしましょう。

「剣禅一如」の意味と由来は?

「剣禅一如」の意味は”剣道も禅も究極に学ぶ境地は同じ”

「剣禅一如」の意味は、“剣の道の究極の境地は禅に通じる無双無念と同一である”です。「剣禅一致(けんぜんいっち)」とも呼ばれます。剣の道でも、禅の世界でも、ものごとのスキルや能力を極めるためには、何より心の修業が大切であるというニュアンスを持つ言葉でもあります。

もともと剣の道も禅の世界も、究極のレベルを目指すことが修行者の最終目的であり、言ってみれば「生きるか死ぬかギリギリの状態で、厳しい状況に耐えながら修練をすること」だとも言えます。そして、それは身体だけの鍛錬ではなく、心の鍛錬が何より不可欠であるということです。

総じて「剣禅一如」は何かを極める時は身体のみだけではなく、心や考え方にも修行を心がけるべきであるという教えとも解釈できる表現となります。

「剣禅一如」の由来は沢庵和尚の”不動智神妙録”

「剣禅一如」の由来は禅僧・沢庵和尚が書き記した「不動智神妙録」です。

「剣禅一如」は沢庵和尚(たくあんおしょう)が説いた「剣の道の境地」のことですが、剣の道はさながら「禅における無念無想」の境地と同じようなものであると説明しています。沢庵和尚は剣豪としても知られ、柳生但馬守の師としても有名です。

ちなみに、禅に通じる「無念無想」とは「一切の邪念から離れて何も考えないこと」です。仏教の言葉で言うなら「無我の境地に至ること」を指し、心の動きがなく、雑念を生む心を捨てることを総称する言葉となります。

「剣禅一致」の使い方と例文とは?

「剣禅一如」はビジネスでも活用できる四字熟語

「剣禅一如」は剣や禅に対してだけではなく、日常生活やビジネスにも活用できる言葉です。ことにビジネスシーンにおいては仕事で身を削るだけではなく、不屈の精神をもってライバルに挑まなければなりません。相手に打ち負かされるような精神力や心の持ちようでは、所詮、勝地目はないということです。

「剣禅一如」は営業戦略や顧客獲得においても十分活用できる教えでもあるでしょう。実際、多くのビジネスマンが「座右の銘」として、日々の戦いの場で胸に置く言葉でもあるようです。

「剣禅一如」を使った例文

「剣禅一如」を使った例文をご紹介しましょう。

  • 営業部に配属されたが「剣禅一如」というように、まず精神を鍛えるトレーニング始めよう。
  • 一流のスポーツ選手は「剣禅一如」の心得を欠かさない。
  • 「剣禅一致」とは言わないが、ジムとプロテインばかりに頼るのはどうかと思う。

「剣禅一如」に関するおすすめ本とは?

「剣禅一如」の意味を理解するのは非常に難しいと思いますが、書物を通じれば解釈しやすいかもしれません。そこで「拳禅一如」に関する本を3冊紹介します。

『沢庵 不動智神妙録』

「剣禅一如」という言葉の由来となる一冊です。剣のみではなく詩歌や茶道、俳諧などにも長けたと言われる聡明な沢庵和尚の叡智が満載となっています。

『剣禅一如 沢庵和尚の教え』

仏教と剣道の視点から、沢庵和尚が説いた「剣禅一如」の極意をわかりやすく解説しています。使い方を間違えれば「暴力」にも発展してしまう「剣」の極意を、禅僧の立場から厳しく説いた沢庵和尚の極意に触れながら、著者独自の考えとコラボさせた一冊です。

『剣と禅』

「剣の道」は「人の道」でもあることを説き、最強の剣客がどのように「剣禅一如」の境地に辿り着いたかを解説した本です。生死を超えて、究極の精神と力を兼ね備えた人とは一体どのような「人間」なのでしょうか?「勝敗」という小さな枠を超えて、真の人間を作り上げる「剣の道」についても興味深く触れている一冊です。

まとめ

「剣禅一致」とは、禅僧としても知られる「沢庵和尚」が説いた「不動智神妙録」の一節が由来となる言葉で、意味は「剣の道の究極の境地は、禅の世界の無念無想と同じである」となります。

「剣禅一如」は「剣禅一致」とも呼ばれ、ビジネスマンはもちろん経営者やスポーツ選手などが座右の銘とする言葉としても好んで選ばれています。体の鍛錬だけではなく、心の修練も同じように必要で、どちらが欠けてもならないことを「剣」と「禅」の双方の視点から伝える「究極の教え」とも言えるでしょう。

真実の人間になるには「剣禅一如」の世界を尊重し、沢庵和尚が唱える「人間の道」について深い理解が必要になるのかもしれません。