社会人になると自分の持つ資格やキャリアを生かしてステップアップを試みる人が増えてきます。ここで考えたいのが「キャリアデザイン」です。キャリアデザインを設計するにはいくつかのポイントがありますが、そろそろ準備は始めてみませんか?
早速、キャリアデザインの概念、キャリアデザインの書き方や具体例、また関連本を紹介しましょう。
「キャリアデザイン」とは?
キャリアデザインの意味は「実現したいことを主体的に設計する」
「キャリアデザイン」の意味は、「仕事で実現したいことを主体的に設計すること」です。自分の将来像を明確にするために必要なプロセスの一つです。
今や、ビジネスパーソンの間で必須項目となっているのがキャリアデザインです。できるビジネスパーソンは今年の目標はもちろん、3年後、5年後、さらには10年後のキャリア形成まで、積極的に行うようになってきています。
キャリアデザインは「自らの手でプランを構築すること」が重要
キャリアデザインを設計する時に大切なことは、他人任せに自分の将来プランを立てるのではなく、「自分自身が自らの手で主体的にキャリアをデザインしていく」こととなります。つまり、自分の職業人生を振り返り、「ありたい自分」に近づけて行くのかがキャリアプランの軸となる所です。
仕事を通して自分の能力やスキルを最大限生かすためにも、また職務の形成をいち早く始めるためにも、キャリアデザインの設計を進めていきましょう。
キャリアデザインは大学でも人気の学科
数年前まではあまり耳にすることはありませんでしたが、最近、注目を集めている大学の学科に「キャリアデザイン」があります。社会人になる前にキャリアデザインの重要性を知ることで、ライバルより一歩手前の地点からキャリア形成を始めることもできるでしょう。
キャリアデザインが大切な理由とは?
なぜキャリアデザインが必要なのでしょうか?2つの主な理由を挙げてみます。
職業生活で自分を活かすことへの認識を高めるため
社会という集団に入って「何となく」過ごさないためにも、職業生活を通して自己実現することの意義、また社会において自分がどのような形で貢献できるのかを認識していく必要があります。
学校を卒業してすぐに社会に放り出された人たちは、「集団に入れば、何とかなる」「会社に入れば安泰」と安心してしまうことがあるかもしれません。しかし、今やこのような認識はまかり通らず、企業は自分の能力やスキルを活かそうとするポジティブな人材を求める傾向が高まっています。キャリアプランを構築する上で、これらの人事的な背景は無視できません。
もはや学歴や資格は生涯を保証してくれない
かつて、就職での人材選定は新卒なら「学歴」や「資格」、また第二新卒の場合は「経験」や「肩書」などが重視されていました。しかし、現代では職業的な安定を約束してくれるこれらの印籠(いんろう)たるものが効力を減らし、実際的に賞味期限も短くなってきています。
つまり、もはや学歴や資格、過去の肩書などは生涯を保証してくれない時代となってきているということです。そして、このような不安定な雇用状況の中で自分を支える手段が「キャリアデザイン」であると言えます。
キャリデザインの書き方と具体例とは?
実際にキャリアデザインを構成していくために、基本的な書き方と具体例を挙げてみましょう。
キャリアシートに「経験・スキル・性格・目標」等を書き記す
まず、キャリア設計シート(企業や職種によって呼び方はさまざま)に、自身の経験やスキル、長所や短所などの性格などを書き記していきます。
<過去の経験>
企業名、所属、職名、職務内容を具体的に時系列で記載。
例:ABC商事営業部でパスタマシンの首都圏販売を担当。
<スキル・資格>
自動車免許、英検、社内検定、キャリア制度などを評価レベルで記載。
例:英検2級、ビジネス実務コース中級、ビジネス戦略コース上級
<自分の性格>
職業に直結する自己の性格を、「自分が思う自分」を基本に書き記します。
例:
コツコツと根気よく最後までやり遂げるのが好き。
目標を掲げて突き進む芯の強さと、周囲との協調性は誰にも負けない。
人との関りを良好に保つことが得意。
ストレスを貯めがちなところがある。など
実現したい将来像に近づくステップを明確にする
転職や職務の異動などを含め、業務内容のさらなる高度化や複雑化も考慮しながら、自分が実現したい将来像に近づくステップを明確にしていきます。職業を軸として見た人生や価値の方向性や、自分が思う「自分自身」、また職業やプライベーで何を重要と考えるのかなどを踏まえて、3年後、5年後、10年後の将来像を明確にしていきましょう。
<将来の目標>
漠然とした視野から、たとえば1年後に「TOEIC850点獲得」「社会労務士取得」、3年後に「部下の長所が生かせるグループリーダーとなり、スキル向上とメンタル面の強化に従事する」、また5年後に「アジア圏での販売拠点を倍に増やす」などというように、可能な限り具体的な項目まで掘り下げていきます。
基本例:
1年後:検定やキャリア制度を受け、社内評価を上げる。
3年後:個人営業のグループリーダーとなり部下でを先導する。
5年後:団体営業の首都圏リーダーとなり、企業の売り上げに貢献する。
女性の場合は「結婚・出産・育児」も考慮する
男性のキャリアデザインと異なり、女性の場合は結婚や出産、育児の予定や期間も考慮する必要があります。男女雇用機会均等法が成立してから長い年月が過ぎますが、まだまだ女性が直面する雇用環境は厳しく、出産や育児で長期休暇を余儀なくされたり、一旦退職をしなければならない場合もあるでしょう。
結婚や出産の予定、また育児に専念することが予想される場合は、その点も書き記していきます。その際、会社に復帰後の目標や想定される業務での弊害など、考えられる項目などを挙げておきましょう。
筆者おすすめ! キャリアデザインが学べるおすすめ本3選
キャリアデザイン達人が知恵と経験を生かして執筆したおすすめ本を3つご紹介します。未来の自分を描くべく、本格的なキャリアプランを作成してみて下さい。
成功! キャリアデザイン
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自分で切り開くキャリア・デザイン
「キャリア設計」という基本概念を中心に「能力開発」や「モチベーション保持」の合計3つの要素から構成されたキャリアデザインブックです。職業人生におけるモチベーションを維持するために持っておきたい一冊です。
キャリアデザイン入門Ⅰ基礎力編
キャリア設計だけではなく、社会人としての基礎力の付け方をはじめ、女性活躍推進やワークバランスなどを「自分のキャリア」と関連付けてわかりやすく説明してある本です。上司が部下に進める本としても評価が高く、著者は自己で働かき方や人事に関する研究所を設立した大識者でもあります。自己の能力とキャリアとの効果的なつなげ方も学べるおすすめの一冊です。
まとめ
キャリアデザインは履歴書の内容に「将来の展望」や「なりたい自分に近づくプロセス」などを、短期的・長期的にまとめた「未来の設計図」です。言葉で知ることによって、行動を具体化させることが最大の目的であり、今やビジネスマンの必須アイテムともなっています。
キャリアデザインは職種に関わらず、自分の手で自主性を持って作り上げていくことが大切です。自ら切り開いていくという心持を持続させるためにも、前向きなキャリアデザインを始めてみませんか?