世の中の常であり、習いとして知っておきたい四字熟語に「栄枯盛衰」があります。ビジネスでも厳しい状況の中で戦っていく時に「栄枯盛衰」の意味を理解しておくと、再び訪れようとする良き時代に期待も膨らむはずです。
今回は「栄枯盛衰」の意味や使い方と例文、類語と英語表現を中心にまとめました。ぜひ、参考にしてみて下さい。
「栄枯盛衰」とは?
「栄枯盛衰」の意味は”盛んになったり衰えたりすること”
「栄枯盛衰」の意味は、“人や国家、情勢などが盛んになったり、衰えたりすること”です。ものごとの勢いが盛んである時もあれば、勢いが衰え下降線をたどることもあるということを指しています。
人生においては浮き沈みがあるのが世の習いとも言えますが、人、国家、組織、企業を含め一般的な生活でも、活気が続く期間もあれば、時として勢いを失い没落してしまうこともあるでしょう。栄光と没落とはことこと「栄枯盛衰」なのかもしれません。
「栄枯盛衰」が示すのは、人や状況が興隆することと興廃してしまうことは世の掟のようなものであり、人生の習いとして学ぶべきであるということなのです。
「栄枯盛衰」の「栄枯」「盛衰」それぞれの意味
「栄枯盛衰」の栄枯とはもともと「草木が生い茂ること、そして枯れること」を意味しますが、現在は言葉自体の解釈を拡げて「栄えることと衰えること、繁盛と衰退」を表す言葉として使われています。
また「盛衰」も「盛んなことと衰えること、また興隆と興廃、隆替」を指します。つまり「栄枯盛衰」は二つの似た意味を持ち合わせる熟語を組み合わせて意味を強めた四字熟語となります。
「盛者必衰」や「諸行無常」との違いは?
「栄枯盛衰」と似たような四字熟語に「盛者必衰(じょうしゃひっすい)」や「諸行無常(しょぎょうむじょう」がありますが、「栄枯盛衰」とは意味において多少の違いがありますので紹介します。
「盛者必衰」とは「この世の中は無常であり、勢いが盛んでときめくものにも衰えがくること」を意味しています。「栄枯盛衰」とかなり近い意味がありますが、「栄枯盛衰」の「ものごとは繁盛と衰退を繰り返す」という意味に対し、「盛者必衰」の場合は「どんなに勢いがあることであっても、いつかは衰えるものである」というように、「良い時」を軸に「いつかは下降線をたどる」ことを表現した四字熟語となります。
また「諸行無常」は「世の中にあるものは変化を続け、正滅していくこと」を意味し、万物は常に変化して止まることがないことを表す言葉です。仏教における根本的な思想の一つで、世の中に存在するものや壊れたり亡くなったりし、永久的に不変なものはないということの教えとなります。
「栄枯盛衰」の使い方と例文とは?
「栄枯盛衰」の意味を把握したところで、正しい使い方と例文について紹介します。
「栄枯盛衰」は落ち込みから立ち上がる時に使える表現
人生やビジネスなどすべてのアスペクトにおいて、人や情勢などが栄えることもあれば、落ち込むこともあります。ことにビジネスにおいては、かつて経験したバブルを栄に「栄枯盛衰」の存在を存分に思い知らされたことでしょう。しかし、数年、数十年たった今はどうでしょうか?すっかりと活気を取り戻し、元気に盛り上がりを見せています。
「栄枯盛衰」は国家や人の状態が落ち込んだ時に、やがて訪れる輝きある未来に向けて「頑張る」姿勢を促すために使うこともできます。「栄枯盛衰は世の習い。明るい将来はやってくる」と自己と周囲を勇気づけましょう。
「栄枯盛衰」を使った例文
「栄枯盛衰」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。
- 「栄枯盛衰」は世の掟のようなものだから、業績が落ち込んでも前向きに行こう。
- 人気のあるアイドルグループも「栄枯盛衰」の習いには勝てないことがある。
- 今は家族経営における「栄枯盛衰」を長年見守ってきた先祖に感謝している。
- 過去の歴史を振り返れば、「栄枯盛衰」の浮き沈みが手に取るように見えてくるだろう。
「栄枯盛衰」の類語とは?
「栄枯盛衰」の類語を紹介します。
「栄枯」の付く類語は「栄枯浮沈」「栄枯転変」「栄枯休咎」
「栄枯盛衰」の類語で、同様に「栄枯」のつく四字熟語での類語は「栄枯浮沈(えいこふちん)」や「栄枯転変(えいこてんぺん)」などがあります。「栄枯浮沈」は世の中は繁栄と衰退の繰り返しであること、「栄枯転変」は人の境遇が栄えたり衰えたりすることを意味しています。
また、「栄枯休咎(えいこきゅうきゅう)」は繁栄と衰退や不幸と幸福のあることを指す言葉です。こちらも世の中の習いとして覚えておきたい四字熟語でしょう。
その他の類語は「一栄一落」「消長遷移」
また、「栄枯盛衰」のその他の類語には、人が繁栄したり衰退する意味の「一栄一落(いちえいいちらく)」、国家や情勢が栄えたり衰えたり移り変わることを言う「消長遷移(しょうちょうせんい)」があります。
「邯鄲の夢」は栄枯盛衰のはかなさをたとえたことわざ
ものごとが急上昇して良い状態が続く時もあれば、あっけなく好機が終わりを告げる時もあります。「邯鄲の夢(かんたんのゆめ)」とは「栄枯盛衰」のはかなさをたとえた言葉で、「邯鄲の枕」としても知られ、中国の古書「枕中記」の故事が由来となっています。
「栄枯盛衰」の英語表現とはの?
ビジネスシーンでも「栄枯盛衰」の壁にぶち当たることがあるでしょう。国際的な舞台でも状況に合わせて上手に使ってみませんか?
「栄枯盛衰」は英語で”up and down”や”rise and fall”
「栄枯盛衰」の英語表現にはいくつかのフレーズが挙げられます。最も覚えやすく使いやすいのは“up and down(アップダウン)”や“rise and fall(上昇したり下降したり)”でしょう。幅広く使えるやさしい単語であるため、どの文脈でも活用できます。
「Life has its ups and downs」も使える表現
より「栄枯盛衰」の意味を的確に表現するときは、「Life has its ups and downs(人生にはアップダウンがつきものである」や「There is always prosperity and decline(いつも繁栄と下降はある)」などの表現も使えます。
「栄枯盛衰」を使った英語例文
「栄枯盛衰」を使った英語例文をご紹介しましょう。
- 「栄枯盛衰」のごとく、我が企業は長期にわたり低迷に悩んでいる。
Our company has been declined for a long time as a part of life lesson of up and down. - 数年前に爆発的に売れたシンガーこの頃見ないけど、これも「栄枯盛衰」と呼べるよね。
We haven’t seen the singer who has been so sensational for a long time. Well , it is called rise and fall, isn’t it?
まとめ
「栄枯盛衰」は人、国家、企業などが繁盛することもあれば衰退することもあることを表す四字熟語であり、山あり谷ありの人生で知っておきたい習いの一つです。
平々凡々とした変わりのない生活も良いですが、浮き沈みがありながらも身を引き締めて進んでいく人生も、また意義のあることなのかもしれません。今回は「栄枯盛衰」を紹介しました。