仕事で失敗してしまった時、とても後悔してもどうすることもできなかった経験はありませんか?どこにも悔しい気持ちをぶつけることもできず、言葉で表現することはとても難しいことです。今回は悔しい気持ちを表す「臍を噛む」ということわざについて、意味や使い方を例文とともに紹介していきます。
「臍を噛む」の意味や語源・由来とは?
「臍を噛む」の意味は”後悔する・悔やむ”
「臍を噛む」の意味は、”後悔する・悔いる”です。どうにもならないことや、取り返しのつかないことを後悔する気持ちを表す場合に使われることが多いです。
「臍を噛む」の「臍」の読み方は「へそ」ではなく「ほぞ」と読みます。自分の「へそ」を噛もうとしても自分の「へそ」には届くことができず困難なことから、どうすることもできないもどかしい気持ちを表現する場合に用いられ、終わってしまった事を悔いる気持ちを表現する場合には用いられません。
一般的には「手遅れになる」という意味に使用されるのではなく、努力しても及ばず残念な気持ちを表現する場合の言葉の言い回しに用いられます。
「臍を噛む」の由来・語源は”中国の故事”
中国の「春秋左氏伝」の故事から来ていると言われています。
春秋時代、優秀な楚の文王が申を討とうとして鄧に立ち寄った時、鄧の臣たちが「いま文王を殺さなければ、あなたは後に臍を噛むだろう」と主君に進言したが聞き入れてもらえなかったことに基づいています。
「臍を噛む」の使い方と例文とは?
「臍を噛む」は”後悔”を表すときに使う
「臍を噛む」とは自分のしてしまった事をどうすることもできず、ひどく後悔することを言います。どんなに頑張っても実現することができないという意味ではなく、やってしまった事に対してのどうすることもできないもどかしい気持ちを表現する場合に使う言葉です。
たとえば試験がある為一生懸命勉強したが、試験当日の朝寝坊してしまい試験に遅刻した為試験を受けることができずにひどく後悔した、という場合に使います。
この場合、試験がある為一生懸命勉強したが、あまりの難しさに受験の申し込みをしたことを後悔した、という意味とは違ってきますので注意しましょう。
「臍を噛む」を使った例文
「臍を噛む」はどうすることもできない悔やむ気持ちを表しています。ではどのような場合に正しい使い方をすればよいのか、例文を紹介いたします。
- 取引先との待ち合わせに遅れてしまい、もう少し早く出発していればと臍を噛んだ。
- 本番で失敗し、しっかりと練習をしておけばよかったと臍を噛んだ。
- 入力に間違いがあり、確認を怠ったことに臍を噛んだ。
「臍を噛む」の類語とは?
「臍を噛む」と似た意味の類語は”地団駄を踏む・後悔先に立たず”
「臍を噛む」の類語は「地団駄を踏む」「後悔先に立たず」などがあります。
「地団駄を踏む」は「とても悔しがったり腹が立ったりすることで、激しく地面を踏む様子」という意味のことわざです。
「後悔先に立たず」は「後で後悔しても終わってしまったことは取り返しがつかない」という意味になり、後悔しないように予め準備しておきましょうという意味合いになります。
「地団駄を踏む」「後悔先に立たず」のどちらも「とても悔やみきれない様子」を表す場合に用いられることわざです。
「後の祭り」との意味の違い
「臍を噛む」の類語には、もう一つ「後の祭り」があります。
「臍を噛む」は自分がしてしまった事がどうすることもできず、ひどく後悔するという意味になりますが、「後の祭り」は物事が終わった後に後悔してもどうにもならないという意味になり、少し違うニュアンスです。
どちらも後悔している様子を表現していますが、「臍を噛む」はしてしまった事へひどく後悔している様子を表す場合に使用されるのに対して、「後の祭り」は後悔はしているが、後悔しても仕方がないという意味に使われます。
「臍を噛む」の英語表現とは?
「臍を噛む」は英語で”to regret bitterly”
「臍を噛む」の一般的な英語表現は、「to regret bitterly」(ひどく後悔します)、「to be very sorry (for)」(非常にすまないと思います)になります。
また「臍を噛む」の「ほぞ」を「へそ」と読んだ場合を英語で表現すると「to repent bitterly」となりますが、この場合でも「ひどく後悔します」と訳されます。
まとめ
「臍を噛む」は「自分がしてしまった事が、どうすることもできずにひどく後悔すること」「どうすることもできないもどかしい気持ち」を表現することわざです。
「ほぞ」とは「へそ」のことで、自分で自分のへそを噛もうとしても噛むことができない、もどかしい思いという意味からきています。また中国故事の「春秋左氏伝」から基づいていると言われています。
ビジネスにおいても、何もせずに取り返しのつかないことになっては元も子もありませんね。日頃から準備をして、臍を噛む思いをしないように心がけて生活していきましょう。