「ミドルネーム」は欧米の習慣で苗字と名前の間に付ける名前のことです。日本人はミドルネームを付けられませんが、外国生まれでミドルネームがある場合は書類などにどのように書けばいいのでしょうか。
今回は「ミドルネーム」の意味のほかに、書類や戸籍でのミドルネームの日本語表記の仕方や名付け方などを解説します。
「ミドルネーム」とは?
「ミドルネーム」の意味は”姓と名の間にある名前”
「ミドルネーム」の意味は、“苗字と個人名の間にある名前のこと”です。英語が語源で「ミドル」(middle)は「真ん中の」または「中間の」という意味の形容詞で、「ネーム」(name)は「名前」という意味の名詞です。苗字と個人名の間に位置する名前のため、「ミドルネーム」と呼ばれます。
ミドルネームは欧米の習慣として名付けられる名前で、正しい語順は「個人名」+「ミドルネーム」+「苗字」となります。例えば、クラシック音楽の作曲家であるモーツァルトの正式名は「ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト」といいますが、彼の場合はこのように判別できます。
「ミドルイニシャル」とはミドルネームの頭文字
ミドルネームの位置に、名前ではなくアルファベットが1字入っている場合があります。これは「ミドルイニシャル」と呼ばれ、ミドルネームをアルファベットで表記したときの最初にくる頭文字のことです。
旧アメリカ大統領の「ジョージ・W・ブッシュ」の場合
- 「W」がミドルイニシャル。「ウォーカー(Walker)」の頭文字。
- 略さずに表記するならば、「ジョージ・ウォーカー・ブッシュ」となります。
「ミドルネーム」の起源はローマ時代
ミドルネームはローマ時代には既に使われています。当時は出身先を示すためにミドルネームが使われていました。そして、このミドルネームを付ける伝統は18世紀に西欧で急速に広がり、スペイン系やアラブ系の諸族ではミドルネームをつけることが習慣化されます。
中世ヨーロッパでは、名字の代わりにクリスチャンネームといわれるキリスト教の洗礼を受けた時に授けられる名前を付けても構わなかったのですが、徐々に「個人名」+「洗礼名」+「苗字」の順で名付けることが習慣となります。以降、洗礼名はミドルネームとして使われるようになりました。
「ミドルネーム」の日本語表記の書き方とは?
ミドルネームの日本語表記は、「個人名と一緒に表記する場合」と、「苗字と一緒に表記する場合」があります。
「ミドルネーム」を個人名と一緒に表記する
ミドルネームを日本語で表記する場合、「苗字」+「個人名」+「ミドルネーム」の順番で表記されることが多いです。ミドルネームは個人名に続けて書くことで、個人名のひとつという扱いです。
また個人名に続けて1マス空けずにミドルネームを記入する場合と、1マス空けていい場合とがあります。
「ミドルネーム」を姓の項目に記入する場合もある
書類によっては、ミドルネームを姓の一部として扱う場合があります。姓を書く欄に苗字に続けてミドルネームを記入します。
ミドルネームを苗字のあとか、それとも個人名のあとに表記するかは、記名する書類の提出先によって定められていますので、ミドルネームを記入する場合は必ず事前に確認しましょう。
日本で「ミドルネーム」は付けられるのか?
ミドルネームは日本では付けられない
ミドルネームは、日本生まれの日本人は付けることができない名前です。ミドルネームとしてキリスト教の洗礼名を通称として使うことはできますが、戸籍に記載することはできません。
出生届で戸籍にミドルネームは付けられる
日本の戸籍では姓と個人名しか記入できませんが、外国で生まれてミドルネームを持っている日本人の場合、ミドルネームを戸籍の個人名欄に入れることができます。
個人名に続けてミドルネームが記載されるのですが、ミドルネームとの間にスペース等を入れることができないので、一つの名前のように映ります。
ミドルネームを戸籍上に記載するかどうかは当事者の判断によるので、ミドルネームがあっても戸籍上にミドルネームを記載することもできます。もしも戸籍にミドルネームを記載していなくても、通称としてミドルネームを使うことはできます。
パスポートにはミドルネームを併記できる
パスポートには戸籍に載っている名前が使用されるため、もしも戸籍上の個人名に個人名とミドルネームが記載されていれば、パスポートにもミドルネームは記載されます。その際、戸籍にあるように個人名とミドルネームが続いている状態ではなく、個人名とミドルネームの間にスペースが入るので、ミドルネームであることが分かります。
もしも戸籍上にミドルネームの記載がなければ、カッコ書きでミドルネームを記載することができます。ミドルネーム以外にも、二重国籍や国際結婚により外国で使っている苗字も、日本の名前のあとにカッコ書きで併記することができます。
例:「Yamada (Smith)」
「ミドルネーム」の名づけ方とは?
ミドルネームに使われる名前は洗礼名だけではない
現在、ミドルネームに使われる名前は洗礼名のほかに、母親の名前、先祖の名前や父親の名前、また尊敬する人の名前なども使われるようになり、ミドルネームの名づけの自由度が広がりました。
ミドルネームは複数でもいい
ミドルネームがあることで、同姓同名の人と区別ができて便利な場合もありますが、ミドルネームは一つではなくてはならないという決まりはないため、地域や習慣によっては複数のミドルネームが名付けられることもあります。
まとめ
「ミドルネーム」とは姓と個人名の間に付けられる名前で、欧米では使われています。日本人はミドルネームを付けられませんが、海外で生まれてミドルネームを持っている日本国籍所有者なら、戸籍に名前の一部として記載することができます。
「ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト」の場合