「普遍的」の意味と類語・対義語とは?「不変的」との違いや例文も

「普遍的な価値観」「普遍的なデザイン」など、日常的に使われる「普遍的」という言葉。普遍的であるかどうかはビジネスモデルにおいても問われますが、そもそも「普遍的」とはどのような意味なのでしょうか?

この記事では、「普遍的」の意味と使い方・例文を紹介します。あわせて類語・対義語、英語表現と、「不変的」との違いも解説しています。

「普遍的」の意味とは?

「普遍的」の意味は”広く一般的にあてはまる様子”

「普遍的(ふへんてき)」の意味は、“広く一般的にあてはまる様子”です。

「普遍的な真理」「普遍的な価値観」などと言うときは、認識や行為の根本をなす理論や考え方が、広く一般的に行き渡るという意味で用いられます。

また「普遍的なデザイン」「普遍的な美しさ」などと言うときは、国や時代を超えて、どんな状況にもあてはまる完成度の高いデザインや形態を表現します。

「普遍」とは、個人がどう考えるかではなく、すべての思考や認識に合致することを言います。「普」とは「一面にひろくゆきわたる」、「遍」とは「もれなくゆきわたる」という意味です。

「普遍的」の使い方と例文を紹介とは?

思想や原理の説明に使う「普遍的」の使い方と例文

「普遍的」は、哲学的な思想や原理、物事に対する考え方が、広く行き渡っていることを示す時に用いられます。

例文:

  • 人類の普遍的な問題として宗教の違いによる不寛容が挙げられる
  • 普遍的な知識を手に入れるには、世界の古典を読むのがよい
  • 『源氏物語』に描かれた恋物語は、千年を経ても普遍的な訴求力を失っていない。

「普遍的な美しさ」「普遍的なデザイン」の使い方と例文

「普遍的」は、芸術や風景などの美しさや製品デザインなどについて、その美的価値が広く認識されていることを説明するのに使われます。

例文:

  • 古代の微笑み「アルカイックスマイル」は、普遍的な美しさの代表である
  • 富士山の普遍的な美しさは日本人の誇りである
  • 普遍的とされるデザインであっても、時代とともに変化することがある

「普遍的なビジネス」の使い方と例文

広く一般的に行き渡り、あらゆる状況にあてはまるといったビジネスの本質を説明する時に、「普遍的」を使うことがあります。また、「普遍的なビジネスモデル」はビジネスを構築する際に重要な概念です。

例文:

  • ビジネスの普遍的な本質とは、誰かの悩みを解決する行為である
  • 安く買って高く売ることが資本主義の普遍的な原理である
  • 特殊な事情のもとでしか利益が出ないビジネスは普遍的でないと言える

「普遍的」の類語とは?

広く認められているという意味の「一般的」

特殊な事物ではなく、広い範囲にあてはまり、認められていることを「一般的」と言います。「一般的な事例」「一般的な考え方」などと用います。

「一般的」は、たとえその考え方に誤りがあったとしても、広い範囲で認められているときにも用いますが、「普遍的」は、正しい認識や価値観を前提として広く認められているときに用います。

すべてにわたってという意味の「遍く(あまねく)」

「普遍」の一字である「遍く(あまねく)」は、「すべてにわたって」「もれなく」という意味です。「遍く知れわたっている」「太陽の光が遍くその場所を照らしだした」などと使われます。

考え方や概念、論理などについて用いる「遍く用いられる法則」などの使い方は、「普遍的」と同じ意味で使うことができます。

「普遍的」の対義語とは?

普遍と対立する「特殊」

「特殊(とくしゅ)」とは、普遍に対立する言葉で、個々によるものという意味です。「普遍的な歴史観」に対して「特殊な歴史観」、「普遍的な考え方」に対して「特殊な考え方」のように、個々による事象に用いられます。

それぞれが別に存在するさまの意味の「個別的」

「個別的」とは、いくつかの事柄が、それぞれ関係なく別に存在していることを言います。広く一般にはあてはまらない「個別的な事情」、「個別的な問題」などと使われます。

個別的で特殊なものを捨て、共通なものをとり出すことによって概念や法則などを作ることを「普遍化」と言います。

特に異なっているさまの意味の「特異的」

普通と特に異なっていることを「特異的」と言います。「広く一般的にあてはまる様子」の普遍的に対立させて用いられることもあります。「普遍的な物語は特異的な出来事の集積である」などです。

「普遍的」と「不変的」の違いとは?

「不変的」の意味は”いつまでもその状態が変わらない様子”

「不変的(ふへんてき)」とは、いつまでもその状態が変わらない様子という意味です。「普遍的(ふへんてき)」と発音は同じですが、意味は全く異なります。

「不変的要素」「不変的な活動」などと用います。

「普遍的」の意味に”不変的”の意味を含めて使うことがある

いつまでも状態が変わらないという「不変的」の意味を含めて「普遍的」を使うこともあります。例えば、広く受け入れられ、評価が高く、長い間変わらないデザインについて「普遍的なデザイン」と説明することがあります。長く変わらないデザインである理由が、広く受け入れられている要因でもあるため、「普遍的」の中に「不変的」の意味が含まれて使われています。

「普遍的」の意味に「不変的」の意味を含めて使用することがあることから、「不変的」を説明したい時にも「普遍的」を誤用してしまうことがあり、注意が必要です。

「普遍的」の英語表現とは?

「普遍的な」は英語で”universal”

形容詞の「普遍的な」は英語で“universal”です。「普遍的な美しさ」は「universal beauty」、「普遍的な価値観」は「universal values」です。

また、「できるだけ多くの人が利用可能であるデザイン」にすることがコンセプトのデザイン概念を「Universal Design(ユニバーサルデザイン)」と呼びます。

まとめ

「普遍的」とは、広く一般的にあてはまる様子という意味です。普遍的なビジネスモデルの構築がテーマとなることも多く、ビジネスパーソンはしっかりと押さえておきたい言葉です。

「普遍的」の反対語は「特殊」です。「発売当時は特殊なデザインだと思われたが、やがて世界に広がり普遍的なデザインとなった」、「ニーチェは、特殊な哲学用語を用いながら、普遍的な思想を確立した」などのように、反対語の「特殊」を対立させて使うことで、普遍的の意味を際立たせることもできます。