「人畜無害」は、「人畜無害な人だから大丈夫」など“あなたに危険を及ぼす人ではない”・“何もしない”ということを相手に説明する時に使われる言葉です。使い方次第で「褒め言葉」や「嫌み」と与える印象が変わってきます。今回はこの「人畜無害」の解説です。意味や語源だけではなく、使い方の例文や類語、英語表現も詳しく紹介していきます。
「人畜無害」とは?
「人畜無害」の意味は”害や影響がない”
「人畜無害」の意味は、”害や影響がない”です。「人畜無害」の意味をさらに詳しくみてみましょう。
- 「他に害となることや影響を与えない」または「当たり障りのない人や物事」
- 「人間や動物にとって害がない」
2つ目の意味はとくに悪い意味で使われることはありませんが、1つ目の意味は皮肉や侮辱の意味を込めて使われることが多いです。
「人畜無害」は褒め言葉にも悪口にもなる
「人畜無害」を人に使う場合、使い方や場面によって“褒め言葉”にも“悪口”にもなります。具体的な意味はこちらです。
褒め言葉としての「人畜無害」
- 問題を起こさない人
- 人に危害を加えない安全で安心できる人
- 一緒にいて安易に手を出してこない人(主に女性が男性に対して思う)
悪口としての「人畜無害」
- なんの取り柄もない人
- 言いなり・都合のいい人
- 自分の主張などしない気弱な人
- とくになんの影響も与えない平凡で物足りない人
- 魅力がない人(主に女性が男性に思う)
これらからわかるように、「人畜無害」は悪口としての意味合いの方が多いです。一般的にもネガティブな言葉として捉えている方がほとんどで、褒め言葉として使ったつもりが相手を傷つてしまう場合があります。
「人畜無害」の語源は”人と家畜に害がないこと”
そんな繊細さのある言葉「人畜無害」の語源は、「人間や家畜に痛みなどの害を与えない」というもともとの意味にあると言われています。
良い意味として使われていた言葉が、「何もしない」「何もない」から「役に立たない人」「取り柄のない人」といった相手を侮辱するような意味に転じ、現在のような使い方をされるようになりました。
「人畜無害」の使い方と例文とは?
「人畜無害」は多くは皮肉や侮辱を込めて使う
「人畜無害」は「人や家畜に対して害がない」という良い意味でも使われますが、先ほど説明したように、現在では相手の無力さや役の立たなさに“皮肉”や“侮辱”を込めて使うケースの方がほとんどです。
また「〇〇さんって本当に人畜無害ね」と自分以外の人の印象を下げ、“自分の方か存在価値がある”・“できる人である”などということ主張・証明するために使う場合もあります。
「人畜無害」を使った例文
「人畜無害」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。
- 僕は必死に人畜無害であること話し、彼女を安心させた
- 彼は人畜無害そうな顔をしているが、実は厄介な問題をよく起こす
- 我が部署には、人畜無害が人材ばかり集まる
- 人畜無害な除草剤を使っているから安心だ
- できれば人畜無害な洗剤を使いたいと思っている
「人畜無害」の類語や対義語とは?
「人畜無害」の類語は”毒にも薬にもならない・役に立たない”
「人畜無害」の類語は、「毒にも薬にもならない」ということわざと、日常に取り入れやすい「役に立たない」を紹介します。
- 毒にも薬にもならない
→意味は「害もなく、役に立つわけでもない」です。意味だけではなく、 “居ても居なくても影響がない”や“あってもなくても別にいい”といったネガティヴなニュアンスもほぼ同じなため、「人畜無害」の言い換え表現として使えます。
- 役に立たない
→意味はこの言葉の通りです。「人畜無害」のネガティブな意味合いの方に似ている言葉で、小さい子供相手にも使えます。「人畜無害」よりも使い勝手がよく、日常会話に使うには適しています。
「人畜無害」の対義語は”危険人物・トラブルメーカー”
「人畜無害」の対義語には、「危険人物」と「トラブルメーカー」を紹介します。
- 危険人物
→意味は「危険思想を持っている人」「油断ならない人」です。「人畜無害」の「誰にも害を与えない人」とは違い、“何をしでかすかわからない”といった安心できい人物像を表現しています。
- トラブルメーカー
→意味は「ごたごたなどの揉め事をつくる人」です。“言いなり・都合のいい人や“自分の主張などしない気弱な人”というニュアンスを持つ「人畜無害」とは真逆の意味合いで使われます。
「人畜無害」の英語表現とは?
「人畜無害」は英語で”Harmless to humans and animals.”
「人畜無害」を英語にする場合、“無害な”や“害を及ぼさない”という意味を持つ形容詞「harmless」を使って「Harmless to humans and animals.」と表現します。
- “This soap is harmless to humans and animals.”
→「この石鹸は人畜無害です」
「neither good nor bad」でも表現できる
「人畜無害」は、 “可もなく不可もなく”という意味を持つフレーズ「neither good nor bad」でも表現できます。このフレーズは、類語で紹介した「毒にも薬にもならない」を英語表現する時にも使えます。
- “It’s neither good nor bad.“
→「人畜無害だ」
まとめ
「人畜無害」はもともと、「人や家畜に対して害がない」と良い意味で使われることが多かった言葉です。しかし現在では意味が転じ、皮肉や侮辱の意味が込められた悪口のような使われ方をしています。そのため、多くの方がこの言葉を言われた時に気分を悪くするでしょう。良い意味で使う場合は、そのことがわかるよう補足の言葉を添えた方が相手を傷つけることがなくなるのでオススメです。