「所見」の3つの意味とは?類語「所感」との違いや使い方も解説

「所見」という言葉は、耳にする機会があっても、意味についてはあまり知られていないようです。今回は「所見」が持つ3つの意味や類語、例文を交えた使い方などについて解説します。「所見」を書く場合の注意点についてもご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

「所見」の意味と読み方とは?

「所見」の意味①”見た結果”

「所見」の意味は、“そのとき、その場所で、その人が見たものの結果”です。

この意味で使われる主な例は、病院などで撮ったレントゲンの結果などです。レントゲンに映っているものから導かれる結果を「所見」と言うことができます。

「今回のレントゲンの所見は、問題なしとのことです」と使えば、撮ったレントゲンの結果に問題はなかった、ということになります。

「所見」の意味②”意見”

同じ「所見」という言葉が持つ、2つ目の意味は「意見」です。誰かが、何かについて持った意見のことも、「所見」で表すことができます。

「見た結果」を意味する「所見」と同じ例で言えば、「今回のレントゲンには特に問題がなく、私の所見も特にお伝えすべきことはないと思います」となります。

つまり、レントゲンに問題がなかった、という結果について、自分は「特に伝えるべきことはない(注意するべきことはない)」という意味で、「所見」が使われています。

「所見」の意味③何かを見た”経験や記憶”

3つ目の「所見」の意味は、比較的使用頻度が低いものです。それは「所見」で「自分の経験、あるいは記憶」を表す場合です。

先2つの例を使うとすれば、「今回のレントゲンには特に問題は見られませんでした。私の所見では、確か前回も同じ結果だったように思います」となります。

この場合の「所見」は「私の記憶」という意味で使われており、「前回も同じ結果だったと記憶している」と言っているのと同じです。

「所見」の読み方は”しょけん”

「所見」の読み方は、“しょけん”です。見たまま読めば、間違うことはほぼありません。場所を意味する「所」と、見るという意味の「見」で「しょけん」です。

「所」が使われている熟語は、読み方が難しいものが多いため、「所見」もなんと読むのか迷ってしまいがちです。しかし「所見」はそのまま「しょけん」と読めば、問題ありません。

「所見」の使い方と例文・文例とは?

「所見あり・所見なし」は生活面への注意などで使う

「所見」という言葉自体は、どのような場面で使っても特に違和感のない言葉と言えるでしょう。しかし、日常生活の中で、実際に「所見」という言葉を聞く機会が多いのは、病院です。

健康診断や人間ドックの結果などに「所見あり」または「所見なし」という言葉が使われることがあります。

  • 「今回の人間ドックでは、目立った異常はありませんでしたが、生活面にはやや所見あり、とのことでした。少し摂生しようと思います。」
  • 「先月受けた検査では、いずれも所見なしだったと聞いています。」

目上の人への敬語は「所見をいただく」

「所見」という言葉は名詞なので、目上の人へもそのまま使うことができます。丁寧語の「お」や「ご」はつけませんので、注意しましょう。

その代りに、「所見」の前後に来る言葉は丁寧なものを選びます。目上の人に「所見」をもらう場合には「~をいただく」が適切です。

  • 「先生の所見をいただきたく存じます」
  • 「いつも鋭い所見をいただくことで、安心して過ごしております」

「所見」の書き方は”です・ます調”

「所見」は、意見や結果、あるいは記憶などの意味の他に、「所見」という物としても存在します。たとえば、病院や学校などで医師や教師が、患者や生徒の検査結果や日頃の行いなどについて意見を書いた書類そのもののことも「所見」と表します。

この「所見」は通常「です・ます調」で書かれ、第三者が読んでも、その対象となっている人物の状態や様子がわかるように書くことが通常です。

「所見」の言い換えに使える類語とは?

「所感」は「所見」よりもその人が感じたことが重視される

「所見」と似た言葉はいくつかあります。その中でも「所感(しょかん)」は、漢字や読み方、意味も似ているので、違いについて知っておきましょう。

「所感」とは「何かを経験したり、物事に触発されることで持つ感想」を意味します。「感想」という言葉に言い換えても問題ありません。

「所感」は「所見」よりも「その人が感じたこと」がより重視されます。「所見」は「その人が見たこと(についての結果や意見・記憶)・事実」が重視されている言葉です。

そのため、ビジネスの場などでは、自分が何かを経験したことについての感想を述べるときに、「私の所感としては~」という言い方をします。

「考察」とは「所見」の前段階

「所感」と似た言葉に「考察(こうさつ)」があります。「考察」とは、物事の本質や、状態などを明らかにするために、深く調べたり考えたりすることです。

「所見」には、「考察」にあるような「深く調べる」という意味は含まれていません。しいて言えば、「考察」をしたことで「所見」が見えてくる、というイメージです。

しかし「所見」が持つ「意見や結果」は、必ずしも深く調べられていなくてはならないわけではありません。

その「所見」がただ見ただけではわからないものであり、深く調べた結果や意見という意味で使うのであれば、「考察した所見」という使い方をすることもできるでしょう。

ビジネスで使われる「レポート」

「所見」と似た言葉は、外来語にもあります。それは「レポート」です。「レポート」は日本でも一般的に広く認知された外来語で、学生や社会人などさまざまな人々が使っている言葉です。

この「レポート」の元になっている、英単語の「report」には「報告書・説明・報道」など多くの意味があります。これが、日本で日常的に使われる「レポート」になっても、意味はほぼ同じです。

「所見」と比べてみると、「レポート」は何らかの結果や報告が形になっています。「所見」は何かを見た結果や意見自体であり、それが形になっているということまでは表していません。

「所見」の英語表現とは?

「所見」は英語で”opinion”

「所見」の意味のひとつである「意見」は、英語で同じ意味を持つ単語を使うことができます。それは「opinion」です。

「opinion」は、英語で「意見・その人の考え」という意味を持つ単語で、日本では「セカンドオピニオン」などで使われています。

「セカンドオピニオン」から考えてみると、他の医者の意見を求めるという意味なので、そのまま「他の医師の所見」を求める、と置き換えることが可能です。

まとめ

「所見」という言葉は、病院や学校などある程度決まったシーンで耳にすることが多い言葉です。しかし、「所見」が持つ3つの意味を知っておくことで、日頃の会話でも、状況に応じて「所見」を使うことができます。ぜひ、この機会に「所見」を上手く使えるよう、理解をしておいてください。