「淡々と」の意味とは?「粛々と」「坦々と」との違いや類語も解説

「淡々と」は、「淡々と過ごす」や「淡々とした人」と変化の少ない状況や対象物に使う言葉です。「粛々と」や「坦々と」と混同されがちですが、それぞれに異なる意味があるため2つとも同義語ではありません。

今回はこの違いも含め、意味から類語・対義語、英語表現まで詳しく解説していきます。使い方の例文も紹介します。

「淡々と」の意味とは?

「淡々と」の意味は”感情の起伏が少ない・あっさりしている”

「淡々と(たんたんと)」の意味は、“感情の起伏が少ない・あっさりしている”です。

「感情の起伏が少ない」の意味では、人の態度や行動・言動について説明しています。ポジティブな意味合いなら「落ち着いている」「冷静で無駄がない」、ネガティブなら「こだわりがない」「冷淡」という印象を与えます。

「あっさりしている」の意味では、色合いや味について説明しています。こちらは基本的に「単調である」や「おもしろみがない」など、ネガティブな印象を与えることが多いです。

「粛々と」との違いは”真面目さがあるかどうか”

“ひっそりしている”という意味をもつ「粛々と(しゅくしゅくと)」は、「淡々と」の同義語と間違われやすい言葉です。どちらも静かな印象を与える言葉としては似ていますが、「粛粛と」には「淡々と」にはない “身を引き締める”、“真剣に取り組む”といったニュアンスがあり、やや堅い人物像に映ります。

「坦々と」との違いは”単調さの対象物”

「坦々と」は、漢字表記の際に間違われることの多い表現です。「坦々と」には“土地や道路が平らである様子”“なんの波乱もなく平凡である様子”という意味があり、色や味を説明する「淡々と」とは対象物が異なります。

たとえば、「坦々とした道が続く」という場合、平らな道(あるいは平凡な道)が続いていることを意味しますが、「淡々とした道が続く」と同義語として言い換えることはできません。

「淡々と」の使い方と例文とは?

性格や色味などを表現する時に使う

「淡々と」は「感情の起伏が少ない」や「あっさりしている」といった意味にあるように、“ある人の性格や態度”・“物の色合い”などを表現する時に使います。

「多くを語らないクールな人」などポジティブな意味で使われることもありますが、「感情のない」や「つまらない」「単調な」などネガティブな意味合いで使われることの方が多いです。

「淡々と」を使った例文

「淡々と」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。

  • 「あの新入社員は仕事を淡々と進める」
  • 「淡々と過ぎる日々に嫌気がさした」
  • 「僕は、淡々と頑張るあの女性に惹かれている」
  • 「淡々と生きる人生で終わらせたくない」
  • 「彼はいつも、淡々と自分の不幸を話してくる」
  • 「淡々と仕事をする女性として、男性社員からも一目置かれている」
  • 「淡々な色合いの服は地味で好きではない」

「淡々と」の類語や対義語とは?

「淡々と」の類語は”無愛想”や”泰然”

「淡々と」の類語は「無愛想」や「泰然(たいぜん)」があります。「無愛想(ぶあいそう)」の意味は「そっけないこと」「人当たりがよくない」で、「淡々と」のネガティブな意味「冷淡」と似た意味を持ちます。「無愛想」は「淡々と」と違い、基本的に対象物が生き物に限定されます。

「泰然(たいぜん)」とは「落ち着いている」「物事に動じない」の意味です。「泰然」には、「淡々と」にあるようなネガティブな意味はありません。

「淡々と」の対義語は”情熱的”や”華やか”

「淡々と」の対義語は「情熱的」と「華やか」があります。「情熱的」の意味は「感情を激しく燃え上がらせる」です。「淡々と」の“感情の起伏が少ない”と真逆の意味を表しています。

「華やか(はなやか)」とは「(形や色彩などが)派手で美しい」「栄えて勢いがある」という意味です。「淡々と」の“単調であっさりとしている”という意味とは相反しているため対義語と言えます。

「淡々と」の英語表現とは?

「淡々と」の英語表現は”a bland tone”

「淡々と」を英語にする場合、“無感情の”や“さっぱりした”を意味する形容詞「bland」と、“傾向”や“口調”、“色合い”を意味する名詞「tone」を組み合わせた「a bland tone」で表現します。「淡々とした口調で」と表現したい場合は、「in a bland tone」となります。

  • “Your bland tone made her feel sad.”

→「君の淡々とした態度が彼女を悲しませた」

  • “I answered in a bland tone.”

→「私は淡々とした口調で答えた」

「matter-of-fact」でも表現できる

「淡々と」は、“物の”や“事柄”を意味するイディオム「matter of」と、“事実”を意味する名詞「fact」を組み合わせた「matter-of-fact」でも表現できます。この表現の場合は「淡々とした」と形容詞的に使います。

  • “My friend began to tell a unbelievable excuse in a matter-of-fact.”

→「友人は信じ難い言い訳を淡々とし始めた」

まとめ

「感情の起伏が少ない」や「あっさりしている」という意味がある言葉「淡々と」は、基本的にネガティブな意味として使われています。そのため人間に使う場合は、使い方や使う相手に注意を払う必要があります。

同義語と間違われやすい「粛々と」と「坦々と」については、静けさや変化のない様子を表す言葉として覚えておくと便利です。それぞれの意味を理解し、場面にあった言葉を自由に使えるようになりましょう。